野菜の機能性表示でビジネスチャンス拡大
〜ウェルネスフードジャパン


2018年7月25日〜27日、東京ビッグサイトにて「ウェルネスフードジャパン」が開催された。同展示会セミナーより、中田 光彦氏(潟Tラダコスモ 研究開発部)の講演「野菜のビジネス戦略における栄養・機能性表示の展開〜農産物表示の中の機能性表示」を取り上げる。 


野菜の生産者も「表示」を意識

野菜の「表示」については、特に「生鮮食品」として販売されているものであると、消費者だけでなく生産者もほとんど気にしてこなかった。

しかし今、野菜の表示について消費者も生産者も考えるタイミングを迎えている。

生鮮食品としての野菜は、2015年までほとんど何も書く必要がなく、生鮮食品を販売する側にとっては「表示」に関する法律についてほとんど知る機会も学ぶ機会も、考える機会もなかった。

しかし3年前から機能性表示食品制度がスタートし、生産者側にも「表示」を意識する人が増えてきている。

とはいえ、生産者の中にも温度差があるのが現状で、実際1000商品を突破している機能性表示食品の中で、それを活用しているのはサラダコスモが取得した「イソフラボンもやし」などを含めまだ一桁程度の商品しかない、と中田氏。

他の加工食品と比べ、商品の良さをアピールしづらい

2015年以降、食品表示に関する法律はより厳しく複雑になっている。そのため商品のパッケージに書くべきことや知っておくべきルールも増えており、食品販売メーカーの担当者は頭を抱えている。

「生鮮野菜」は他の加工食品に比べ表示が簡単ととられることもある。しかし、実際は、他の加工食品に比べて商品の良さをアピールしづらいというデメリットがある。これによって売り上げが伸び悩んでいる可能性もある、と中田氏。

現実に、野菜は毎日の食事に絶対不可欠で、ビタミン・ミネラルを豊富に含み、訴求できるポイントは多くある。

とはいえ、野菜の売り上げが伸びているわけでもなければ、摂取量が国の掲げる目標値に達するという見込みもない。

機能性表示食品という付加価値で売り上げが倍に

一方で、野菜の良さを店頭で訴えることはできないという現状もある。例えばサラダコスモで生産している「無添加・無漂白もやし」も、その特徴を店頭でアピールすると他のもやしの販売に悪影響を及ぼす可能性がある。

そのため、そのことをアピールしないのが小売の暗黙のルールになっているという。

こうした理由から、野菜はその個性や付加価値を消費者に伝えることがほとんどできていない。もちろん、商品の個性や付加価値は自社HPやTVCMなどで広告をすることはできるが、小さい生産者の多い生鮮食品の世界では現実問題難しい。

そうした中、サラダコスモの「大豆イソフラボンもやし」は機能性表示食品という付加価値を得たことで、小売側からも「自信を持って個性をアピールできる」、「野菜なのにセールスポイントがある」と喜ばれており、売り上げも2倍以上に伸びている。

しかし、一般消費者の認知度は思うように上がっていない。おそらく、野菜に機能や付加価値を求めたり、健康食品を選ぶような視線が、まだ消費者に育っていないためであろう、と中田氏。

野菜の機能性表示で差別化を

私たちは野菜から「食物繊維」「ビタミン」「ミネラル」「フィトケミカル」「ミネラル水」「酵素」「乳酸菌」など豊富な栄養素を得ることができる。

野菜には「免疫力向上・抗酸化・老廃物の排出・腸内環境改善」といったセールスポイントが多くある。しかもサプリメントのように単体の栄養素ではなく、さまざまな栄養素を摂れるといったメリットも大きい。

生鮮野菜の生産者のほとんどが「機能性表示や栄養表示は難しい」というが、チャレンジしている件数が少ないからこそ注目される。

「効果効能」まで意識しなくても野菜に含まれる「成分」を伝えるだけで十分に差別化になりチャンスになると、中田氏。

特にカット野菜や調理済み野菜は売り上げを伸ばしているが、これらは表示が必要で、それで差別化できれば、さらに売り上げが伸びる可能性がある。

野菜にこそ表示できる成分が豊富に含まれている。そのため、制度をフル活用することで、生産者にとっても消費者にとっても野菜の価値をもっと高められる、とまとめた。

Copyright(C)JAFRA. All rights reserved.