「食」関連トピックス
NK細胞を活性化し、「健康貯金」を増やす生き方
第8回日本の食育セミナー

2013年11月3日(日)、東京都庁で、特定非営利活動法人 日本成人病予防協会主催、東京都共催の「第8回 食育セミナー」が開催された。テレビや雑誌等メディアで活躍する医学博士の海原純子氏が「心と体をキレイにする食」と題して講演した。


「健康貯金」を減らす三大要素は、「喫煙」「過度の飲酒」「過度なストレス」
同じ60代でも実年齢より歳をとって見える人と、若く見える人がいる。その差は一体何なのか?これは「健康貯金」、「美容貯金」といわれる日常生活の過ごし方の差であると海原氏。
自身の「健康貯金」については次のチェックテストを行うとよいという。
・喫煙はしていない
・過度な飲酒はしていない
・毎日朝ご飯を食べている
・睡眠時間は平均少なくとも6時間以上
・一日の労働時間は9時間未満
・買い物や散歩でも構わないが毎日定期的な運動をしている
・バランスを考えて食事を摂るようにしている
・ストレスを上手に乗り切っている

以上の8項目のうち○が4つ以下だと「健康貯金」はかなり消耗していると海原氏は警告する。5つ以上で良好。7つ以上で優秀ということだ。

「健康貯金」を減らす三大要素は、「喫煙」「過度の飲酒」「過度なストレス」で、特にストレスによる健康被害については誰もがそのメカニズムを理解すべきという。

ストレスが生じると、体内では「戦わなければ」、あるいは「逃げなければ」という反応が起きる。これは危険から身を守るために非常に大切な反応だが、この時に体内では2つの変化が起こっている。

一つがホルモン反応。ストレスフルの状態の時には、コルチゾールやアドレナリン、ノルアドレナリンといったホルモンが分泌され、特にコルチゾールが分泌されると血圧が高くなる、動脈硬化が促進するといったマイナイスの反応が起きる。つまり交感神経の緊張状態である。もう一つの変化は免疫の変化。コルチゾールは免疫を担うリンパ球の一つであるNK細胞の働きを無効にする。

NK細胞を増やす方法、「いい気分でいること」「楽しい気持ちでいること」

世の中には90歳を過ぎても元気で、いわゆるピンピンコロリで天寿を全うする人がいる。そういう人でも、死後体を調べるとがん細胞が見つかることが少なくないという。では、がん治療をしながら苦しんで亡くなる人とどのような差があるのか。それがNK細胞の差であると海原氏は解説。

がん細胞を攻撃する力を持ったNK細胞=免疫力が高いと、体内にがんが発生しても、それを大きくしたり転移させることなく生涯戦い続けてくれるため、がんに気づくことや痛みを感じることなく天寿を全うできるのだという。従ってだれもがNK細胞を増やしたいということになるが、これは薬や治療では増やせない。まさに個人の生き方に左右される。

5分でNK細胞は活性化

今のところ、NK細胞を増やすたった一つの方法は、「いい気分でいること」「楽しい気持ちでいること」、これだけしか見つかっていないという。つまりできるだけ「いい気分で、あるいは楽しい気分でいる」ことこそ「健康貯金」の貯蓄に役立つというわけだ。では、どれくらいいい気分でいればNK細胞が活性するのか?これをヒトで調査したデータによると、わずか5分で活性されることが明らかだという。

一日5分でもいい気分でいることが非常に重要ということになるが、このわずか5分のいい気分が難しいと海原氏。というのも多くの現代人、特に日本人は、無感覚無感情な状態でいる時間かイライラしている時間が圧倒的に長く、実際病院に訪れる人をみていても、たったの5分も楽しい気分を持てない人が多いと指摘。

ストレスも日々起こる嫌な出来事も、決して恐れる必要はない。それは生ゴミのようなもので、日々処理すれば臭いも腐敗も進まない。しかし処理をせずに蓄えることで状況が悪化する。どんなに嫌なことがあっても、それを寝る前にはリセットし、翌日には引きずらないようにすることが大切だと海原氏。

A型人間はストレスが溜まりやすい

そしてもう一つ、A型人間の増加も問題があると指摘。A型とは血液型のことではなく、「aggressive(攻撃的)」のAである。自分がA型人間かをチェックするには次のチェックテストを行うとよいという。

・何でも競争にしてしまい、勝ち負けが気になる
・人からほめられたい、あるいは有名になりたい
・時間に追われながら仕事をするのが好き
・食事が早食い
・早口
・物事の進行が遅いとイライラしてあたりちらす
・列に並ぶのがきらい
・何もしないと罪悪感を感じる
・行動力とはたくさんの成果を生み出すことだと思っている
・習い事を3つ以上している ・車の渋滞ですぐにイライラする

チェックが3つまでだと穏やかタイプ。4〜5つでA型予備軍。6つ以上でA型と判定できるそうだ。このタイプは活発で自己主張も上手だが、そうでない人に比べ心筋梗塞のリスクが2.4倍に跳ね上がるという調査結果もあるという。勝つことを大事にすることは悪くはないが、勝っている時にだけしか良い気分になれず、負けると極端なストレスにさらされるのが問題であるという。

また人に弱みを見せたくないため、負けた時にもポーカーフェイスを装うかリベンジを密かに誓い、緩めることができない。そして自分に厳しいだけでなく人に厳しいため心から気を許せる友人に恵まれない。遊びを遊びとして捉えられず、すぐに資格を取りたくなる。向上心は結構だが、それを勝ち負けにしてしまうために楽しめない、競争になる、ストレスがたまるという悪循環に陥りがちだ。

近年、A型気質が増えている

このタイプの人が「性格だから」といって自分の性質を改善せずに病気になるのはまだ仕方がないが、最大の問題はこのタイプの周りにいる人も病気になりやすい点である。A型気質が強すぎる人の部下や家族はたいてい疲れ切ってしまう。A型の人は鈍い人や失敗する人を許せないので、そういう人をみるとすぐにイライラする。

それをされた相手は追いつめられてますますうまくできなくなる。これは統計学的に明らかで、家庭の中でお父さんがA型気質だと、たいてい子どもは受験に失敗するという。母親や祖父母などが、結果ではなく子どものプロセスを見てあげなければ、子どもは常に過度のプレッシャーにさらされ伸び伸びと個性や知性を発揮することができない。

近年子どもの学力や運動能力などの低下が叫ばれるが、その背景には、両親ともにA型という家庭が増えていることもあると海原氏は指摘。効率社会、競争社会、成果主義の社会に生きる現代の日本人の多くが、本来もって生まれた穏やかさやゆとりを失い、A型気質になりつつある。そのことを各自が自覚し、結果よりもプロセスを重視した生き方にシフトする必要があるとアドバイス。なぜなら幸せとは外にあるものではなく内にあるもの、そしてプロセスにあるものだからと海原氏は断言する。

現代人は、幸せのアッパーリミットが短くなっている

アメリカでは宝くじの当選金額が莫大で1等が当選すると10億程度のお金を手にすることができるそうだ。しかしそれほどの莫大な財産を手にした人を一年程追っていくと、たいてい当選者の幸せは当選をピークに目減りし、一年後は当選していなかった人と同等、あるいはそれ以下の幸せ度に低下することが判明しているという。

これは幸せのアッパーリミットともいうそうだが、私たち人間は持っているものには簡単に慣れてしまい幸せを感じにくくなるという特徴があるからだという。例えばパートナーに指輪を買ってもらい、幸せな気分でいられるのはどれくらいの時間か?もしその指輪を見るたびに、もらった時と同じ幸せな気持ちが蘇るのであれば、それはアッパーリミットが長い人で、非常に幸せな人だといえる。しかし多くの人が数日でその気持ちを失ってしまう。

あるいは、もらったその場からパートナーの行動を疑う人さえいる。そしてアッパーリミットが短くなる背景には、A型気質の親に育てられたことがあるという。例えば、子どもが90点という比較的優秀な点数を取ってきたとしてもA型の親は「あとちょっとだったのに」「もっと頑張りなさい」「油断しないでね」などと、ほめるよりもネガティブな発言をしがちだという。そのため日本人の子どもは比較的早い段階で「幸せは長くは続かない」「幸せのあとには怖いことがある」という思考パターンを作ってしまい、その後の人生においてアッパーリミットが短くなってしまうという傾向にあると海原氏は解説。

自分が楽しめる時間を作り、「健康貯金」を増やす

私たちは当たり前に動いている心臓、そばにいてくれる家族、今の健康、仕事に幸せを感じることが少なすぎる。それは断水時の水のようなもので、失ってはじめてその有難さに気がつく。平均寿命の短いある途上国では、朝狩りにでかけたパートナーが夜無事に帰ってくるだけで歓喜の踊りを舞う習慣があるそうだが、日本ではパートナーが無事に帰宅するくらい当たり前で幸せは感じにくい。つまり幸せを結果や外に求めすぎると、当たり前の幸せを感じる感度が低下するのだ。

そしてもう一つ、プロセスを楽しむことを大切にする必要があると海原氏はアドバイス。自分のなかで苦痛なく努力できる、継続できる、少しの進歩にでも喜びを感じられる、そのことでお金を稼ぐ必要がなく、賞を取る必要もなく、ほめられる必要もなく、自分だけがハッピーな気持ちでいるために続けたくなる贅沢な時間。例えば自分のための料理、音楽、運動といった贅沢な趣味を持つことが、A型気質を和らげ、プロセスや持っているものに幸せを感じられ、アッパーリミットを長くすることができる秘訣だと海原氏はいう。

この時間があれば「いい気分、楽しい気分でいる時間」は長くなり、NK細胞と健康貯金も大きく増える。食事に関していえば、家族のために、スーパーで安かったから、早く作りたかったから、余らせたくなかったから、時間が来たから、とさまざまな理由で多くの人が頭で考えて食事をしていることが多い。

しかし本当に体が欲しているもの、自分がいま食べたいものを食べたいタイミングで丁寧に摂るようにすること、あるいは料理をすることで食事のプロセスを楽しむことができ、A型気質を和らげることにつながる、と海原氏はアドバイスする。 健康法や健康に良い食べ物に関する情報があふれるが、そういったものに振り回される前に、私たちの生き方、心のあり方を見直すべきだとした。

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