伸びるスポーツニュートリション市場、クレアチンに注目〜第37回健康博覧会セミナー

2019年1月23日(水)〜25日(金)、東京ビッグサイトにて「第37回 健康博覧会」が開催された。同展示会セミナーより、ユニテックフーズ鰍フ講演「効果的に筋肉をつけるプレワーク素材〜筋肉のエネルギー回復に着目」を取り上げる。


スポーツニュートリション、2022年には5兆円予測

ここ数年、スポーツニュートリションの消費者層が拡大していることが話題となっている。アスリート志向の人だけでなく、フィットネス、ダイエット志向の人々までもがスポーツニュートリションを摂取するようになっている。

これらの人々は健康意識が高く、トレンドにも敏感という共通項がある。気に入った商品であれば継続摂取し、新製品にもチャレンジするといったポジティブな消費傾向がある。

スポーツニュートリションの消費拡大は国内だけでなく世界的なトレンドでもある。全世界では、2016年に約3.1兆円だった市場が2022年には5兆円に到達することが予測されている。

日本では2015年で232億円(原料ベース)だった市場が、2020年には244億円に到達すると見込まれているが、この予測は2015年時点のもので、今はもっと拡大することが予測されている。

2014年からの5年で170%の上昇

スポーツニュートリションの中でも人気が高い、代表的な成分が「プロテイン」。実際、プロテイン市場は、国内でも2014年からのわずか5年で170%の上昇となっている。

他にも「BCAA」「クレアチン」「βアラニン」「ナイアシン」「アルギニン」「タウリン」「シトルリン」などが挙げられる。

また、これらのそれぞれの成分には適切な摂取タイミングがあることもよく知られ、スポーツ前に摂取し、運動のパフォーマンス向上を狙うものを「プレワークアウト」と呼び、このコンセプトで開発された商品も増えている。

一方、運動の後に筋疲労回復やワークアウトの効果アップなどを目的に摂取するものが「ポストワークアウト」で、「プレ」と「ポスト」、いずれのコンセプトもアメリカではすでに市場として確立されているという。

クレアチン、ポストプロテインに

また、これらのスポーツニュートリション関連素材は、アメリカではスポーツクラブやドラッグストアだけでなく、オーガニック専門店やナチュラル素材を取り扱う専門スーパーなどでも取り扱われるようになり、健康志向の高いあらゆる人々から支持されている。

国内でもプロテイン市場が非常に伸びているが、スポーツが好きで、トレンドに敏感な消費者たちは、プロテインに代わる成分や、「プレ」「ポスト」に効果的な成分にも期待しはじめており、その期待に応える成分が「クレアチン」であろう。

クレアチンはアメリカではすでにBCAAと同様の認知・普及、市場規模があり、オリンピックに出るようなトップアスリートから、一般人でジムなどに日常的に通う「トレーニー」にまで人気がある。

クレアチンは体内でも合成されるアミノ酸の一種で、瞬発力を発揮するのに欠かせない成分である。

一日に必要な摂取量は約2〜3gと微量で、うち半分は体内で合成されるが、残り半分は食事から摂取しなければならず、食材では肉類に含まれるが、必要摂取量を食事から補うのは容易ではない。

限られたプロアスリートのスポーツ原料なのか

日本でもクレアチンを好んで摂取している人たちがいるが、「ボディービルダー」や「プロのアスリート」といった限られたプロアスリートのニッチなスポーツ原料と考えられているようだ。

というのも、これまでクレアチンの効果的な摂取方法として主に「ローディング法」というものが用いられてきたこが関係している。

ローディング法とは、最初の1週間で、1日20gという高容量のクレアチンを摂取し、そのあとは1日2gを毎日継続して摂取することで、運動中の抗疲労・回復、筋損傷の回復を狙う方法である。

プロのアスリートであれば最初の1週間で20g(日)を摂取するというのは可能な範囲だが、一般的には難しい。

「プレワークアウト素材」としてのクレアチン

しかし、最近の研究で、一日3g摂取を28日継続することでも、体内でクレアチン濃度はMAXになり「ローディング法」をしているのと同じように、「運動中の抗疲労・回復、筋損傷の回復効果」を得られることが明らかになっている。

これにより、効率的に筋力を増やしたい高齢者、運動による疲労や筋損傷からスムーズに回復したいトレーニーにこそクレアチンは適切な成分といえる。

クレアチンはアミノ酸やプロテインとは競合しない。もちろんアミノ酸やプロテインと組み合わせてもインパクトがある商品に仕上がる。

いずれにせよ、クレアチンを摂取することでトレーニング効率が出やすい体になるため、スポーツを継続するモチベーションにもなる。

新たなスポーツニュートリション、特に「プレワークアウト素材」としてクレアチンに注目して欲しいとまとめた。


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