「食」関連トピックス
漢方とアロマの融合〜「コ・メディカル産業展2013」セミナー

2013年9月27日(金)、東京都立産業貿易センター浜松町館で、「コ・メディカル産業展2013」が開催された。同展示会のセミナーから鍼灸師の松下 寿子氏による「漢方オイル経絡マッサージ」を紹介する。


人間が持つ自然治癒力を高める

経絡とは中医学の考え方であり、気と血液の通り道を意味している。この経絡は体の各部位と相互関係がありそれは体系づけられているため、経絡の通りを良くすることが、気と血液の流れを良くするだけでなく、関連する各臓器や器官の働きを活性し、人間が持つ自然治癒力を高めることに役立つと考えられているという。

鍼灸治療院を営む父親の影響を受け、幼いころから鍼や指圧による「お手当」や体を冷やさない生活など疾病予防を日常的に行ってきた松下氏は、その魅力に引き込まれ自らも高校卒業後鍼灸の専門学校へ進学し、鍼灸師を目指したという。

もちろん鍼灸師の国家資格に無事合格し現在も施術をするが、その専門学校ではもう一つの運命的な出合いがあったそうだ。それがアロマテラピーである。

鍼灸師の勉強は難解な用語や専門的な知識を理解するのが大変であったが、専門学校の授業の一環で学んだアロマテラピーによるトリートメントを自ら体験した時、オイルトリートメントの心地よさ、人の手で直に触れられるトリートメントによるリラクゼーション、心地良い香りに包まれる幸福感には難しいことなど一切含まれず、ただただ気持ちよく効果があることを体感し、松下氏はすぐに虜になったという。

漢方とアロマを融合、「漢方オイル経絡マッサージ」の誕生

そこで気の流れを整えること中心に考える東洋医学である鍼灸と、筋肉やリンパ、骨格へ働きかける要素も強い西洋医学の流れを汲んだアロマテラピートリートメントを融合させることができないかと考えたるようになる。そしてこの「漢方オイル経絡マッサージ」が誕生したのだ。

今回は実際の経絡トリートメントがどのようなものなのか、実演を交えながら解説が行われた。まずは東洋医学を語る上で欠くことのできない、よく知られる「太極図」について説明。太極図は陰陽の世界感を現しているが、宇宙のすべてのものも陰と陽に分類することができ、それをどちらか一方に偏らせるのではなく、バランスを取る、つまり中庸を目指すことが東洋医学及び経絡トリートメントの目指すところでもあるという。

例えば、そもそも女性は陰に傾きがちであるため、陽をプラスすることで中庸に近づく。陽に近づける要素としては、体を温めることや、毒素を出すことなどが挙げられる。また東洋医学では体の右側を陰、左側を陽、また体の前側を陰、背中側を陽と考えるそうであるが、トリートメントをしながら、体の傾きの左右差や前後差、こわばりなどの左右差や前後差も見極め、中庸に整えるように手技を施していくという。

漢方経絡トリートメントの特徴として、まずオイルを全身にゆったりと塗布していく。これはクライアントの呼吸を本来ゆったり流れている気の流れに合わせる役割を果たしているという。オイルの塗布も経絡の流れに沿い、体の中心である督脈の流れからスタートし、背中全体に、そして太腿の内側から足先、足先から脚の外側を通って下から上へと流れるように塗布していく。

ツボを刺激しながらトリートメント

背面全体に塗布が終わったら全身のトリートメントが始まる。頭痛や眼精疲労などに効果があることで知られる首の付け根にある「風池のツボ」から肩にかけてゆっくりとオイルでトリートメントし、肩甲骨の位置を調整する手技を入れ、内臓とつながる背中の大きな筋肉(脊柱起立筋)を徐々にほぐしながら下肢へ降りて行く。

お尻にあるツボ「環跳」や「承扶」のツボを刺激しながらトリートメントすることで、その場で皮膚に赤味が差し出し、血流がよくなっているのが目に見てわかる。一般的なトリートメントでは上半身と下半身で分けてトリートメントが行われるが、経絡トリートメントでは気の流れを促進させるために、右半身を上から下まで終えてから左半身に進むのも特徴だ。

そして両方が終わったら体の陰の部分である前側に移る。体の前側のトリートメントはお腹からスタートする。一般のトリートメントではお腹を触ることはとても少ないが、経絡トリートメントでは時間をかけて漢方オイルを直接経皮吸収させて内臓に働きかけていく。背面のトリートメント同様、お腹が終わったら、体の右側、左側と進んで行く。

実際、簡易版ではあったが全身の漢方経絡トリートメントを終えたモデルの方は、トリートメント前にくらべ明らかにウエストが引き締まり、脚全体もむくみがとれてすっきりした印象だ。これは経絡に沿って流れをスムーズにした効果でもあるそうだが、筋肉やリンパに働きかけた効果でもあるという。また施術に使用するオイルには漢方薬がブレンドされており、このオイルが経穴に直接入り経絡を巡ることでそれぞれの器官により効果的に働きかける。つまり鍼灸や漢方薬と同様の効果をより直接的に取り入れている手法が「漢方経絡トリートメント」であると解説。

痛みやしこり、経穴や経絡の滞り

最後に松下氏はこのトリートメントの5つの特徴を次のようにまとめた。1、陰陽のバランスを整える効果。2、内臓に直接働きかけ、活性する効果。3、オイルによるリラクゼーション効果。4、リンパの流れを促進することによる代謝アップ効果。5、筋肉と骨格に働きかけることによるボデイメイク効果である。

難しいことを考えなくても、体のなかで疲れを感じるところがあればそこをさすったり押したりしてみると、そこに痛みやしこりがあることに気づく。それこそ経穴や経絡の滞りであるそうだ。

東洋医学では病気になる前の未病の状態でいかに「お手当」をするかを大事にし、これが予防医学の考えにも通じる。病院に行くほどでもないがちょっとした不調を感じた段階で漢方経絡オイルトリートメントを含め、何らかのセルフケアを行うことで未病の状態で不調が解消することは少なくない。日々のセルフケアで病気を防ぐことが何よりも重要だとした。

Copyright(C)JAFRA. All rights reserved.