視覚に作用、ビルベリーエキス(アントシアニン)の吸収性理論
2010年5月19日(木)、東京ビックサイトで「第9回ヘルスフードエキスポ HFE JAPAN2011」が開催された。この中で、世界的なアントシアニン研究の第一人者であるThomas Eidenberger博士の最新研究の発表が行われた。

次世代型ビルベリーエキス(アントシアニン)の吸収性理論
Thomas Eidenberger博士(株式会社オムニカ担当社の代読)

目のトラブル、栄養学的なアプローチが最も効果的

Thomas Eidenberger博士は、アントシアニンの機能性について以下のように述べた。
高齢者の長寿化により視覚老化が増大し、日本で視覚障害者手帳交付者数は約35万人、視覚で日常に支障をきたしている人が約350万人、40代以上の5%が緑内障予備軍で、30%は白内障の兆候があり、80代になるとほぼ全員が白内障に罹患するという報告がある。

若年層も眼にストレスを与え過ぎている。パソコンや携帯で視力はどんどん低下しているが、多くが放置されているのが現状。視力が1,0未満の小学生は昭和63年の時点で19,6%だったが、平成16年には25,6%を超えるという報告もある。

眼のトラブルや視力低下を放置しておくと、眼精疲労、夜盲症、ドライアイ、眼球運動障害、白内障、糖尿病性網膜症、網膜色素変性症、緑内障などQOLを奪う深刻な症状を伴う疾病に罹患しかねない。眼のトラブルの対処に有効な方法は、実際のところ栄養学的なアプローチが最も効果的であり、予防、進行停止、自律回復を促すしかないと考えられている。

ビルベリー由来のものが一番吸収性が高い

栄養学的アプローチに有効な食品がビルベリー(ブルーベリー)である。ビルベリーには150種類以上も近縁種がある。ビルベリーは西洋、特に北欧で古くから食されていたが、機能性の研究が開始されたのは1960年代。1950年代戦時中の逸話でフランス軍隊は夜戦に備えてビルベリーを好んで摂取したというエピソードがあるが、それを証明するような資料は現存せず、ビルベリーの機能性研究は比較的新しいといえる。

ビルベリーに含まれる天然色素成分アントシアニンは、多くの植物に含まれ、赤キャベツや赤シソ、バラが赤いのもアントシアニンが関与している。 人体に吸収される割合は植物によってまちまちで、トーマス博士らの研究チームは眼病対策としてのアントシアニンは、ビルベリー由来のものが一番吸収性が高いと報告している。アントシアニンを一定量、継続して摂取すると眼の血流量を増やし、まぶしさなどの不快な症状の緩和に役立つ。

1970年代から眼のトラブル対策で実用化

ビルベリー由来のアントシアニンが眼のトラブル対策で実用化されるようになったのは1970年代から。当初、床ずれやあざといった皮膚疾病に関する研究が中心で、循環器系に働く医薬品として採取されていた。

アントシアニンを摂ることで、眼の症状が改善し、特に夜に眼がよく見える、という報告が相次ぎ、その後夜盲症、暗視障害など、暗がりで眼の働きをよくする効能が追加された。

1980年代には現在のビルベリーエキスとほぼ同じ濃度である30%以上の原料を使い、一般的な視力低下への効果効能を目的とした医薬品が開発され、1990年代以降もその研究が続けられている。

アントシアニン、ロドプシンを再合成

眼のトラブルのほとんどが毛様体筋の疲れによるもので、そうした症状は、血流促進により改善される。これにはロドプシンという眼に入った光を電気信号に変えるタンパク質が関与しており、アントシアニンはロドプシンの働きを高めることが近年わかってきている。

動物実験においてもアントシアニンを投与したグループとそうでないグループを比較すると、投与したグループはロドプシンを再合成する割合が高いことが報告されている。

しかしアントシアニンは化学的に非常に不安定で体内への取り込みは実は皆無に近い。そのため、アントシアニンの含有量の多いビルベリー果実のものが最もよく、一定以上の含有量までアントシアニンを高濃度し、吸収しやすいよう、PH3,0前後に調整したものが望ましい。

ビルベリーには、15種類ものアントシアニン配糖体が含まれており、他の植物類に比べ圧倒的にアントシアニンの含有量が多い。アントシアニン配糖体はアントシアニジンと糖類が結合したもので、体内で吸収されやすい。


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