" 病気予防、ホリスティック医療や有効な
 サプリメントに期待
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  半蔵門胃腸クリニック 理事長 掛谷 和俊 氏

近年食の欧米化が進み、日本人の疾患傾向が変わりつつある。予防医学が重視され、ホリスティック(包括的)な観点から、病気の予防に努めることが必要といわれている。長年、内視鏡検査により治療を行ってきた半蔵門胃腸クリニックの掛谷理事長に疾患の内容の変遷やホリスティック医療についてうかがった。
----先生が年間何千件という内視鏡検査を長年されてきて、以前と現在で患者の様子(腫瘍の特徴)などで変わってきていることはありますか

掛谷: 近年変わったことでは、胃や十二指腸潰瘍の患者さんが少なくなりました。これは、ピロリ菌の治療が非常に進んできたためです。 昔は胃潰瘍で結構重くなったり、再発を繰り返して来られる方が多かったです。

また、食事の欧米化の影響で、胃酸が胃から食道に逆流し、胸焼けするという胃食道逆流症(GERO)という病気も増えています。

一方、ガンでは、胃ガンで亡くなる人が少なくなっています。内視鏡が発達し、早期発見が非常に多くなったことがその理由の一つです。
また大腸のポリープが非常に多くなっています。3人に一人はポリープを持っています。胃のポリープは大部分ガンにはなりませんが、大腸のポリープはガンになるものが多いのです。

ポリープの語源はギリシャ語のpolupous(多くの足の意味)でありますが、現在ではいわゆる「出き物」という意味で使われています。良性か悪性かで違います。良性のポリープは絶対に転移しません。良性が悪性化することもありますが、内視鏡でわかります。また、やはり食の欧米化で、食物繊維が少ない肉食が多いせいか、大腸憩室症という病気が多くなっています。

----食事やストレスが原因しているということですか

掛谷: 食事については、美食ブームで胃腸への刺激物が非常に多くなって、胃が荒れたりということがあります。
口から入る物が全て分解されて身体の組織になっていきます。食べ物が良くなければ身体もよくなるはずがありません。

病気の予防については、良いものを食べ、病気になったらそれに応じた物を食べるとか、工夫が大切だと思います。 ただ、それだけで予防ができるかというと無理で、遺伝子的要因もあります。遺伝半分、食べ物半分、運10%、と私は患者さんに説明しています。

また、ストレスが多いと免疫力が低下し、ガンの発生率が高くなることは科学的にも証明されています。 笑うと免疫力が高まるともいわれています。
ストレスがあるとアドレナリンや副腎皮質ホルモンが分泌されることにより免疫力が低下し、ガンや病気に罹りやすくなります。

----「その土地でとれたものを食べるのが良い」とよく言われますが

掛谷: 本来、土地がそこに住む民族を守ろうとしているのです。ですからその土地で採れたものを食べるというのが健康を維持するための原則だと思います。さらに海外の物ですと、農薬や病原体の混入などの問題があります。

----患者はこうあるべき、というような先生のお考えはありますか

掛谷: 予防医学が非常に大切で、まず病気にならない体作りをして、それから治療です。人間の身体は非常にキャパシティが大きいのですが、ギリギリのところまでいくとプツンと切れて手遅れになります。とくに脳に関しては、脳梗塞や脳出血を起こしてからでは元に戻りません。ですから、定期健康診断をして動脈硬化があれば血をサラサラすることが必要です。私はナットウプロテイン(NKCP)を飲んでいますし、患者さんにも勧めていますが、良いですよね。

患者さんは医療に対する知識を持ち、良い医者を選ぶことが大切です。患者さんから患者さんへ伝わる情報は実体験に基づいたものなので結構正しい場合が多いような気がします。医者と患者はお互いの信頼関係があって医療が成り立ちします。

----患者さんも自分で治そうとする気持ちがないとダメですね

掛谷: 治る力をいかに助けるかというのが医者の役目です。ドクターが勧める食事療法にしてもきちんと守らないとダメです。ちゃんと聞いて実行している人は健康になっています。

-----新谷式コロノスコピーが、最近マスコミなどで取り上げられるようになりましたが

掛谷: 新谷式コロノスコピーは新谷先生が今から約40年程前に開発し、20数年前に日本に上陸しましたが、当時日本のドクターの反応はあまり良くありませんでした。変革を素直に受け入れようとしませんでした。今では、内視鏡治療で上手な先生は新谷式を必ずどこかに取り入れています。

新谷式をきちんとマスターすれば事故もなく検査ができます。安全、短時間、痛くないという検査法です。マスターするにはそれなりの努力が必要ですが、真の新谷式をマスターして正しい医療をおこなって欲しいと思います。

-----(主としてがん治療において)ホリスティック医療を行う医療機関が増えているようですが、これについて、どうお考えですか

掛谷: 西洋医学も広い意味ではホリスティック医療に含まれています。西洋医学は薬や手術で何かアカデミックなことをやっているように見えますが、結局は患者さんの本来持っている治癒力を使って治療しているのです。ですから、ホリスティックの一部分として西洋医学があると考えたほうがいいと思います。そうしますと、西洋医学だけの医者は医療の一部しか見ていない、と言えるかも知れません。

医療というのは、もともとはホリスティック医療から始まっています。ホリスティック医療では食や心の持ち方といった生活態度を重視します。統計学的にも、そうしたことがガンに影響することも判っています。ただ、食や心の持ち方というのは薬品と比べてデータが出にくく、論文になりにくいので西洋医学では軽視しがちですが、本来そちらのほうが大事なのです。

人間の身体というのは単に西洋医学的な手術とか薬だけでは治らないものです。仮に、治ったとしても再発します。根本的なものは人間の治癒力です。どんな医療でも、それを度外視してはダメです。

ガンの治療でもストレスが多く免疫力が低下している人たちというのはいくらガンを切っても、再発します。人間は物ではありません。胃は、胃という物ではなく、人間の中の胃なのです。そうした包括的な考え方で、患者さんを治療していくということが正しいのです。

-----サプリメント(健康食品)については、どのようなお考えをお持ちでしょうか

掛谷: サプリメントについてよく知らないドクターがネガティブな意見を持っています。よく理解しているドクターは結構ポジティブです。サプリメントの中には副作用がなく、薬以上に安全で効果が確かなものもあります。

サプリメントと薬の違いはきちんとした治験が行われているかどうか、また治験の結果が厚労省の認可を得たものかどうかだと思います。しっかりした治験がおこなわれているサプリメントには良いものが多いです。

また、人間というものは人それぞれに個性があるのと同様に薬やサプリメントに対する効果や副作用にも個人差が当然のごとく存在します。このことが今後の課題といえます。その辺をクリアーし、西欧医学と組み合わせて使うと非常に良いと思います。
企業側は正しいデータをとり、副作用など弊害のあるサプリメントが横行しないよう、世の中のためになるサプリメントの開発に努めていただきたいと思います。



◆プロフィール
掛谷 和俊(かけたに かずとし)

< 略歴 >
1958(昭和33)年、大分市生まれ。宮崎医科大学卒業。消化器ガンの研究で医学博士号(大分医科大学)を取得。米国アルバート・アインシュタイン医科大学、ペス・イスラエル病院に留学して新谷弘実同大外科教授に師事。同教授が開発した画期的な大腸内視鏡検査法(新谷式)をマスターし、年間5,000〜1万例以上、通算12万例を超す胃腸内視鏡検査で実績を重ねる。現在、医療法人荘和会理事長兼半蔵門胃腸クリニック理事長、ニューヨーク新谷クリニック客員顧問。日本内視鏡外科学会評議員、日本消化器病学会専門医ほか。

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