高齢者が悩む膝関節症に朗報、「SAMe(サミー)」 〜健康博覧会2015セミナー

2015年3月11日(水)〜13日(金)、東京ビッグサイトで、「健康博覧会2015」が開催された。同展示会セミナーから潟zルスによる「3,000万人が悩む膝関節症に朗報 SAMe(サミー)」を取り上げる。


変形膝関節症、6割が女性

高齢者の多くを悩ませるのが関節の痛み、中でも膝の痛みは生活の質を著しく低下させる。

その多くが「変形膝関節症」と診断され、日本には予備軍も含め約3,000万人が膝の痛みを抱えているといわれる。

高齢化が進む先進諸国は、こうした問題を抱えているが、共通するのがどの国でも6割が女性ということ。

早い人で40代から膝に違和感を感じるようになり、年齢とともに徐々に歩くのが苦痛になる。そのうち、正座ができない、椅子から立ち上がれない、最悪の場合思わぬ転倒により骨折したり、痛みに耐えられなくなって歩行困難になったりする。

根本的な治療法は今のところない

こうなると最終的には人工関節で対応するしかない。変形膝関節症を根本から解決する治療法は今のところない。そもそも膝軟骨を含め、軟骨には血管や血液が通っていない。

そのため、移植もできなければ軟骨を再生させることも非常に難しい。せめて痛みを緩和させる、あるいは進行を遅らせる作用が期待されるサプリメントや健康食品がこれまでいくつも研究開発されてきた。

例えばコンドロイチンやグルコサミン、ヒアルロン酸がその代表格。しかし、ヒアルロン酸は軟骨の構成成分であるため痛みの緩和が期待されるが、分子量が大きいく、経口摂取では関節に吸収されにくい。

一般的に「ものすごく痛い」といわれる関節への直接注射によって、骨膜の内側に注入しなければなかなか効果がないといわれるのはそのためである。

またコンドロイチンも軟骨の構成成分だが、分子量が大きく関節の内部に侵入するのは難しいといわれている。

グルコサミンは、分子量が最も小さく「関節に効果がある」というエビデンスもあるが、専門家の間で効果については賛否両論で、誰にも満足のいく効果が発揮できるわけではないという現状があるという。

SAMe、70年代からうつ病の薬として処方

そうした中、サミーは新たな関節成分として非常に期待されているという。サミーは一般的に「SAMe」と表記され、正式には「Sアデノシルメチオニン」と呼ばれる。1950年代に発見され、70年代からヨーロッパでうつ病の薬として処方されてきた。

このサミーを服用した患者さんから「関節の具合が良くなった」という意外な副作用が多数報告され、検証の結果、サミーには関節に作用するメカニズムがあることがわかり、これがきっかけでサミーはアメリカに渡り、爆発的なブームが起きたという。

アメリカ人も多くの高齢者が膝関節症に悩んでおり、日本人より足が長いためなんと65歳以上の高齢者の30%に人工関節が入っているほどという。

サミー、分子量が非常に小さい

サミーは体内に入ると血液に乗って関節の骨膜まで辿り着くことがわかっている。サミーの分子量が非常に小さくわずか400程度。

コンドロイチンは数千、ヒアルロン酸は数百万も分子量があるため、骨膜を通らないといわれてきた。しかし、サミーは骨膜を通り抜け関節の内側で軟骨の主成分の再合成を促し、機能を維持するというメカニズムが解明されている。

グルコサミンは分子量が179.17とサミーより小さいが、サミーの利点はグルコサミンよりも摂取量が少なくて済むところにある。関節痛緩和が期待される摂取目安量はグルコサミンが1,000〜1,500mg/日に対し、サミーは400〜600mg/日で良いという。

日本酒の醸造等に使用される酵母由来のサミーであればサプリメントも可

すでに欧米ではサミーによって変形膝関節症に伴う痛みが軽減できた、日常の動作が楽になったという臨床試験や報告が多数なされているが、これまで海外で使用されているサミーは、日本では医薬品として分類され医師の処方がなければ使うことができなかった。

しかし、このたび日本酒の醸造等に使用される酵母に含まれた形であればサミーをサプリメントなどの食品に使用してよい、という見解が厚労省から発表され、サミーが日本でも身近な成分として登場しようとしているという。

変形膝関節症の予防のために、適度な運動を続ける、筋力を落とさない、肥満を予防する、O脚にならない、など日常で気をつけることはいくつもあるが、すでに痛みが始まっている人はリハビリが難しい。

これまでのサプリメントや成分で満足ができなかった人は特に、新たな選択肢の一つとしてサミーを利用してみるのも良いのではないか、とした。


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