「食」関連トピックス
真弓定夫先生と学ぶ「健康勉強会」
〜医師が教える医者いらずの健康法

2011年6月23日(木)、品川区立総合区民館「きゅりあん」で、現役医師である真弓定夫氏と学ぶ健康勉強会「医師が教える医者いらずの健康法」が開催された。真弓氏は、1931年生まれ。東京医科歯科大学卒業後、同大学病院小児科学教室に入局。勤務医を経て、1974年に武蔵野市吉祥寺に真弓小児科医院を開設し、現在も精力的に診療を続けている。


年間の総医療費、およそ35兆8000億円

真弓氏は「薬を使わない小児科医」として知られる。根底に日本の医療の現状に歯止めをかけなければならないという危機感があると真弓氏。 日本の医療費が莫大に膨れ上がっているが、実態がどのようなものか、歴史的見地から考察した。

真弓氏が医者になったのが1955年で、この年の総医療費は年間およそ2388億円。50年以上経過した現在の年間の総医療費はおよそ35兆8000億円。人口は1,5倍増程度だが、医療費が143倍にも膨れ上がっている、増え方が異常である、と真弓氏は指摘する。

1980年代に入ると、ガン、脳血管障害、心疾患が増加

1955年頃までも、医療費は年々増大していたが、あくまで人口増加に比例している程度であった。しかしここ数十年、比例関係を超え、爆発的に増大し続けている。死因も大きく変化しているという。

1955年頃までの死因トップ3は結核、脳血管障害、気管支炎であった。1980年代に入ると、ガン、脳血管障害、心疾患に変わっていった。日本人は一体いつ頃から、何が変わったのか?その鍵は1945年、つまり戦前・戦後の暮しの変化にあると真弓氏は指摘する。

哺乳類は4500種類、乳もそれだけ異なるものが存在する

真弓氏が数十年訴え続けているのが「牛乳の弊害」である。「薬が病気をつくる。牛乳を飲むとガンになる」と1940年頃からすでに医師の森下敬一氏らが訴えていたが、真弓氏も同様に理解しているという。

現在、男性の二人に一人がガンで死亡している。ガンの一番の原因が牛乳に含まれるタンパク質の一つであるカゼインであることは、米国では栄養学界のアインシュタインと称されるコリン・キャンベル博士も指摘しており、さまざまな動物実験でも既に明らかとなっている。

なぜ牛乳が問題なのか。それは哺乳類という生物を理解すれば簡単なことであると真弓氏。哺乳類とは母親の乳を飲んで成長する動物のことで、地球上におよそ4500種類存在する。

つまり4500種類の異なる乳が存在する。乳、つまり母乳とは完全栄養食品である。一人で食べものを調達することのできない赤ちゃんが、母乳だけで成長し、そして生きていくために、必要な栄養素の全てが、それぞれの赤ちゃんにとって完璧な状態で存在している。それが哺乳類の乳であると真弓氏。

そもそも日本人は戦前牛乳を飲む習慣がなかった

乳は乳白色のためわかりにくいが、乳首を通過する直前までは赤い血液であり、母乳とは白い血液であると真弓氏。これは輸血の理論と同じで、型の合わない血液を入れると赤ちゃんは死んでしまう可能性が高い。

牛の赤ちゃんに人間の母乳を輸血すると即死することはすでに実験で明らかになっているが、その逆も然りといえる。あらゆる哺乳動物の乳は自分の子供には完璧な栄養だが、他の動物にはあわないようになっている。にもかかわらず、人間だけが他の動物の乳(牛乳)を飲んでいるという奇妙なことを続けていることを理解すべきだと強調する。

そもそも日本人は戦前牛乳を飲む習慣がなかった。戦後アメリカによって持ち込まれたもので、そのとき一緒に持ち込まれたものが母子手帳であるという。

母子手帳とは1915年にアメリカで発足した全国酪農協議会が乳業のPR戦略で作ったもので、おそらくこの母子手帳をいまだに利用しているのは世界でも日本だけではないかと真弓氏。発祥国であるアメリカでも、既に20年前に廃止されているという。

戦前、戦中にアメリカは日本文化のレベルの高さに驚いたという。日本は敗戦国になったが、食文化や精神文化が日本独自の高度なレベルのままだと、いずれまたアメリカは日本に苦しめられると悟り、日本の食文化や精神文化の劣化を意図的に図ったという。

まさにGHQによる戦略である。特に戦後7年間で、日本人の食文化は大きく変貌した。米はパンに、みそ汁は牛乳に、うどんや蕎麦はパスタに変わってしまった。保健所や教育委員会、大学研究病院などもアメリカの影響で大きく変わったという。

1977年を境にアメリカでガン患者が減少傾向に

一方アメリカではガン患者数は減少傾向にある。大統領候補にもなったマクガバン氏による膨大な栄養調査や疫学調査の結果、穀類と野菜・果物を中心とした献立、動物性タンパク質が少なめの食事が、ガンを減少させることが明らかとなり、この情報が広まった1977年を境にガン患者の減少傾向が始まったという。

そして1983年、コリン・キャンベル博士がアメリカ人と中国人のガン患者数の調査や栄養学の調査を行ったところ、中国人にはガン患者が圧倒的に少なく、またアメリカ人に比べて動物性タンパク質の摂取量が大幅に少ないことを報告した。

一食における動物性タンパク質の割合がアメリカ人はおよそ12〜13%であるのに対し、中国人はわずか0,8%であったという。日本においては昭和20年代でおよそ1%以下、最近は言うまでもなく上昇傾向にある。いずれにせよ、動物性タンパク質の摂取量はガンとは密接な関わりがあることに間違いないようである。

母乳の元となる母親の毎日の食事に注意を払う

赤ちゃんは完全栄養、つまり母乳で育てるべきであると真弓氏。しかし、その母乳が牛乳などによるものであると、子供はガンになる可能性が非常に高いことが否定できないという。子供を母乳で健康に育てたいのであれば、母乳の元となる母親の毎日の食事に注意を払うことは極めて当たり前のことであると指摘する。

受胎する前から極力動物性タンパク質を減らし、特に牛乳の摂取はやめて、健全で完全な母乳の準備をすべきであると真弓氏。また生まれた赤ちゃんに、母子手帳の基準で成長不良と判断し、人口ミルクをやたら与えることや、急ぎすぎる断乳もやめてほしいという。

日本人は穀類と野菜・果物が食の基本

日本人に穀類と野菜・果物は食の基本であり、日本人のDNAに最も適した食である。日本人のDNAに適合した食に戻さなければ、国内のガン患者数は減ることがない。食の劣化が心の劣化も引き起こしていると指摘する。産院でも退院直後に人工ミルクを持たせたり、学校給食でも牛乳を飲むことを強制したりしているが、いずれもとんでもないことであると真弓氏はいう。

牛乳の弊害ということを知ったら、年齢に関わらずすぐに牛乳の摂取をやめるべきであると強く訴える。例えば生後6ヶ月の段階で知って摂取をやめれば、1歳でガンになりにくい体に戻るし、9ヶ月の段階で知って摂取をやめれば、1歳半で回復していくという。

次の世代のためにも食を見直すべき

世界が絶賛する日本食は太古から戦前までおよそ2000年もの間守られてきた。日本が誇るべき食文化であるが、それが戦後わずか60年で壊されてしまった。しかし今ならまだ、その頃の食を知る人が生きている。おじいちゃんやおばあちゃんなどにもう一度日本食を学び、本来の日本人にあった食や文化を取り戻す最後のチャンスだと強調する。

80歳を迎えた真弓氏。最近は葬儀に参加することも多く、自分より年上の90代や100歳を超える人を見送ることよりも60代、70代といった後輩を見送ることのほうが多く、辛いという。世界中で注目されている日本の食文化。食が命であることをもう一度思い出し、食を見直していくことが、私たちの次の世代への責任であろう。

Copyright(C)JAFRA. All rights reserved.