健康食品の景表法、薬事法規制、アフェリエイト規制について〜食品開発展2018セミナー

2018年10月3日(水)〜5日(金)の3日間、東京ビッグサイトにて「食品開発展2018」が開催された。同展示会セミナーより、薬事法ドットコムの講演「どうする!健康食品の景表法、薬事法規制、アフェリエイト規制」を取り上げる。


ここ数年、景表法の行政指導が増加

機能性表示食品の盛り上がりが話題となる一方で、景表法が厳しくなっている。そのため製造・販売業者は一層気をつけなければならない。

特にここ数年は、薬機法よりも景表法の行政指導が増加しており、製造・販売に関わる者は景表法の理解が必須である。

景表法は「消費者の誤認を防ぐ」法律であり、大きく「品質や技術に関する優良誤認」と「オファーに関する有利誤認」の2つがある。

有利誤認とは「今月だけのキャンペーン」と煽りながら毎月同様のキャンペーンを行っていたり、「定価より今だけ50%オフ」と標榜しているのにその定価が実態のないものであったりすることで、この有利誤認に関しては悪質性が高く、違法である。

「優良誤認」の3パターン

一方、「優良誤認」についてはまだまだ理解が不十分なことが多い。優良誤認は「表示」と「根拠」が一致していないもの全てを指すが、具体的には3つのパターンに分けられる。

「広告表示の内容に関して、何の根拠もない悪質なケース」「広告表示の内容に関して、一部しか根拠がないケース」「根拠と表示がずれている、マッチしていない」という3つのパターンである。

「何の根拠もない」というのは論外で、確実に行政指導が入る。しかし意外に多いのが「広告表示の内容に関して一部しか根拠がないケース」「根拠と表示がずれている、マッチしていない」の2つのパターンで、大手企業でもミスを犯しがちである。

「広告表示の内容に関して一部しか根拠がないケース」というのは、エビデンスはあるが、そのエビデンスの試験対象者の年齢やBMI値などの条件が限定的で、「一般的に誰でも」には当てはまらない可能性がある場合が多い。

例えば、葛の花由来イソフラボンなどの成分は、十分なエビデンスはあるが、それは「BMI値が高めの人でのエビデンス」での試験であり、痩せている人や普通体型の人にも有効であるとはいえない。

しかしパッケージや表示では、さも「誰でも痩せる」ような「誤認」をさせるものが多かった。また「内臓脂肪が減少する」というエビデンスで「全身が痩せる」イメージを載せて誤解させるのも「根拠と表示がずれている、マッチしていない」と指摘されるケースとして多い。

今年6月、消費者庁より「打ち消し表示に関する報告書」

これまでは、こうした広告や表示の多くに「打ち消し表示」を行い、景表法指摘から逃れようとするパターンが多かった。具体的には「※個人の体験感想であり、効果を保証するものではありません」などの表示を小さく載せることである。

しかし、今年2018年6月に消費者庁より100ページを超える「打ち消し表示に関する報告書」が発表された。

そこには「打ち消し表示の文字のサイズ。(8ポイントならいいとは限らない。強調表示との関係による)」「色、白地に白文字など背景と同系色で見にくくするなどしない」「位置(強調表示の裏面に載せるなどはNG)」「専門用語や難解分で理解できないものは無きに等しい」といった細かい指導が入っている。

またその対象が「紙媒体・PC・スマホ・インフォマーシャル」のすべてに対応しているため、打ち消し表示を使うことの方が難しくなってきている。

特に機能性表示食品・高齢者向け商品・バストアップ関連・ダイエット関係(特に痩せ菌やウエア、レギンスなど)に対するチェックや指摘が厳しくなっているのが最近の傾向である。

アフェリエイトに対する規制も強化

機能性表示食品はエビデンスを持っているからこそ、広告表示にもインパクトをもたせたいところだが、商品数としてはまだ1400程度であり消費者庁も1商品ずつの広告&パッケージチェックに余念がない。

また、アフェリエイトに対する規制も強化されており、消費者庁は「アフェリエイターがアフェリエイトサイトにおいて、広告主の販売する健康食品について虚偽誇大広告に当たる内容を掲載することがある。この場合も広告主がその表示内容の決定に関与している場合(アフェリエイターに表示内容の決定を委ねている場合を含む)、広告主は景表法と健康増進法の措置を受ける事業者に当たる」と消費者庁は通達している。

つまりアフェリエイターに内容を任せていても、そこに虚偽誇大があれば広告主が景表法の責任を負うことになる。広告主はアフェリエイトサイトの指導、時には尻拭いをしなければならないし、放任はできないということである。

国が考える広告の正しいあり方とは「一般の消費者が誤解なく容易に理解できるか」「事実と広告が偽りないか」であり、キャッチコピーや視覚に訴えるような広告テクニックを使って販売することは、もはや時代とマッチしないやり方になってきているといえる。

広告の正しいあり方、国や法律の動き、消費者の求める広告、そして商品のより効果的な訴求が常に両立できるように改めて表示について取り組む必要がある、とまとめた。


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