グルタミンペプチド、スポーツやシニア市場で期待 〜食品開発展2016セミナー

2016年10月5日〜7日、東京ビッグサイトで、食品開発展2016が開催された。同展示会セミナーより日清ファルマ鰍フ「グルタミンペプチドの機能性」を取り上げる。


筋肉の60%がグルタミン

小麦プロテインから作られる「グルタミンペプチド」。これをスポーツ飲料や高齢者用食品へ利用することが期待されているという。

小麦グルテンにはグルタミンが豊富に含まれているが、酵素分解しペプチド化することで「グルタミンペプチド」になる。それにより安定性が高まり、苦味などの問題も改良され、さまざまな用途に応用できるようになる。

グルタミンは機能性アミノ酸ともいわれ、疾病・疲労・ストレスといった過酷な条件のもとでは特に欠かすことのできない必須アミノ酸である。

グルタミンは特に私たちの筋肉に多く含まれる。筋肉の60%がグルタミンとされるが、他にも肝臓や消化器に多く含まれることが知られている。

グルタミンは補い続ける必要がある

グルタミンが多い筋肉とは良い筋肉とも言い換えられ、グルタミンが多い臓器も健康な臓器といえる。しかしグルタミンは体内の中で非常に消費されやすい成分であることも分かってきている。

食事などから摂取したグルタミンは筋肉を構成する主要素となり全身に供給され、身体中に分布している免疫細胞や、消化の第一ゲートとして重要な役割を果たす小腸細胞のエネルギー源ともなる。

そのため、平常時でもグルタミンは常に消費されており、例えば小腸では1時間に7〜8gのグルタミンが消費されている。

運動をしたりストレスがかかったりするとグルタミンの消費量は増え、筋肉からの供給が追いつかなくなり、さらに筋肉から奪われる形で補給されるため、グルタミンが不足しないように補い続ける必要がある。

「筋肉や腸管の栄養」や「たんぱく質合成」

グルタミンにはいろいろな機能があることがわかっている。

主なものとしては、「たんぱく質の構成要素」「筋肉や腸管の栄養」「酸と塩基のバランス調整作用」「肝臓で尿素後合成する際の基質」「腸管のエネルギー」「免疫細胞のエネルギー」「核酸の材料」「アンモニアの排出促進作用」「シトルリン、アルギニンの合成関与」「たんぱく質合成」「グリコーゲンの合成」「アルギニン代謝への関与」など。

こうした、実にさまざまな形で私たちの生体維持に関与しているが、その分消費も激しい。

疲労時やスポーツ後にグルタミン血中濃度が低下

疲労時やスポーツ後に特に体内のグルタミン消費量が上がり、グルタミン血中濃度が低下することがわかっている。

そのため、ハーフマラソンの前後にグルタミン含有のスポーツドリンクを摂取することでどのような変化が起こるかを実験した。

結果、ハーフマラソンの前後と途中にグルタミンを摂取すると、特に遅発性筋損傷(いわゆる筋肉痛)が起こりにくいことがわかった。

これはサッカーのミニゲームで同様の試験をしても同じ結果が得られたという。他にもトライアスロンの前後と途中に利用した場合は、スコアが良くなる傾向にあり、持久力までも向上する結果が見られたという。

感染症に罹りにくくなる

激しいスポーツをした後、グルタミンが消費され免疫力が低下するため、風邪やインフルエンザなどの症状が起こりやすいことがアスリートの悩みの一つになっている。

しかし、マラソンやトライアスロンといった激しいスポーツの直後にグルタミンを5mg摂取するだけで、摂取した群はプラセボ群に比べ、感染症に罹りにくくなることも報告されている。感染症発症率の差は40%以上となっている。

最新の知見では肝炎ラットの試験で、肝炎抑制作用が認められている。

手術後は体内のグルタミン濃度も低下

このように、体力や免疫力を高めるために、体内に一定濃度キープしておきたいグルタミンだが、やはり失われるタイミングがわかっているスポーツの前後やストレスフルな作業の前後に摂取しておくのがよいといえる。

入院中や手術後は体力が奪われ免疫も低下しがちである。実際、手術後は体内のグルタミン濃度も低下する。手術後に摂取しておくことで、術後の回復がスムーズになり、術後免疫力を維持できることが期待できる。

現在、サプリメント市場の中でもスポーツニュートリションと高齢者対策は非常に成長している市場である。グルタミンペプチドはまさにこの2つをカバーする優れた成分である、とまとめた。


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