感染症などの疾患対策、栄養療法をまず先に

国際オーソモレキュラー医学会
点滴療法研究会
会長 柳澤厚生氏

近年、鳥インフルエンザやエボラ出血熱など感染症の世界的な拡大が懸念されている。一方で、それらが発生しやすい地域と栄養素との関係が明らかになりつつある。90年代後半、アメリカは行き詰まった現代医学の補完に、栄養療法を取り入れるなど大きく舵を切った。高濃度ビタミンC点滴療法など、最先端の栄養療法で海外からも注目される、国際オーソモレキュラー医学会会長の柳澤厚生氏にエボラ出血熱などの感染症対策について伺った。

--- エボラ出血熱の世界的規模の感染が心配されていますが

柳澤:現在、エボラウイルス(エンテロウイルス)には、ワクチンや特異的な治療法がないために対処療法が行われています。

エボラに関しては、恐い、方法がないといった極端な情報発信がなされています。しかし、これは全く新種のウイルスというわけではなく、過去にもいろいろな研究や事例があります。

過去に、人はこうしたウイルスに対して無力だったのでしょうか。まず、これまでのいろいろな基礎・臨床研究、疫学など振り返って見ることが本筋です。

エボラについてはワクチンがありませんから、新たに開発しましょう、といっています。

しかし、1995年に出たエボラに関する論文では、エボラはセレニウム(Se)依存の可能性がある、エボラウイルスが増える時にセレニウムをものすごく必要とする、としています。まさに栄養と関わっているということです。



土壌にセレニウムが少ない地域から、エボラ、HIV、サーズ、ブタ・鳥インフルエンザの流行が始まっています。土壌にセレニウムがたくさんある地域からは発生していません。 中国の論文ですが、中国でもウイルス性出血熱が流行したことがあり、重篤の場合は、ほぼ100%死亡しています。しかし、セレニウムを与えることで死亡率は40%まで減ったということです。

また、重篤例にセレニウムを与えると死亡がゼロだったという論文もあります。セレニウムの不足している地域でそうしたことが起きたわけで、そうなるとやはりセレニウムが重要なカギになるということです。

--- セレニウムというと抗酸化と関連しますね

柳澤:エボラの流行地域の人々の血中のセレニウムをみると確かに少ないです。セレニウムは酸化・還元作用の還元の働きをし、活性酸素を抑えるために必要です。ウイルスは増殖する時、セレニウムを奪いますので、セレニウムが少ない地域の人たちは活性酸素にさらされ、重症化します。

10月の時点で、19人がエボラに罹り、5人が亡くなっています。3人はリマ、ナイジェリア、リベリア人で、2人はスペイン人ですが、布教活動で現地に長期滞在していましたから、セレニウム欠乏になっていたはずです。感染しても元々栄養状態の良い欧米の人たちはほぼ全員回復しています。 そうすると、ワクチンの前に、まずセレニウムを摂るなど栄養状態を良くすることで死亡率を減らすことができるのではないのか、ということが考えられます。

エボラというと殺人ウイルスのようなイメージですが、ただ座して待つというのではなく、先人の知恵を借りれば、十分な栄養を摂り、身体の抗酸化能を最大限に高め、とくにセレニウムを十分に摂ることで、罹っても致死率を低くすることができるのではないかということです。事実、海外で感染した人の生存率や過去のセレニウムの研究をみるとそのことがいえそうです。

ただ、じゃあその証拠は、エビデンスはということですが、エビデンスというのは私は科学ではないと思っています。出てきたものに対して証明されたものがエビデンスですが、新たなものが出てきた時、過去の経験とか考えながら対応していくのが学者であると思っています。こうした考えは、私独自というより、統合医療を行っている人たちが持っている共通の認識です。

--- エボラに対する栄養での予防は具体的にどのようなものですか

柳澤:エボラの栄養療法では、1日に、ビタミンCを6〜10g、ビタミンD3を5000単位、セレニウムを400〜600μg、亜鉛を30〜60mg、ビタミンA、B、オメガ3脂肪酸を適宜といったものです。

基本的にはセレニウムなどの抗酸化成分を摂り、自身の抗酸化能を高めればエボラウイルスの変異を抑えることができると考えられます。我々は先人の知識や過去の経験から多くを学びエボラに対応すべきです。

--- 先生は患者さんにどのような治療を行っていますか

柳澤:私は点滴療法と栄養療法の両方を行っています。点滴はあくまでもレスキューで、どうしても口から入りきらない場合に行います。

私が行っているのは基本的にはビタミン・ミネラルの投与です。アルファ・リポ酸とか、そうしたものを十分摂ることで病気の予防を行うというものです。

日本ではグルタチオンは肝臓の薬ですが、海外ではサプリメントです。このグルタチオンをパーキンソン病の患者さんに点滴しますと、6週間後に寝ていた患者さんが歩き始めたという事例があります。週1回の点滴を4年行ったところ、全てのパーキンソン物質が消えていました。もちろん全ての人に効果があるというわけではありませんが、6割くらいの方に有効です。

--- ビタミンCも抗酸化作用が高く感染症に有用と聞きますが

柳澤:ビタミンCでインフルエンザの症状は軽いものになります。ビタミンCの経口投与でポリオの障害から回復した、サーズの重篤例がビタミンCで回復したという事例もあります。

病気になった、風邪を引いた、お腹がいたい、身体がだるいというとすぐに薬を使います。アメリカでは薬の副作用で何千人も亡くなっています。しかし、ビタミンで亡くなった人はいません。

そうすると、まずは副作用の少ない栄養療法から始めるということ。それでもダメな時は、薬を使うということです。確かに薬は交通事故や救急の時は必要です。しかし、まずは食事やライフスタイルを見直し、予防や治療ではまず栄養療法から先にやりましょうというのがオーソモレキュラー、分子栄養医学の考え方です。

2002年6月のアメリカの医師会雑誌『The Journal of the American Medical Association 』に、アメリカでは慢性的なビタミン・ミネラル不足が心臓病や脳卒中などの生活習慣病を引き起こしていて、食事から十分なミネラル・ビタミンを摂ることはもはや不可能なことであるという論文が載っています。それほどアメリカは食事が偏っているため、ビタミン・ミネラルを補給することが肝要であるということです。

--- ビタミンCは放射線傷害にも良いということですが

柳澤:放射線は遺伝子を傷付けます。放射線が直接当たって遺伝子を傷付けるのは20%です。残りの80%は電離放射線という形で水の分子に当たり、活性酸素を発生させ遺伝子を傷付けます。つまり直接傷害と間接傷害とがあります。直接傷害は仕方ありませんが、間接傷害は活性酸素ですからビタミンCで消せるのではないか、ということです。

2010年春、防衛医大・陸上自衛隊の研究論文で『ラジエーションジャーナル』に掲載されたものがあります。これは2011年の福島原発事故の1年前に行われた研究で、もともとJOC東海村で起きたような原発事故を防ぐために行われたものです。

研究ではマウスにビタミンCを経口で3日間投与してから放射線を当て、次に骨髄移植をしました。最終的にビタミンCを投与することによって死亡率は半分になりました。 結論として、もし原発事故や放射能テロが発生した場合は、放射能汚染地域ではレスキュー隊にただちにビタミンCを経口投与することが重要としています。

研究結果からは体重60kgの人でビタミンC 7〜9gに相当します。実は、福島の原発事故でもレスキュー隊は、ビタミンCを飲んでいます。

2013年、原発事故の2年後にも、マウスに放射線を当てる直前にビタミンCを飲ませ、さらに当てた後も飲ませ続けると100%死亡を防ぐことができたという論文も出ています。

--- 7〜9gというとさほど多い量ではないですね

柳澤:福島に住んでいる人たちは数グラム、あるいは3〜4gでもいいです。それで心配ないわけです。こうした過去の論文で、ビタミンCで放射線傷害を予防できるという実験結果がすでに出ています。

私たちは原発事故が起きて1カ月と経たないうちに、ビタミンCを飲ませるよう、海外の人たちと一緒に公式声明を出しました。プレスリリースで200社以上に配信したでしょうか。

国際オーソモレキュラーの学会があった時、バンクーバーに行き、ビタミンCの放射線傷害への有用性を発表するとスタンディングオベーションでした。それで、日本政府が何もしないのであれば私たちは署名を集めて公式文書をだそうということで出しましたが、なしのつぶてでした。

ただ、エビデンスがないといわれても仕方ないので、福島原発作業員の遺伝子検査を行いました。そうすると18人中5人に異常が見られました。この人たちは福島に行って戻ってきた人たちです。

その後、ビタミンCの点滴とサプリメントの摂取で2カ月後にはみんな元に戻りました。一人だけ正常値に戻らない人がいましたが、この人はこの間にまた福島に行ってがれきの間を歩いていた人でした。こうした研究結果は国際オーソモレキュラー学会でも発表し、海外の分子栄養学の教科書にも載っています。

しかし、こうしたことはいろいろなところで無視されています。ライナス・ポーリング博士がビタミンCががんに効くといった時にもパッシングを受けました。同じように、ビタミンCがエボラや放射線に良いといっても無視です。

コーデックスではメガドース(大量摂取)のビタミンに制限を設けています。ですからヨーロッパは困っています。高濃度ビタミンC点滴療法も25gまではできますが、50g、100gというのは法律上できません。点滴もサプリメントにもいろいろな規制がかかっています。

--- 逆に、効果があるから制限をかけているということでしょうか

柳澤:効果がない量ならいいということかも知れません。治療レベルのビタミン・ミネラルには制限を加えるということです。以前、米国ニューヨークのスローン・ケタリング癌センターで、ビタミンCを事前に飲むと抗がん剤の作用が減弱するというマウスの実験結果が出たことがあります。それが出た翌日、医療界はそのことを大きく取り上げました。

しかし、その時に使っていたビタミンCはデヒドロアスコルビン酸でした。つまり酸化されたビタミンCを使っていたわけです。

--- 子宮頸がんワクチンの副反応のことも問題になっていますね

柳澤:子宮頸がんワクチンについては、国は積極推奨を控えましたが、現在、後遺症で悩まされている子たちがたくさんいます。私の所にも来ています。2年、3年と摂取した子たちの副作用が進行しています。

そういう子たちに、ビタミンCやグルタチオンの点滴、ビタミン・ミネラルのサプリメントを使っていますが、すごく良くなっています。1日中、痙攣していた子の痙攣がなくなったり、車イスや杖で来ていた子がそれが必要なくなったりしています。

国は副反応の調査をしますというだけで、何もやっていません。患者さんの検査をし、診断し、診断名が付くと保険がおりて治療ができます。診断名が付かなければ治療が始められません。

後遺症が酷い場合、ステロイドとか使っていますが、私はどういう栄養素が足りなくてどういう代謝になっているかが分かりますから点滴やサプリメントで治療を行っています。

ワクチンで子宮頸がんを予防するという根拠はゼロです。前がん病変と称するものは減らせるかもしれませんが、ほとんどが何年か経てば自然消失します。

そうすると100人に1人もメリットはありません。やってもやらなくても同じです。ワクチンをやっても子宮頸がんになっていたかも知れませんし、もともとやらなくても何も起きません。

ワクチンの効果は長くて10数年です。その先どうするのかということです。そうしたことに公費を使わなくても、健康的な食事や定期検査で子宮頸がんは予防できます。

--- 日本での栄養療法の現状についてお聞かせください

柳澤:ずいぶん流れが変わってきているように感じます。最近は、抗加齢学会でも私たちのブースに若いお医者さんたちがたくさん集まるようになっています。今の医療の限界が分かってきて、このままではまずいなという危機感があるのかも知れません。何か新しいことをと、サプリメントに関心を持っているのだと思います。

私たちは栄養療法をやっていますが、結局は自分の抗酸化能力、予備能を最大に高めることが大切で、それがアンチエイジングであり、がん予防であり、エボラなどの感染症対策になります。

1日に、ビタミンCを3〜4g、アルファ・リポ酸を100〜200mg、セレニウムを50〜100μg 、ビタミンEを100〜200mg、が基本で、健康に関心がある人はこれくらいなら飲んでいると思いますが、これを摂っていると実年齢より若く見えます。

活性酸素で炎症が起きますから、まずそれを抑えること。なにも難しく考えることはありません。抗酸化=アンチエイジングです。基本的なサプリメントはそう変わりありません。抗酸化はいろんな意味で基本です。



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