"東洋医学をベースに、エビデンスのある
 サプリメントを摂り、病気を予防する
"

  銀座東京クリニック 院長
福田 一典 氏

西洋医学の限界が叫ばれる中、医療現場において、エビデンス(科学的根拠)のあるサプリメントを用いて、疾患の予防に役立てようとする動きが高まっている。東洋医学をベースに、漢方やサプリメントを処方する銀座東京クリニック院長の福田一典氏にがん予防の心得などをうかがった。
----がんの代替医療の取り組みについて

患者の4,5割が、がんの代替医療にサプリメントを使用

福田: 私のクリニックは、国立がんセンターの前にあります。こうした場所でがんの代替医療を行っているということもありますが、サプリメントの使い方については良いところ悪いところをきちんとみていかなければいけないと思っています。

患者さんの4,5割が、がんの代替医療にサプリメントを使っているという調査も出ています。ところが、主治医に告知している患者さんは極めて少なく、西洋医学のドクターもサプリメントについてよくわかっていないというのが現状です。

サプリメントについては、インターネットなどいろんな情報がありすぎて、患者さんも一体何を選んでいいのかわからなくて医師にたずねるといったことが増えています。そのため、医師はサプリメントの良いところだけではなく、注意点なども含めて適切に指導していくということが今後必要になるかと思います。

----若い先生など、最近サプリメントに対して理解は増えたのでしょうか

エビデンスに基づいたサプリメントが求められている

福田: サプリメントは適切に使えば良いものであることは間違いありません。サプリメントを用いた代替医療というのは、グローバルな傾向で、アメリカなどでも盛んですし、エビデンスに基づいたものが求められています。といいますのも、西洋医学だけでは限界がある、ということがわかってきたからです。
西洋医学の場合は身体を機械のようにみて、故障した部分を取り除くような対処の仕方をします。身体の持つ自然治癒力を利用して病気を治すといった考えが乏しいといえます。

身体の自然に治る力を引き出し、高めるために伝統医療やサプリメントが必要です。サプリメントを日頃から摂ることで体力がつき、治癒力や免疫力が高まり病気の予防に役立ちます。また、治療にも有効であるといったデータがいろいろな研究で蓄積されていて、エビデンスも出ています。

----がんが昔と今で変わっているようなことはありますか

福田: 日本の場合、だんだん食事が西洋化したため、乳がんや大腸がんなど西洋型のがんが増えています。昔は胃がんが多かったのですが、胃がんを越えて肺がんが多くなっています。

大腸がんは、ここ30年ほどで約2倍になっています。明らかに食の欧米化が原因で、肉食が大腸がんのリスクを上げています。

がん治療については30年前のTVの「白い巨塔」と今とやっていることはほとんど変わりありません。いまだに手術と抗がん剤と放射線による治療で、変わったことといえば検査機器ぐらいです。
エレクトロニクスの発達により小さながんがみつかるようになりましたから相対的に治癒率は上がっています。手術の技術が向上したとか、栄養管理がよくなったりなどということで確かに多少の改善はありますが、治療が難しい疾患であることは変わりありません。

21世紀にはがん克服という予測も、予想以上に手ごわいことを研究者は実感

毎年50数万人とか60万人ががんになって、毎年30万人以上ががんで亡くなっていて、がんと診断された人の半分近くは数年以内に亡くなっています。30年くらい前は割と楽観的でがんは克服できる疾患と考えられていました。
21世紀にはがんは外科医の仕事でなくなるといわれていました。がんは薬で治り、外科医が扱うのは外傷と奇形の患者だけになるといわれていました。

ですが、最近になってがんというのは知れば知るほど手ごわい相手であることがわかってきて、最近の予測では、転移をコントロールできるのが2030年といわれています。これだけ医学が進みゲノムが解読されているにもかかわらず、そう簡単にがんは克服できない、ということが医学の発達とともに研究者にもはっきりわかってきました。

体の治癒力をうまく利用しながら、がんと共存していく

抗がん剤については、昔は動物実験でがんを半分以下に縮小しないと薬としては認めませんでした。ですが、薬草の中にはがんを縮小させるとか大きくしないといったものが結構あります。そうしたものの中に、延命効果のあるものなどがあるとだんだんわかってきて、がんを大きくしなければいいというように考えるようになってきました。

ただ、今の趨勢としては抗がん剤を大量に使ってがんを縮小するという方式です。がんが小さくなるとみんな安心するのですが、すぐに再発したりということにもなりかねません。

抗がん剤少量投与の休眠療法という方法は割と東洋医学的な発想に近いと思います。体の治癒力をうまく利用しながら、がんと共存していこうという方法です。

----漢方を中心とした東洋医学は治療と予防の両方を兼ねているわけですね

福田: いわゆる未病という考え方です。西洋医学は病気か健康かのどちらかということでみます。病気がなければ健康、健康でなければ病気ということで、どこかに線を引かないと治療ができません。ですが、病気と健康というのは連続しています。
東洋医学で一番価値が高いのは未病を治すということです。病気になってからではなく、未病で治す医者のほうが格が上といわれています。
病気にならないうちから病気を予防していくということが、重視されています。ただ、病気の予防ということは保険診療ではあまり認められていません。医療の対象にはなりにくいです。

予防というのは日頃から食生活や生活習慣の中で自分で行わないといけません。がんの3分の1は食生活がからんでいるということで、食事とがんとの関係がいろいろと研究されています。そういったものの中からがんに効く、がんを予防するサプリメントということでいろんなものが出てきています。アメリカでは野菜をたくさん摂りましょうという動きがあり、そういったものの中からがんを予防する成分をみつけてサプリメントとして販売しています。

そうしたものがどこまで予防するかいろいろ疑問点もあります。野菜を何百グラムとか穀物は精製したものは摂らないとか、これを守ればサプリメントに頼る必要はないといったことを言っても、実行するのは中々難しいわけです。そこで、サプリメントをうまく使っていけば良いと思います。

がんの場合、早期発見・早期治療といいますが、これをいくらやってもがんで亡くなる人は少なくなりません。がんにならないような身体にすることでがんを減らしていくことです。

がんというのは免疫力が落ちたり、抗酸化力が低下するとなりやすくなります。それを補う意味で抗酸化系のビタミンを飲んだり、免疫力を高めるものを飲んでいますと、抵抗力は上がりますから、長い目で見るとなんらかのプラスにはなっています。

全体的に日本人が虚弱になっているといえます。食生活や生活習慣を改善し、サプリメントや漢方をうまく使って元気に健康で、というのが理想です。

----メンタルな面も関係ありますか

福田: 非常に関係あります。笑いでNK細胞が上がるとか、がんの患者さんも配偶者がいる人といない人では、配偶者がいない人のほうが生存期間が短いといった報告もあります。

人間というのは、安心とか心の安定といったことで、治癒力や免疫力が上がります。日頃から、ストレスを発散したりして、気持ちを楽しく、というのが大切です。

がんについては集中的に治療する病院が必要ですが、自分でできることもたくさんあります。

私のクリニックでは在宅的な発想でやっていますが、自分でがんを克服しようとしている人が割と多くて、たとえば医者に見放され、がんの再発を予防するために自分でいろいろなことをやっている人もいます。

今一つ問題になっているのががん難民のような人をいかにサポートするかということです。がんを標準的に治療をするところと先端的、実験的な治療をするところがあります。あるいは末期医療をやるところ、私共のような代替医療をサポートするようなところなどいろいろ役割分担があります。

標準的ながん治療はがんセンターでやって、その後は、患者さんが家で自分でできることを行うわけですが、私共では状況に応じて、患者さんと電話で話をしながら、できるだけ負担をかけないようにして、その人に合った漢方や健康食品で患者さんをサポートしています。



◆プロフィール
福田 一典(ふくだ かずのり)

<略歴>
昭和28年福岡県生まれ。昭和53年熊本大学医学部卒業。熊本大学医学部第一外科、鹿児島県出水市立病院外科勤務を経て、昭和56年から平成4年まで久留米大学医学部第一病理学教室助手。その間、北海道大学医学部第一生化学教室と米国Vermont大学医学部生化学教室に留学し、がんの分子生物学的研究を行う。 平成4年、株式会社ツムラ中央研究所部長として漢方薬理の研究に従事。平成7年、国立がんセンター研究所がん予防研究部第一次予防研究室室長として、がん予防のメカニズム、および漢方薬を用いたがん予防の研究を行う。平成10年から平成14年まで岐阜大学医学部東洋医学講座の助教授として東洋医学の教育や臨床および基礎研究に従事した。現在、銀座東京クリニック院長。

<主な著書等> 「がん予防のパラダイムシフト-現代西洋医学と東洋医学の接点-」(医薬ジャーナル社、1999年)、「からだにやさしい漢方がん治療」(主婦の友社、2001年)「見直される漢方治療-漢方で予防する肝硬変・肝臓がん」(碧天舎、2003年)など。

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