【 2012/2 】

納豆、幼児のアトピー性皮膚炎の発症を抑制

2月18日付けの朝日新聞で、千葉大の研究で妊娠中の女性の食事がアトピー性皮膚炎の発症に影響する可能性が高いことが分かったと報じている。 それによると、納豆を毎日食べていた女性の子供はアトピー性皮膚炎の発症率が低く、バターを毎日食べていた女性の子供は発症率が高いことが判明したという。

調査は、2007-08年に千葉大学付属病院などで出産した女性と生後6カ月の子供650組を分析。 そのうち、114人(18%)が2カ月以上のかゆみを伴う湿疹を繰り返し、アトピー性皮膚炎と診断されたが、納豆を毎日食べた女性から生まれた子供は7%しかアトピーを発症しなかった。一方、納豆を食べない子供の場合は19%と高かったという。

また、バターを毎日食べた女性の子供は35%がアトピーを発症したが、食べない子供は17%と低かったという。ちなみに、魚、マーガリン、ヨーグルトでは差が出なかったという。研究者らは、納豆に含まれる成分のレバン、バターに含まれるパルミチン酸が発症に関連している可能性があるとみているという。

ところで、アトピー性皮膚炎の発症は腸内細菌叢と深く関わっていることも明らかになりつつある。生まれたての赤ちゃんは、ミルクの乳糖でビフィズス菌が増え、それらの有用菌が腸内の95%を占める。アトピー性皮膚炎の子供は腸内にビフィズス菌や乳酸菌が少ないことが報告されている。納豆は腸内での有用菌の産生に一役買う。

最近の報告では、乳児のアレルギーリスクの低下に、妊娠中のビタミンB摂取が有益であることがAllergy誌2012/1月号でも報じられている。ちなみにビタミンB群の葉酸は胎児の発育や神経管障害に関わる栄養素で、米国では国を上げて摂取を奨励している。


葉酸が小児の言語スキルの改善に役立つことも報告されている(Journal of the American Medical Association誌2011/10月号)。Norwegian Institute of Public Health研究者グループが、2008年にノルウェー人小児38,954人(男児19,956人、女児18,998人)を対象に行った研究結果を分析。小児の母親は妊娠4週間前から妊娠8週間後まで通常のサプリメントおよび葉酸サプリメントを摂取した。

分析の結果、38,954人中204人に重度の言語遅延が認められたが、母親が妊娠時期にサプリメントを摂取しなかった小児の0.9%に重度の言語遅延があった。また、葉酸を含まないサプリメントを摂取した母親の小児にも同様の結果がみられた。一方、母親が葉酸を摂取した小児で、重度言語遅延が認められた割合は0.4%だったという。

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