" 血液ドロドロ解消に、「オサカナスキヤネ」食を "

  東京女子医科大学教授/戸塚ロイヤルクリニック所長
栗原 毅 氏

血液の性状を観ることで、将来的な生活習慣病への罹患が予測できるといわれている。 血液のドロドロ状態を解消する食事やサプリメントの賢い摂り方など、戸塚ロイヤルクリニック所長の栗原 毅 氏にうかがった。
----血液のサラサラ、ドロドロ状態が計測できるMC-FANについておきかせください

栗原:MC-FAN(Micro Channel array Flow Analyzer:マイクロチャネル法)は、1990年ごろに半導体技術を駆使して、完成された血液流動性測定装置で、血液のドロドロやサラサラといった性状や循環性がわかります。

ヒトの血管の総延長は約9万km、地球を2周以上すると推測されています。そのほとんどが毛細血管です。
MC-FANは血管の内部に近い状態を人工的に再現し、採血した血液を毛細血管と同じ細い流路 (毛細血管モデル)に流し、その様子が観察できます。

これで見ますと、糖尿病や高脂血症といった生活習慣病の患者さんには特徴的な流れ方をしている ことがわかります。MC-FANはこれまで主に研究用の機器で、国内の数箇所の医療機関でしか使えませんでしたが、 最近、普及版が開発され、一般にも広く波及することが期待されます。

----血液の「サラサラ」と「ドロドロ」の状態についておきかせください

栗原:血液の「サラサラ」と「ドロドロ」ということは、メディアでも頻繁に取り上げられ、よく知られるようになりました。ですが、 なぜ、血液の流動性が重要なのかはよく理解されていないのではないかと思います。

人の体内の血液の総量は、体重が60kgの人ですと、約4.8リットル(体重の約8%)で、 約5リットルの血液が50秒間で全身の毛細血管を巡っています。

毛細血管は非常に細く、 内径は約7ミクロンです。髪の毛が約100ミクロンですから、髪の毛の14分の1という細さです。血液は 酸素や二酸化炭素、食事からの栄養分やホルモン、老廃物などを肝臓と腎臓に運びます。また、 体温調節や細菌の捕食といった重要な役割もはたします。
こうしたことのほとんどが毛細血管で行われています。ですから、そこを血液がうまく流れないと 身体に問題が生じることになります。

血液がサラサラというのは、血中の白血球(リンパ球、単球、顆粒球)や赤血球や血小板 がスムーズに流れている状態をいいます。

ところが、ストレスや喫煙、過労、睡眠不足が続きますと、白血球は粘着性を高めてベタベタ状態になります。 また、糖尿病で血糖が赤血球の膜に作用することで変形しにくくなり、赤血球がネバネバ状態になります。 さらに、アルコールや糖分の摂り過ぎで血小板の凝集能と粘着能が高まり、血小板がザラザラ状態になります。 こうしたことが重なって、血液がドロドロ状態になります。

そうした血液の流動性が良くない状態になりますと、肩凝りや冷え性、疲労感が残るなどの症状が現われます。 ドロドロ血液は検査値に現われない未病を発見する一つの指標になります。

血液をサラサラにして流動性を高めるには、喫煙、ストレス、運動不足、アルコールや糖分の摂り過ぎ をやめることです。そうして、白血球の粘着性を抑え、赤血球の流動性を高め、血小板の凝集を抑えることが大切です。

----血液の性状を良くするには、「オサカナスキヤネ」食を目指すと良いということですが

栗原:血液をサラサラ状態にするには、まず食事を改善することです。 血液の流れをよくする食事は「オサカナスキヤネ」食です。

これは、食材の頭文字をとったもので、「オ」はお茶です。緑茶などに含まれる抗酸化物質のカテキン成分が血液の状態を 良くします。「サ」は魚です。サバやイワシなどの青魚に多く含まれるDHA(ドコサヘキサエン酸)や EPA(エイコサペンタエン酸)といった成分が血小板の凝集を抑えます。
「カ」は海藻です。昆布やワカメなどに含まれるぬめり成分のアルギン酸は血糖値の上昇を抑え、コレステロールを低下させます。 「ナ」は納豆です。納豆に含まれる酵素のナットウキナーゼは血栓を溶かす作用があります。 「ス」は酢です。酢に含まれる酢酸やクエン酸が赤血球の膜を柔軟にし、変形能を高めます。 「キ」はキノコ類です。キノコに含まれるβ-グルカンは血糖値やコレステロール値の低下に役立ちます。
「ヤ」は野菜です。野菜には食物繊維やビタミンCが多く含まれますが、こうした抗酸化物質が活性酸素を抑制し、 血液の正常を良くします。「ネ」は玉ねぎやにんにくなどのネギ類です。ツンとする臭い成分のアリシンは 血小板の凝集を抑えて血栓の生成を防止します。
これらは、日本人が伝統的に摂ってきた食材ばかりです。

----未病と血液の関係についておきかせください

栗原:中国医学で、病気ではないが、健康でもない状態を「未病」といいます。つまり病気の予備軍状態で、 「未病」の多くは検査を受けても異常が見つからず、検査値は正常範囲で、健康と診断される 場合がほとんどです。

日本には約6千万人の「未病」状態の人がいるといわれています。 ある日突然病気になるというわけではなく、前段階で様々な兆候があり、 その先に、生活習慣病が待ち受けています。MC-FAN検査で、血液の性状を見て、血液がドロドロの場合は 将来的に生活習慣病に罹患する可能性が大きいわけですから、早急に食生活やライフスタイルの改善に 努める必要があります。

----サプリメントの賢い利用法は

栗原:食事から必要な栄養素を全て摂れればいいのですが、忙しい現代人はなかなかそれができません。食生活の 実態アンケートでも「外食が多い」と多くの人々が答えていて、理想とされる1日30品目の素材が中々摂れていません。 サプリメントにはそうした食生活で欠けた栄養素が手軽に補給できるというメリットがあります。

サプリメントの賢い摂り方は、あれこれと次々に取り替えるのではなく、最低1ケ月は続けることです。 サプリメントは薬のように即効性が期待できませんから、継続することが大切です。 サプリメントの適正摂取量については個々人で差がありますが、目安として血液のドロドロ度が高い人は所要量 よりも多目に摂ったほうがいいと思います。



◆プロフィール
栗原 毅(くりはら たけし)

< 略歴 >
東京女子医科大学教授。戸塚ロイヤルクリニック所長。医学博士。1951年新潟県生まれ。北里大学医学部卒業。 消化器内科学、とくに肝臓病学を専攻し、28年間臨床にたずさわる。1992年からC型慢性肝炎に対するインターフェロン 治療を開始し、すでに700例を超す治療実績を持つとともに、開業医師との病診連携にも力を注ぐ。著書に 『インターフェロンで治す!C型肝炎の【新】常識』『血液サラサラのすべてがわかる本』『血液サラサラ生活のすすめ』 『C型肝炎 わかって治す最新インターフェロン治療』『内臓脂肪は命の危険信号』(以上小学館)他

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