米ぬか多糖体(Rice Bran Saccharides (RBS))と免疫

医学博士 川上智史 氏

米を精米する際に出てくる米ぬかは、昔から健康維持や美容に役立つと言われている。栄養分析の結果では、脂肪酸やビタミン類、食物繊維等が多く確認され、確かに豊富な栄養素が含まれている。近年、種々の米ぬかの栄養素の中でも、食物繊維と免疫に様々な研究結果が論文報告されている。それらの研究について体系的な理解を進めている川上智史氏に、米ぬか多糖体には何が期待できるのか伺った。

--- 環境ホルモンの分野から免疫に興味を持つようになったきっかけを教えてください

川上:環境ホルモンは微量で生体に悪影響を及ぼします。環境ホルモンを研究して行く過程で、乳がんとの関連性や、免疫系への影響があると分かりました。

環境ホルモンは環境に関する問題という側面がありますが、その生体に対する影響を突き詰めていくと「免疫系」が重要であることが分かり、免疫に興味を持つようになりました。

--- 米ぬか多糖体に興味をもったきっかけを教えてください

川上:日本の伝統食が健康に良いということは漠然とイメージしていましたが、その栄養学的な解釈については細かく勉強したことがありませんでした。


乳がんについて勉強を進めていく中で、NK細胞を活性化することががんの予防につながるということが分かり、NK細胞を活性化させる米ぬか多糖体に興味を持ちました。

米ぬか多糖体は通常の米ぬかに、lentinula edodes(シイタケ菌)を一定条件のもとで培養して得た酵素を反応させるという大変ユニークな製法で造った食品原料です。

この酵素を反応させると多糖の構造が分解され免疫系への効果を発揮するのですが、試験管内だけでなく、ヒトにおいて経口摂取により効果が発揮されることを証明していたところも、私が米ぬか多糖体に興味をもった理由のひとつです。

--- 米ぬか多糖体はどの様に健康維持に役立つのですか

川上:これまで20年以上に渡り報告されてきた米ぬか多糖体の研究論文を体系的に解釈してみると、米ぬか多糖体は免疫を調整することで我々の健康維持に役立つと考えられます。

免疫調整とは、免疫能を適正に保つという意味ですが、免疫は過剰になりすぎても、弱くなりすぎてもいけません。

米ぬか多糖体はもともとNK細胞の活性化に端を発して、キラーT細胞やB細胞の活性化、樹状細胞の成熟化が報告され、免疫を強化させる食品原料として認識されていました。

しかし、研究を進めるにつれ、抗アレルギー作用や肝炎の改善等の抗炎症作用も有することがわかってきたのです。

このことは、がん等を患い免疫機能が低下した場合は強化し、アレルギー反応など過剰応答した炎症は抑制するという機能を持つことを示唆しています。

一番多く研究されているNK細胞を例にとってみると、NK細胞は「自己であったものが「非自己」になった時にその細胞を破壊します。

非自己の代表例が「がん」や「ウイルス感染細胞」です。非自己を攻撃することによって健康の維持増進に役立つのです。

--- 20年以上の研究という事ですが、どのような内容なのでしょうか

川上:先ほどのNK細胞活性の研究から始まり、試験管、動物、ヒトのレベルでこれまで50報以上の論文報告があるのは大変なことだと思います。

特にがんに関連する研究が多く、自然免疫系の細胞の活性化に加えて、獲得免疫系への影響とその司令塔になる樹状細胞に対する研究が行われています。

国内だけでなく海外の研究機関とも共同研究を行っているのも特徴で、様々な研究者がデータを分析していることで、より客観的に研究を進めていると言えると思います。

具体的にいくつか例を挙げると、抗がん剤治療を受けているがん患者に併用することでQOLの上昇が見込めたり、放射線治療を受けているがん患者の下痢症状を軽減することが報告されています。

一方で、風邪症状の緩和や過敏性腸症候群の症状を緩和するなど抗炎症作用も論文報告されています。

--- 今後どの分野で米ぬか多糖体の研究が進むことを期待しますか

川上:今後、我が国では、高齢者の割合が非常に大きくなります。年齢を重ねればその分細胞分裂の際にエラーが起こる機会も増え、がん等の様々な疾病に繋がりかねません。

米ぬか多糖体には疾病の予防を通した健康寿命またはQOLの向上と言う点で研究が進められていく事を期待しています。


米ぬか多糖体免疫研究会 http://rbsnuka.com/



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