紅茶のポリフェノール、ストレス緩和作用
〜ウェルネスフードジャパン


2018年7月25日〜27日、東京ビッグサイトにて「ウェルネスフードジャパン」が開催された。同展示会セミナーより、潟Iルトメディコの講演「紅茶でホッと一息〜紅茶のストレス軽減効果」を取り上げる。 


1800年頃、紅茶の原型が誕生

紅茶は緑茶を発酵して作られる。お茶は発酵の種類により、大きく3つに分類することができる。

「不発酵茶」「半発酵紅茶(一部の茶葉が自然に酸化発酵したもの)」「発酵茶」の3つだ。一般的な緑茶は不発酵茶、烏龍茶は半発酵茶、紅茶は発酵茶に分類される。

紅茶の歴史は緑茶やウーロン茶より浅いため、研究も他のお茶に比べてまだ不十分である。

西暦200年ごろに中国で緑茶が作られ、800年後の西暦1000年ごろにウーロン茶が生まれ、さらに800年後の1800年頃に紅茶の原型が誕生したといわれる。

お茶の歴史をひも解くと、紅茶は中国で誕生したことは明らかだが、イギリスで誕生したイメージを持っている人も少なくないであろう。

紅茶、ポリフェノールを多く含有

中国で紅茶が誕生して間もなくして、イギリスに輸出されるが、すでにその当時(1800年代)「ティータイムを楽しむ」という文化があった。

イギリスは中国から紅茶が輸入されると、その美味しさや香りの高さに驚き、これを中国に独占させてはならないと、当時植民地であった北インドのアッサム地方に中国から紅茶技師を呼び、大規模栽培を始め、自国にオリジナルの紅茶文化を誕生させた。

日本には1887年(明治20年)に紅茶が初めて輸入され、1971年以降、紅茶の輸入が活発になり、現在も紅茶の輸入量・個人消費量は伸びている。

そうした歴史的背景を持つ紅茶だが、お茶にポリフェノールが豊富に含まれているように、紅茶にも当然ポリフェノールが多く含まれる。

緑茶と共通する成分もあれば、紅茶には発酵というプロセスがあるため紅茶にしか存在しないポリフェノールもある。

ポリフェノールの「テアフラビン」、抗酸化力が高い

その特徴的なポリフェノールの一つが「テアフラビン」である。赤みを帯びた成分で、紅茶の発酵の過程でカテキンから生成されるため、カテキンと似た機能を持つ。

抗酸化、抗メタボリックシンドローム、口腔ケア、抗菌、抗ウイルス、血流改善作用などが解明されている。

お茶、烏龍茶、紅茶に含まれるポリフェノールの抗酸化力を測定し比べると、テアフラビンの抗酸化力が最も高い。

紅茶、ストレスを軽減

紅茶には、テアニン、テアフラビン、カフェインなどの成分が含まれる。カテキンやテアニンの効果、カフェインとの相乗効果などで、紅茶には「ストレス軽減効果」があることが確認されている。

早稲田大学との共同研究で、紅茶のストレス軽減効果に関する試験を行った。

日頃ストレスを感じている健常な成人日本人男女(男性10名、女性11名)を対象に、紅茶エキスカプセル、またはプラセボのカプセルを摂取してもらった。

カプセルは1日に500mlの紅茶を摂取する計算になり、これを3週間、1日3回に分けて、ランダム化プラセボ対照二重盲検クロスオーバー比較試験を行った。ストレス評価は「自律神経機能の評価」と「唾液」測定で行った。

その結果、紅茶エキスを摂取したグループはプラセボ群と比較し、自律神経機能のバランスが整い、緊張や不安の緩和、抑うつ・落ち込みの緩和などの効果がみられた。

さらに自律神経の中でも副交感神経の支配が強くなることも解明された。

紅茶、ストレスケアで訴求

近年は「ストレス社会」といわれ、ストレスによる精神障害や行動障害が激増し、さらにこれらの障害が労災認定されているケースが多発している。

機能性表示でも「ストレス」に関する表示商品は人気があり、食やセルフケアによるストレスマネージメントが注目されている。

まだ小規模の試験のため、今後、今回の試験をモデルケースとして大きな試験をし、データを蓄積していく必要があるが、「紅茶×ストレスケア」の訴求は違和感もなく、老若男女で受け入れられる。

紅茶の消費は成長を続けているため、今後はエビデンスの確立に努め、機能性表示の実現を目指したいとした。


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