認知症患者、2025年には700万人を突破
東京都健康長寿医療センターには物忘れ外来がある。同外来は精神科と神経内科が合同で担当しており、平成29年度の初診者数は844名であった。
初診の患者さんには問診の後、必要に応じてMMSE、HDS-Rなどの神経心理検査、さらに必要があれば頭部CT、血液検査などを行う。
また症状によっては、MRIやSPECT、脳脊髄液バイオマーカー(tau、ptau、アミロイドβ42、HVA、5-HIAA)、あるいはPET検査(FDG-PET、アミロイドPET)などの検査を行い、認知症の早期発見・早期治療を行う。
認知症疾患の鑑別、その初期対応、行動や心理状態、さらに身体的合併症への対応などにも取り組み、医療相談、地域の保険医療、介護関係者との連携も深めることで、認知症の予防から早期発見、認知症患者のリハビリやケアまでを包括的に進めているという。
認知症を完治させる治療法はまだ確立されていない。そのため、予防への取り組みや早期発見が何より大切だが、認知症患者は増加の一途を辿っており、2025年には700万人を突破すると予測されている。
アルツハイマー病、脳内のアミロイドβ蓄積が要因
認知症の中でも最も多いアルツハイマー型については、アミロイドβ42というタンパク質が脳内に凝集することが原因とされている。
こうしたアミロイドβを除去する医薬品もあるが、それを投与したところで認知症からの回復が認められないことも報告されている。
脳の萎縮の改善により、認知機能の回復が認められているが、アミロイドβについては、蓄積してから除去する医薬品より蓄積する前から働きかけるものが求められている。
また、アミロイドβが蓄積した後にさらに沈着し、脳の神経細胞を障害するタウタンパク質の除去に関わる医薬品の研究も進められている。
認知症、さまざまな疾病で罹患リスク高まる
こうしたアミロイドβやタウタンパク質を標的とした治療が確立されるためにもできるだけ早期発見、できれば発症前診断が可能になることが求められる。
最新の検査では脳脊髄液のバイオマーカーやPET検査で早期発見を行う施設が増えているが、いずれも健康診断レベルで使われることはまだなく、現在、血液検査で可能なバイオマーカーの開発も急務とされている。
認知症はさまざまな疾病によっても罹患リスクが高まることがわかっているため、疾病予防こそ、認知症の予防に効果的であるといえる。
・
・