“ 親から子へ、正しい食育が強い体質を作る ”

  板橋中央看護学校
副校長 桜井 甲子 氏

子供達の体質の弱体化がいわれて久しい。高度経済成長以降、ハンバーガーやコンビニエンス食に代表される手軽な食生活が日本に浸透し、日本人の体質が徐々に変わりつつある。戦前、戦中、戦後を通して日本人の食生活の変遷を体験した板橋中央総合病院の桜井甲子看護部長に現代食の欠陥や食育の重要性についてうかがった。
---現代人は抵抗力が非常に弱くなっているといわれますが

桜井:私自身のことについて言うと、インスタント食品を食べないで育ちましたから、抵抗力があるんじゃないかなと思っています。今の人はほとんどインスタント物やスナック菓子とか食べていますね。ですから、塩分とか油分とか摂り過ぎているんじゃないでしょうか。
私は戦前、戦中、戦後の食生活を経験してきていますが、物がない時に育っている人のほうが、健康なのではないかと思います。

明治、大正の人達は食べ物のない時代に育っているのに長生きしている。よく噛むことが秘訣

今、明治、大正の人が長生きをしていていますが、昭和の人はあまり長生きをしないのではないかと思います。私たちの子供の頃は食べる物にも不自由していて、固い物でも良く噛んで食べることを覚えました。ですからいまだに食べることが遅いです。子供の頃、食べ物はよく噛まなければいけないと、しつけがうるさくて、口にいれたら30回噛みなさいとよくいわれたものです。
今の若い人は食べることが早いですね。子供の頃からの習慣のせいでしょうか。私の場合、良く噛んでいたせいか、胃をこわしたりとか、胃の病気をしませんでした。ほとんど内臓の病気をすることはありませんでした。

--- お若い頃とか、今現在、食べ物で気をつけていることは

桜井:群馬で生まれましたから、魚をあまり食べなかったせいか、カルシウムが摂れなかったですね。ですから歯が弱かったです。 歯を大事にしなければいけないということがよくわかって、歯を治療して、それからいろんなものを食べるようにしました。群馬ですから、どちらかというと魚はあまり食べなくて肉ばかり食べていましたけれど。

肉食を控え、食べ物に気をつけていると3ケ月で身体の変化がわかる

今でも、肉のほうが多いかなと思いますが、そのためにコレステロール値が高くなって、中性脂肪が増えてしまいました。ですから、ここ3,4年は肉を控えて魚を食べるようにしています。今のところ数値は落ち着いています。
今は食べることには非常に気をつけています。3ケ月おきに採血していますが、3ケ月経つと食べ物が身体の中で変わっていくのがわかります。4,5年前は毎朝、卵を1日に1個は必ず食べていて、コレステロール値が高かったです。それで朝、卵を食べないことにして、それまでは何でも油であげた物を食べていましたが、家では油であげたものは食べないようにしました。そうしたところ、コレステロール値も下がってきました。

中性脂肪も汗をかいて歩かないと落ちませんから、それまで運転手付きの車で病院を回っていましたが、地下鉄とか電車を利用するようにして、いつも万歩計を身に付けて毎日1万歩以上歩くように心がけました。そうすると、体重も増えないで、コレステロールも中性脂肪も正常値になりました。

---子供たちが昔と違って虚弱になっていますが、食育についてはいかがですか

炭酸飲料を飲まないように、親から子へ、さらにその子へしつけた

桜井:私の兄が栄養士で、栄養学の本を書いていますが、兄は自分の子供には炭酸入りのジュースは絶対飲ませなかったです。その子供も結婚して子供を産みましたが、やはり炭酸の入ったものは飲ませませんでした。生ジュースしか飲ませませんでした。今その子が3歳ですが、炭酸が入ってないかどうか必ず聞きますね。

そうしたふうに親から子、子から子へと食べ物の教育を受け継いでいます。兄の娘は30歳ですが、その子供は生まれた時から自動販売機のジュース類は飲ませていません。ルイボスティのお茶を作って、いつもそれを持ち歩いて飲ませています。

--- 昭和30年以降に生まれた世代が親になり、その子供あたりからアトピー・アレルギー児が増え始めて問題になっていますが

桜井:兄の娘の子供はアトピーの心配はありませんでした。ふだんからスナック菓子もたべさせないですし、そうしたふうに教育されていますから、それがよかったのかも知れません。自然のものを好み、芋を蒸かしたようなものを美味しいといって食べています。

兄には2人子供がいますが、1人は厳しく栄養学的に育てて、もう1人は全然そういうことをしなくて、炭酸のジュースでも何でも飲ませていたせいか、抵抗力がなくてよく風邪を引いたり、熱を出したりしていました。運動をしていても持久力がないですし。ですから食べ物というのはすごく健康に影響すると思います。自分の好き嫌いで偏った食生活をすると、アレルギー体質の子供が生まれてきたり、子供のために親も苦労しなきゃいけないことになりますね。

--- 健康食品や自然食品の役割については

桜井:歳をとると生野菜にしてもたくさん食べれないですから、健康食品を補助的にとるのはいいと思います。私自身もカルシウムとかにんにくとかビタミン12とかを、コレステロール値が高いとか中性脂肪が多いとかいわれたことがきっかけで3,4年くらい前から利用しています。歳をとると、誰でもそうかと思いますが、自然のものがいいと思うようになりますね。身体がやはりそうしたものを求めているのでしょうね。



◆プロフィール
桜井 甲子( さくらい こうこ )

<略歴>
1924年群馬県生まれ。1943年東京看護学校卒後、群馬県中島飛行機附属小泉病院勤務。1947年東京医科大学附属病院勤務、聖路加国際病院研修後、外科病棟婦長。1958年板橋中央総合病院に総婦長として勤務。79年本部看護部長。84年板橋中央看護学校副校長。日本看護連盟・東京支部長。現在に至る。78年厚生大臣表彰。90年勲五等瑞宝章受賞。

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