発酵調味料「魚醤」の新たな可能性
〜ifiaJAPAN2016セミナー


2016年5月18日〜20日(金)、東京ビッグサイトで、ifiaJAPAN2016「第21回国際食品素材/添加物展・会議&第14回ヘルスフードエキスポ」が開催された。同展示会セミナーより、ヤヱガキ醗酵技研鰍フ伝統的な発酵調味料「魚醤」の新たな可能性について取り上げる。


世界中で伝統的に作られている

健康的な食事を意識するうえで調味料は重要な役割を果たすが、その一つとして魚醤に注目が集まっている。

魚醤とは魚に塩を加え約一年ほど醗酵させた後、液体と個体を分離させ、その液体部分を濃縮エキス(調味料)として利用するもの。

醤油や味噌も醗酵調味料だが、魚醤は醤油や味噌と違い世界中で伝統的に作られ利用されている。

トラディショナルな製法で作る魚醤は、原料も魚と塩だけでとてもシンプルで、魚のタンパク質由来のアミノ酸と核酸が豊富に含まれ、醤油や味噌とは異なり小麦を使用しないためアレルギーの心配もない。

日本ではあまり普及してこなかった

魚醤は世界各国で作られている。特にベトナムのニョクマムやタイのナンプラーが有名だ。

日本でも、石川県の「いしる」、香川の「いかなご」、秋田の「しょっつる」が3大魚醤として知られている。

ベトナムやタイ料理で特に良く利用される魚醤だが、一般的な利用方法としてはソースがメイン。特に唐揚げや手羽先といった肉料理のソースの相性が抜群とされる。

他にもトマトとの相性が良いためトマトスープやトマトソースの隠し味としてもよく利用されている。

このようにベトナムやタイでは広く浸透している魚醤だが、日本では魚醤の独特の強い香りが日本食の素材の良さを消してしまうといったことからあまり普及してこなかった。

ベトナム料理やタイ料理ではパクチーをはじめとした強い香りの香草が使用される。そのため、魚醤の臭いが気になりにくいが、日本食では香りの強い食材があまり多くないのが普及しない原因の一つに考えられる。

そこでヤヱガキ醗酵技研では「フィッシュソースVP-K」を開発。原料はベトナムの新鮮なアンチョビ(かたくちいわし)だ。原料が新鮮なうちに醗酵させることや、醗酵中の管理を適切に行うことで「低臭タイプ」の魚醤を開発することに成功した。

製造方法の工夫により魚醤の特有の臭いが限りなく低減されただけでなく、アレルゲンとなるヒスタミンも非常に少ないという優れた特徴を持つ。

天然の旨味を豊富に含んでいるため、隠し味としてあらゆる料理に少し添加するだけでコクやまろやかさが生まれ、味の幅に広がりや奥行きが出るという。

また低臭タイプのため、カレーやチャーハンなどに加えても風味や臭いを変えることはない。パスタソース、ラーメン、ミネストローネなどに加えてもさっと浸透し味の幅に広がりが生まれるという。

アレルギー表示をする必要がない

同品はアレルギー表示をする必要がないというのが最大のメリットでもある。小麦アレルギーを持つ人が増えているが、そのリスクもなく、また健康志向の人にとっては一切の化学調味料を使用していないということもメリットになる。

食の安全や化学成分、アレルギー物質に厳しい目が向けられるなか、そうしたリスクがほとんどない魚醤が見直され、日本食においても幅広く利用される可能性はとても高い、とした。


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