セルフプリベンションのための
健康・機能性食品の有用性報告


11月8日、日本医科大学同窓会館橘桜ホールで「21世紀食と健康フォーラム」(主催:日本未病システム学会)が開催された。がんや習慣生活病など各種疾患対策に機能性素材の役割が期待される中、シンポジウムでは「あなたが選ぶ、機能性食品の科学的検証」と題して5題の研究報告が発表された。

ガン細胞の増殖速度が鈍化など最新報告

当日、報告された機能性素材は下記の通り。

  1. 「タマネギ濃縮エキスの血糖代謝への影響」(文京第一医院院長 斎藤嘉美)
  2. 「紅豆杉と選択的抗ガン作用」(金沢医科大学大学院分子細胞形態学担当教授 信川高寛)
  3. 「グルコサミンの抗リウマチ作用」(順天堂大学医学部生化学第二講座教授 長岡 功)
  4. 「ガンに及ぼすサメ軟骨の効果」(日本医科大学実験動物管理学教室講師 七戸和博)
  5. 「精製ナットウ菌培養物(NKCP)の血液に対する影響について」(獨協医科大学法医学教室 大村和伸)

この中で、斎藤氏は、タマネギ濃縮エキスの有用性について、タマネギの濃縮乾燥粒を用い、糖尿病患者の食後高血糖およびヘモグロビンAIC(HbAIC)値の抑制効果について報告した。ヒト試験で、被験者には早朝空腹時に20粒、または早朝と夕食前に2回に分けて10粒ずつを連日服用させた。第1回目の臨床試験では糖尿病歴が5年以上で薬物療法を受けている11症例(男性4例、女性7例)を、第2回目の臨床試験では糖尿病歴、薬物両方の有無は無関係に22症例(男性10例、女性12例 *6例の重複症例含む)を選んだ。使用中の糖尿病薬はそのまま投与、又、症例により薬剤の減量または中止した。 その結果、それぞれ食後血糖値は有意の低下を示し、タマネギの濃縮乾燥粒が食後の高血糖の是正に有用であることが判ったと報告した。

また、「ガンに及ぼすサメ軟骨の効果」についての七戸氏の報告では、ほぼ同じ体重の健康なマウスを2群に分け、一方には普通のマウスの餌を、他方にはサメ軟骨を1%混ぜた餌を与えて3週間飼育した。その後、エールリッヒ腹水ガン細胞10万個をマウスの鼠頚部に移植し、成長していく腫瘍の長径と短径を7週間観察した。

その結果、サメ軟骨を混ぜた餌を食べたマウスの方がガン細胞の増殖速度が遅かったことが判った。また、腫瘍摘出後の体重は、サメ軟骨摂取マウスの方が重く、ガン細胞の増殖が遅いために体力の消耗も少なく、痩せ方が少なかったと報告した。

精製ナットウ菌、血栓症の予防や局所循環の改善に有用

日本の伝統食である大豆は、血流改善や更年期障害の緩和など、その機能性が世界的にも注目されているが、大村氏は「精製ナットウ菌培養物(NKCP)の血液に対する影響について」と題して研究成果を報告。成人を対象に、被験者に、1錠中にNKCPを125mg含有する錠型食品「エヌケイシーピー」を1日1回夕食後に2錠(NKCP換算で250mg)毎日摂取させた。まず、2週間の連続摂取試験では年齢59.1±12.1歳の28例(男性11名、女性17名)を対象を行い、自覚症状(頭痛、肩こり、めまい)を調査した。次に、年齢51.7±12.4歳の23例(男性14名、女性9名)を対象に長期摂取時の摂取開始前、摂取後1カ月、2カ月目を検査・診察した。

その結果、2週間の連続摂取試験、長期摂取試験ともに血栓溶解能は有意に示し、摂取前の「肩こり」の改善がみられたと報告。NKCPの経口摂取は血栓症の予防や局所循環の改善に有用であるとした。


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