FK-23菌(乳酸菌)、アスリートの免疫調整に貢献〜ウェルネスフードジャパン

2018年7月25日〜27日、東京ビッグサイトにて「ウェルネスフードジャパン」が開催された。同展示会セミナーより、岡森 万里子氏(ニチニチ製薬 中央研究所研究員)の講演「アスリートも知っておきたい腸管免疫の話」を取り上げる。 


激しい運動をしている人、免疫力が低下しやすい

日々トレーニングを欠かさず、肉体づくりとパフォーマンス向上に励んでいるアスリートたちだが、「免疫が低い、免疫が下がりやすい」と感じているアスリートは少なくない。

これは「Jカーブ仮説」ともいわれ、まったく運動をしていない人は、適度な運動をしている人に比べ免疫力が低いが、激しい運動をしている人はまったく運動してない人と同等か、3倍以上も免疫力が低下しやすいというデータがある。

つまり、適度な運動の範囲であれば免疫の維持に役立つが、激しい運動は疲労や炎症を伴う。またアスリートの場合、ストレスや睡眠トラブルなどに悩まされがちなことから、免疫力が低下しがちとされている。

実際、スポーツの国際大会などに出場するレベルのアスリートにアンケートをとったところ、試合前や試合後に風邪や花粉症、インフルエンザといった感染症にかかりやすいことが報告されている。

そしてあまり知られていないことだが、オリンピック選手の約8%が喘息の薬を飲んでいるといわれ、期間中や試合後に喘息の症状がストレスや緊張、不眠からひどくなるケースがよく報告されているという。

ストレス、腸にもダメージを与える

アスリートの免疫力が低下する最大の理由には「激しい運動による疲労」が考えられるが、ストレスによる影響も大きいと推測される。

「脳腸相関」という言葉が知られるようになっているが、ストレスを感じると腸にダイレクトに影響を与える。

あるいは腸の状態がすぐに脳に信号となって届くことが近年盛んに研究されており、このことからもストレスにさらされがちなアスリートはとかく腸の働きが悪くなり、免疫も下がりやすくなる。

また、近年は、アスリートも長期間現役を続けるケースが増えているが、免疫の60%を占めるとされる腸は、年齢とともに腸内環境が劣悪化しやすい。

成年期を過ぎると、どんな人でも腸内の善玉菌が減少し悪玉菌が優勢になる。これにより、免疫力が低下することが解明されている。

善玉菌を優位にするためには外から乳酸菌を摂取する必要があるが、乳酸菌は種類が豊富でそれぞれの機能や個性が異なり、自分にあった乳酸菌を見つけることは容易ではない。

そんな中、ニチニチ製薬では乳酸菌の中でもエンテロコッカス・フェカリスFK-23(以下、FK-23菌)の機能性に注目しているという。

加熱処理したFK-23菌、免疫細胞を活性

乳酸菌は「生きたまま届く」ことが良いと思われがちだが、加熱殺菌したものには別の役割がある。FK-23菌も加熱殺菌処理をすることで、腸内に届くと善玉菌の優れた餌となり、腸内改善に役立つという。

さらにFK-23菌は免疫細胞であるマクロファージに刺激を与え、マクロファージを活性することでTNFという免疫細胞(病原菌を貪食する細胞)の分泌を亢進させる機能がある。

さまざまな乳酸菌とFK-23菌を比較したところ、加熱処理したFK-23菌が最も免疫細胞を活性する力が高いことを確認しているという。

実際、免疫力が心配なアスリートにFK-23菌の摂取を試験的に行ってもらったところ、ヘルペスに対する効果、風邪をひきにくくなったという体感、花粉症の中でもくしゃみと鼻水に対する効果が報告されている。

またラットの試験では喘息の緩和、コレステロール値の低下なども報告されているという。

1日あたり1兆個の乳酸菌が必要

アスリートは医薬品を摂取することが難しい場合が多い。そのため、できれば日頃の食事でコンディションを整えることが望ましい。腸内で善玉菌が優勢な状態を維持しておくことは、免疫力を維持することであり、感染症予防にも効果的といえる。

東大の研究によると、「乳酸菌で免疫力を高める、あるいは維持するには1日あたり1兆個の乳酸菌が必要」とされるため、食品からの摂取だけでは現実的とはいえない。

乳酸菌サプリメントの活用はアスリートにこそ欠かせない。不快な症状を極力避けて、いつも通りのパフォーマンスができることを望むアスリートにとって、乳酸菌の中でもFK-23菌は心強い味方になるのではないか、とまとめた。


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