人間を丸ごと診るのがホリスティック医療

帯津:ホリスティック医療というのは人間を丸ごと診る医療です。人間にはまだ科学で解明されていない部分が沢山あります。ですから、もっとのびのびと、科学的に検証されていない方法でも、あまり費用がかからないで、安全なもので、患者さんが望むのなら、どんどん使っていこうというのが私の姿勢です。その際、いろいろな方法がありますが、一番基本になるのは「心」の問題かと思います。このことは私が17年間ホリスティックをやってきた中で確信になっています。

例えば、がんとうまく共存していくということにおいても、「心」が大切です。私共では「心」の問題を一番重要視しています。それ以外では、気功や食事療法、また漢方や鍼灸や健康食品のような広い範囲のオルタナティブな治療法も取り入れています。

健康食品も沢山使うと迷いが生じる。一つか二つに絞るといい

帯津:日本のオルタナティブ・メディスンというと圧倒的に健康食品です。私共の患者さんもほとんどが何か健康食品を使っています。ヒーリングも食事療法も漢方もやったことのない人でも健康食品だけは何か使っています。例えば、プロポリス、キチン・キトサン、サメ軟骨、AHCC、アガリクス、米ぬかアラビノキシランといったようなものです。私も患者さんに健康食品を勧めています。なんとなく1種類か2種類使っているほうが経過がいいようです。ただ、あまり使わないほうがいいと言います。たくさん使うと迷いが生じます。これは逆にマイナスです。一つか二つ、健康食品を信じて使うというのがいいのです。

「何を飲むか」ではなく、「どういう気持ちで飲むか」が大切

帯津:健康食品を選ぶ際、何を使うかがいつも問題になります。患者さんに尋ねられた時、何かデータがあるほうが頼りになるものですから、ゴーナム博士のデータに随分ふれていることもあって、米ぬかアラビノキシランが選択肢の上にほうにきます。患者さんもゴーナム博士の本を読んだり、ワイル博士の本を読んでいたりして知識が豊富ですから、選択は患者さんにまかせています。可能性というのはそれぞれの健康食品が無限に持っていると思います。患者さんにはそれに巡り会うかどうかという縁のようなものがあると思います。
健康食品も、いいと思ったら、それだけという人がいます。人が何をやっていようが、自分は自分で我が道を行くといったふうです。ですが、むしろそのほうがなにか良いような感じがします。そういう意味でも、「心」の持ち方が大切であるということが言えます。

自然治癒力の高まった人は人相がいい

帯津:ストレスについてですが、患者さんをできるだけ一人にさせないようにしています。場の絡み合いといいますか、家族も友人も、また我々医療者も患者さんと打ち解け、あるレベルの「心」の状態を維持することを大切にしています。気功自体にも「心」を整えるという要素があり、建物の外で一人でやっている方もいますが、道場でワイワイいいながらやって場のポテンシャルをあげるということも大事です。 経過が非常によくなっていた人が急に悪くなってしますケースがありますが、これはストレスが関わっていることが多いです。そうしたことをできるだけなくすことです。自然治癒力が高まった人というのは人相がいいです。

近い将来、ストレス管理が医療の優先順位のトップに

ゴーナム:ストレスは免疫系と深い関係があります。帯津先生は数年前からストレスと病気との関連について取り組んでいらっしゃいますが、近い将来、医療において、まずストレス管理が優先順位のトップにくるようになると思います。まずストレスのカウンセリングをして、次に通常の治療に行うようになるのではないでしょうか。 ストレス管理の重要性について、アメリカでもヨーロッパでも医者達が十分に認識していません。残念なことです。彼らは患者を診る時、頭と身体を分離して診ます。病気は心と身体が関わっているという報告も出ていますが、それにも関わらず心身分離という考え方が医者の間にあるのです。

病源よりストレスのほうが病気に大きな影響を与える

ゴーナム:動物実験で実験室のカゴの中に一匹だけラットを入れて孤独にする、または多くのラットの過密なところに入れておくといったことをしますと、1週間後には、両方のラットのNK細胞の働きが低下するという報告が出ています。人間も同様です。HIVに感染した患者さん達でも14,5年生きていますが、病源よりストレスのほうが病気に大きな影響を与えているということがわかります。こうした病気をかかえていてもストレスがない状態であれば、患者さん達も長い間生存します。例えば30年間連れ添ったカップルで、片方が死ぬと残されたほうも3、4ケ月後に死亡してしまうことがあるということをよく聞きます。これもストレスと関係あります。残された遺族は病気でもないし、ウイルスに罹って病原菌を持っているわけでもないのにストレスが原因で数カ月後に死亡してしまうというわけです。

日本式の風呂に浸かって、何も考えないで過ごすことは最高のストレス解消法

ゴーナム:例えばハリウッドに務める人で、映画をとるときに3日間塩と砂糖だけで72時間働き続けたという非常に強いストレスの元で働いている人がいます。こうした人達にとっては、ストレス管理がいかに重要であるかがわかります。ストレスの解消法について、私は患者に日本の文化についてよく話をします。例えば生け花とかです。また日本式の熱い風呂に浸かって、20分間仕事のことも経済のことも家族のいざこざも一切考えないで過ごすことも勧めています。ハワイの乳がんのグループで毎日水泳を楽しんで、経過が良好な人達もいます。

仕事が自分にあっていないことでストレスが生じるケースが多い

ゴーナム:我々の病院でも、患者に継続して米ぬかアラビノキシランを飲むように勧めていますが、あるイタリア人の患者でアラビノキシランを飲んでNK活性がどんどん上がって最適なレベルに達しましたが、ある時、それがかなり落ちるということがありました。なぜ、そうなったかということですが、彼は週末も休まずに3つの仕事をしていたということでした。それで活性が低下したわけです。 また62歳の患者で1日も休まず働いている人がいましたが、6時を過ぎたら絶対に電話に出てはいけない、週末には必ず休みをとるようアドバイスしました。週の真中に信頼できる人に仕事をしてもらうようにいいました。仕事が自分にあっていないと感じる人達は70〜80%いるといわれます。そのことでストレスが生じているようです。ストレスをかけたライフスタイルを続けるということは体内に敵がいて、その敵が毎日のように体を食い荒らしているということであることを認識すべきです。


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