COQ10、還元型こそが優れた機能を発揮
〜第37回健康博覧会セミナー


2019年1月23日(水)〜25日(金)、東京ビッグサイトにて「第37回 健康博覧会」が開催された。同展示会セミナーより、潟Jネカの講演「還元型COQ10〜やる気向上とオーラルフレイル対策の機能性表示食品」を取り上げる。


医薬品としての実績

「日常生活により生じる一過性の心的疲労感を軽減したい人に」と表示されている、カネカの機能性表示食品「還元型コエンザイムQ10」。 同品は「しっかりと体感できる素材」として注目されているという。

そもそもコエンザイムQ10(以下COQ10)とは、生き物全ての細胞に存在する脂溶性ビタミン様分子のこと。

1957年に牛の心臓のミトコンドリアから発見・分離され、日本国内では1974年に「うっ血性心不全の治療補助薬」として世界に先駆けて医薬品としての実績を積んだ。

さらに国内では2001年に食品に配合することが認められ、サプリメント成分として一気に知名度を上げていった。

還元型COQ10こそが機能を発揮

COQ10は生命維持に不可欠な成分で、体内でも合成されるが、加齢とともに合成量が減る。20歳の時のCOQ10の体内存在量を100%とすると、80歳では40%まで減少する。

減少の理由は食事からの摂取が減ることと体内での合成量が減ることの2つ。体内の合成量を増やすことは難しいが、口からの摂取はサプリメントなどで補うことが可能である。

COQ10は、サプリメントとしては知名度が高いが、多くが「酸化型」であるのに対し、カネカの製品は「還元型」である。

COQ10が発見された当初は、体内では「酸化型」が多く存在すると考えられていた。しかし、近年の研究で体内では大半が「還元型」で存在し、還元型の状態こそが機能を発揮することが解明されている。

酸化型COQ10を摂取しても一度体内で「還元型」に変換される必要があるため、COQ10サプリメントを選ぶのであれば「還元型」にすべき、という考えが少しずつ認知されるようになってきている。

還元型COQ10、サーチュイン遺伝子を活性

還元型COQ10であれば、体内で変換する必要がないため、速やかに体内に吸収され効果を体感しやすい。ただ、COQ10は体内合成される量も加齢とともに減少し、還元力も衰えていく。

つまり、酸化型を飲んでも還元されなければ、体内ではうまく働くことができず、無駄になることが考えられる。

体内での還元型COQ10は細胞の中のミトコンドリアで合成されている。ミトコンドリアが元気であれば、COQ10がしっかり合成され、エネルギーの生産も追いつくが、ミトコンドリアを活性するには「サーチュイン」という遺伝子を活性する必要がある。

サーチュインは通常「適切な食事や運動」により活性されるが、還元型COQ10によっても活性されることがわかってきている。

つまり、還元型COQ10によってサーチュインが元気になり、ミトコンドリアが元気になる。また、ミトコンドリアが元気になるとCOQ10が合成されてエネルギーが増え、サーチュインが刺激されるという好循環を起こす。

しかも、エネルギーを産生する際、不要な活性酸素が発生するが、還元型COQ10はそれも消去し、細胞が受けるダメージを減らす。

疲労感の改善や運動パフォーマンスが向上

還元型COQ10を用いた臨床試験は多数行われており、「心不全における心機能の改善」「高血圧症における血圧の改善」「2型糖尿病における血糖コントロール改善」「慢性疲労症候群における症状改善」などが報告されている。

機能性表示食品としては「還元型COQ10を1日100mg、6ヶ月摂取した結果、疲労感(活力、心の健康)が優位に改善した」、「還元型COQ10を1日300mg、6ヶ月摂取した結果、プラセボ群に比較して運動パフォーマンスが優位に向上した」といったエビデンスを得ている。

また「還元型COQ10を1日150mg、3ヶ月摂取した結果、意欲が優位に高まった」、「還元型COQ10を1日100mg、2ヶ月摂取した結果、唾液分泌量が改善した」というエビデンスもあるという。

ドライマウス症状の改善も

また、唾液の分泌も加齢とともに低下するが、口腔内環境を清潔に整え、ウイルスや細菌の繁殖を抑制するには十分な量の唾液が必要である。

還元型COQ10で唾液の分泌量を増加させられることは、全般的なオーラルケアに繋がり、ストレス過多の人に見られるドライマウス症状の改善にもつながる。

実際、ドライマウス患者におけるヒト試験では「還元型COQ10を1日100mg、1ヶ月摂取」で症状の改善が見られたという。

体内で直接効率的に働き、特に中年から高齢者にかけて優れた有効性が認められる還元型COQ10をぜひ活用してほしいとまとめた。


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