ラカンカ抽出物、糖質カットで注目〜ifia JAPAN2018セミナー

2018年5月16日(水)〜18日(金)、東京ビッグサイトにてifia JAPAN2018「第23回国際食品素材/添加物展・会議と第16回ヘルスフードエキスポ」が同時開催された。同展示会セミナーよりサラヤ株式会社の「サラヤの自然の恵み・高甘味度甘味料「ラカンカ抽出物」の未来」を取り上げる。


中国政府が重点保護植物に指定

今から20年以上前に「ラカント」として羅漢果(ラカンカ)抽出物の甘味料を商品化し、販売スタートしたサラヤ株式会社。現在も「ラカント」はサラヤの主力商品の一つであるという。

ラカントの特徴は「自然派甘味料」「カロリーゼロ」「砂糖不使用」「糖質ゼロ」「糖質ゼロ」であるが、発売当初は糖尿病患者などの人向けの「特別用途食品」で、消費者ニーズがあるのか不安な面もあったという。

羅漢果とは中国でのみ栽培されるウリ科の多年性ツル植物で、年間降雨量の多い高地を好み、環境条件の揃った土地でしか育たない貴重な植物である。

しかも中国政府が重点保護植物に指定しているため、中国以外では栽培することができない。

当然、種や生の果実も国外には持ち出せない。中国では漢方としても利用されており、主に「去痰作用」や「健胃作用」が知られているという。

一般の糖類として販売

現在、サラヤ鰍ナは契約農家に農薬不使用で原料の羅漢果を栽培してもらい、また加工は中国の桂林にある自社工場で製造工程の全てを完全管理することで安全性を確保して商品を生産しているという。

「特別用途食品」としてスタートした「ラカント」だが、現在はそのカテゴリーから外れ、一般の糖類として販売されている。

ラカントは砂糖に比べ保水性がないため、ケーキやお菓子の使用にはパサパサした仕上がりになってしまうため適さないとされてきた。

しかし、それを解消するために改良品「ラカントスイートパウダー」や生クリームなどにも使用できる「ラカントホワイト」で、顧客ニーズに応え、商品ラインナップを増やしているという。

「カロリーカット」から「糖質カット」へ

そしてここ数年は、「糖質対策」のニーズを叶える「新たな糖」として再注目されているという。

例えば、アメリカの飲料協会は、飲料から摂取するカロリーを2025年までに20%削減する目標を決めている。

アメリカの健康の課題といえば「肥満」と「糖尿病」だが、やはり飲料から摂取している糖分の量が多すぎるため、まずはそこからカットしていこうという試みだ。

WHOも2015年に砂糖の摂取目安量を1日の総エネルギー摂取量の10%から5%以下にすることを提案した(野菜や果物、牛乳に含む糖は除く)。

近年は、砂糖の使用について税金をかける国もある。砂糖が悪ということではないが、過剰になりがちな砂糖の摂取量を適正にしようというのが世界の流れとなっている。

とはいえ、人工甘味料に対するネガテイブなイメージは根深い。例えば、ネイチャー誌でも「人口甘味料が腸内細菌叢に影響を与え耐糖能異常を引き起こす」というレポートが報告され話題になった。つまり時代は「カロリーカット」から「糖質カット」へと向かっている。

糖質制限・低糖質、・糖質オフといった表示ができる商品づくりがトレンドになっており、カロリーオフの市場は横ばいから若干下がってきているのに対し、糖質オフや糖質ゼロといった商品の市場が勢い良く成長している。

砂糖と遜色のない健康甘味量

また、市場調査でも「低糖質」や「糖質カット」という言葉の認知度は急速に上がっていることが報告されている。

「糖質制限」はエビデンスの高い食事療法として認められている。低糖質や糖質カット、ロカボといったものは一過性のブームではなく今後ますますスタンダードになることが予測されている。

とはいえ、砂糖が悪いわけではなく、摂り方や摂取量に注意が必要なだけで、五味の中から「甘味」をなくすことはできない。

ラカントはこれまで砂糖の代用という位置付けだったが、社会背景から砂糖と遜色のない健康甘味量のポジションを獲得しつつあるという。

糖質オフがトレンドではなく当たり前となる今後の食品業界において「人工甘味料ではないのに低糖質が実現できて、砂糖と遜色のない甘みを提供できる」というラカントのベネフィットを全面に打ち出すことで、ますます市場ニーズに応えていけるのではないか、と話した。


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