医療現場におけるサプリメントの使用実態などを報告

2005年7月31日(日)、EBM推進協議会の第7回セミナーが開催された。当日、久保 明氏(高輪メディカルクリニック院長)、陳 端東氏(陳瑞東クリニック院長) 、福田 一典氏(銀座東京クリニック院長)らが、医療現場におけるサプリメントの使用実態などを報告した。

サプリメントの検証方法の検証も必要

同協議会は、医学的根拠(EBM)のあるサプリメントの情報を医療関係者、一般生活者に提供することなどを目的に、2001年3月に設立。
久保氏は、「メディカルサブリメントの実践と展望」と題した講演で、7月15日号のサイエンス誌に掲載の、老化の過程において酸化ストレスはあまり関係ない、という研究報告について、「ネズミによる短期間のデータのため、人間のエージングにおいて同じようなことがいえるかどうか疑問」と指摘。ただ、科学に立脚した基礎的で地道な研究姿勢には非常に感銘を受けた、と述べた。

また、医療現場におけるサプリメント使用の経験から、「人それぞれの体質に基づいた投与を考えなければいけない」と漢方理論に基づいたサプリメント投与についても言及。 メディカルサプリメントの条件として、有用性の検証方法についても検証する必要があることなど指摘した。

陳氏は、「更年期の状態の変化に応じたサブリメントの使い方」と題した講演で、「のぼせは女性ホルモンがなくなると起り、女性ホルモンを足すと消えるが、女性ホルモンだけでなくても治療ができる」と指摘、イソフラボンやブラックコホッシュ、月見草オイル、チェストツリー、ローヤルゼリー、ザクロなど候補素材を挙げた。

ネガティブな情報も伝えるべき

福田氏は、「医師から提案する抗がんサブリメントの指針」と題して講演し、「グローバルな傾向として有用性が科学的に解明されたサプリメントを臨床に応用する動きが世界で広がっている。医師や薬剤師も安全性や有効性に関するエビデンスがあり、品質の信頼できる製品を使うことを重視するようになりつつある」と現況を報告。
問題点として、「利用者にはサプリメントの良い面のみが誇大化されて伝わる傾向にあり、ネガティブな情報が十分伝わっていない」ことを指摘した。

また、「がん治療における統合医療が今後発展していく方向にあるが、がんの治療の場合に医療用サプリメントも必要になってくる。サプリメントに対してもEBMが求められている。良いものが残るようにならないと統合医療も発展しない」と展望を述べた。


Copyright(C)2005 JAFRA. All rights reserved.