“ 生命力の強い食品で抵抗力を養う ”

  前日本臨床内科医会会長
神津 康雄 氏

日本人の平均寿命が年々延びているが、現在加工食品が食卓の6割を占めるに至り、そうした“ 生命力に欠けた食品 ”が日本人の体質を弱体化させる傾向にあると日本臨床内科医会の神津康雄会長は警鐘を鳴らす。氏に抵抗力を養う食生活についてうかがった。
---現代人は免疫力が弱くなったといわれますが、抵抗力を高めるためにはどのような食生活を心がければよいでしょうか

神津: できるだけ自然の中で生育した生命力にあふれるものを食べることが大切だと思います。野菜にしても、今はすべて人工で管理栽培し、季節に関係なく、欲しいものが食べられるようになりましたが、太陽を充分に浴び、路地で育ったような野菜の栄養価についてもう一度見直すべきです。

そうした野菜は、例えば発がんや動脈硬化を引き起こす原因でもある活性酸素を消去するフラボノイドやカテキンの作用が高いといえます。
動物もそうです。自然の中で放し飼いにされた動物と管理され育てられた動物では、生命力が違います。そうした動物が産んだ卵についても同様で、滋養分に差があります。

---日本人は米食民族ですが、穀類についても未精製の部分に貴重な栄養素があるといわれていますね

神津:日本人は雑穀からはじまり、海藻や大豆で身体を作ってきました。そうした日本の伝統食は自然治癒力を養うという点で優れていました。ところが、今はあまりに食品に手をかけすぎているように思います。生育している段階から大事にし、さらに加工しているような状態です。肥料にしても、今は堆肥ではなく、有機肥料で、人間に害になるものを最初から排除しようとしています。しかし害があると、人間はそれに対抗しようとして強くもなります。全く害のないものであれば旺盛な生命力というものは湧いてきません。抵抗力のある人間というは長寿で健康ですが、そうした人達は過酷な状況の中で育っています。

---厳しい環境下で、植物も人間もたくましく育つというわけですね

神津:日本は毎年平均寿命が延び、長寿国といわれていますが、これは明治時代に生まれた人達が単に平均寿命を延ばしているにすぎません。そうした人達は、免疫力も強いわけですが、どのような食生活を送ってきたかというと、自然に生育した生命力に富んだものを食べてきたわけです。ですから100歳以上生きられる体力、抵抗力を持っています。そう考えると、今の若者たちが長生きするということはありえないでしょう。手をかけすぎるということは一方で生命力を弱くします。若い人達と昔の人達と比べると骨がまず違います。

---世界的に感染症が増えていて、そうした症状に薬品の果たす役割は大きいと思ます。しかし、その後のケアは食品で自然治癒力を高めていく必要があると思います。そうした医薬品と食品との役割分担についてはいかがですか

神津:現在の医薬品は細分化され、それぞれの部位に直接働きかけ、非常によく効くように出来ています。薬品はそれでいいと思います。ですが、人間の総合的な生命力を培うのはあくまで食品です。昔は、薬の使用はごくわずかで、薬といってもせいぜい漢方の薬草くらいでした。日頃の食生活で免疫力を高め、体力を保っていました。
薬でウイルスを狙い打ちして病気を治すことも大事ですが、食事で抵抗力を高めていくことが必要です。そうした意味で、今後は、医薬品と食品との間にあって、自然治癒力を補う食品が必要になってくると思います。機能性食品にはそうした役割があると思います。

---今後、医療現場でも健康・栄養食品のような機能性をもった食品を取り入れていくということですか

神津:今の食生活ではだめですし、薬品に代わるもので人間を病気にさせないような機能性のある食品があれば、そうしたものを補い、抵抗力を養っていく必要があるかと思います。これから臨床医にとっても、そうしたスタンスは必要なことだと思います。



前日本臨床内科医会会長

 神津 康雄 氏
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