サプリメント・美容・オーガニック食品の米国市場とFDA規制対応 〜健康博覧会2015セミナー

2015年3月11日(水)〜13日(金)、東京ビッグサイトで、「健康博覧会2015」が開催された。同展示会セミナーから平良 未来氏(グロービッツFDAコンサルティング)による「サプリメント・美容・オーガニック食品の米国市場とFDA規制対応」を取り上げる。


米国は先進国の中でも人口増加国

日本の高品質なサプリメントや機能性食品・成分を海外に輸出しようと考える企業が増えている。ジャパンブランドは世界的に人気が高いため、うまく行けば大きなリターンを得ることができるという。

しかし日本と海外では市場や制度が大きく異なる。グロービッツFDAコンサルティングでは、海外から日本に健康食品などを輸入、あるいは日本から特に米国に輸出する際のコンサルや窓口を行っている。その蓄積したノウハウから、今後日本から米国に輸出する際、どのようなことに留意すべきかを解説した。

米国はさまざまな人種の人々が生活し、多様性に富み、フレキシブルである。特に老舗でなければビジネスを受け入れないということもない。どのような企業にも平等にチャンスがあり、市場は非常にオープン。最も魅力的なのは、米国は先進国の中でも数少ない人口増加国であること。

米国は「階級社会」

人口の縮小に歯止めの利かない日本の企業が米国への事業展開に成功すれば、利益は大きい。特にサプリメントの市場は、米国は日本の180億ドルを遥かに上回る320億ドル突破で、サプリメントに対する認知、ニーズも非常に高い。

そんな米国市場だが、日本と最も異なる点は「階級社会である」ということ。

例えば、日本のスーパーやドラッグストアで購入できるサプリメントや健康食品は、ほとんどの百貨店で購入できる。逆に高級百貨店で購入できるもののほとんどをスーパーやドラッグストアで購入することができる。

しかし米国では高所得者、中所得者、低所得者で明らかに住むエリア、使用するスーパーが異なり、取り扱う商品ラインナップも大きく異なる。

特に国土の広い米国では、住むエリアで気候、文化、人種、宗教まで大きく異なるため、どのエリアでどのターゲットに届けたい商品なのか、事前のマーケティングが重要になる。

米国は「使い捨ての文化」

また、階級の違いに関係なく、日本は良いものを長く大切にする「匠の文化」が根底にあるが、米国は「安くてある程度使えればいい」という「使い捨ての文化」に生きているため、商品のメリットについて日本では伝わることでも米国では理解されないことが多い。

米国で期待されているマーケット

こうした背景の中で、現在米国で期待されるマーケットは主に2つ。1つが「アンチエイジング市場」。米国ではパブリックの場で女性に年齢を聞くことはタブー中のタブーだが、日本よりも「若さ、美しさ、強さ、裕福さ」を重視しており、外見も非常に重視されている。

そのためアンチエイジングに関する市場は右肩上がりで留まるところを知らない。もう1つが「オーガニック市場」。無農薬、化学肥料不使用、地球に優しいといった宣伝文句は米国において十分な市民権を得ている。

特に時間と手間のかかるオーガニック商品はそれだけ割高な物が多く、富裕層は高級という付加価値のついた商品をより積極的に求めている。高所得者層をターゲットにしたスーパーでは、扱う商品の9割以上がオーガニックというところもあるという。

FDAとUSDAの規制がポイント

実際米国の市場に進出するには大きく3つのパターンがある。まずは新たに市場に進出し、市場開拓を行うケース。そして、取引先の米国進出に伴い、紐付きで進出するケース。最後にディストリビューター経由で最終的に自社販売へ切り替えていくケース。

いずれにせよ、米国市場を理解し、綿密なプランを立てて実行に移す必要がある。どの方法で米国に進出するにしても、最も難しい課題となるのが米国独自の「規制」への対応。主にFDAとUSDAの規制がポイントになる。

FDAは日本の厚労省にあたる組織で、食品、化粧品、医療機器、薬品等幅広く取り扱い、米国人の安全を守るために日夜動いている。

FDAの規制は既に述べた対象だけでなく、それらを入れる容器やパッケージ、表示など幅広いため、自分たちが輸出しようとしている商品のどの部分がFDA規制のどれに当てはまるのかを十分に調査し、その要求に応じられる商品にリデザインする必要がある。

USDA、日本の農林水産省の役割

もう1つがUSDA。これは日本の農林水産省にあたる。野菜、肉や卵、家畜などの生鮮食品を扱っており、それらの商品に該当する場合はこのUSDAの要求する規制に準ずる必要がある。

生鮮食品の場合、日本の環境省に当たるEPAから出ているガイドラインや規制にも準ずる必要がある。例えば残留農薬に関する規制はEPAから出ているが、日本でOKでも米国では禁止されている農薬や、濃度規制を事前に確認しておく必要がある。

FDAの権限が強化

また、これらの連邦の規制だけでなく、米国の場合は州の規制がとても強い。例えばカリフォルニア州は発がん性のある物質への規制が連邦のものより厳しい。

現在、米国との貿易において「食品安全強化法」が話題になっているという。

これは簡単にいえばFDAの権限が強化されているということで、2012年ごろから米国にある日本の食品関連施設でもFDAの突然の視察がかなり頻繁に実施されるようになっている。

リコールの権限なども強いため、常日頃からFDAのオーダーに対応できるように情報をチェックし、備えておく必要がある、とした。


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