遺伝子について十分な知見・分析・エビデンスの構築がなければ有益な遺伝子情報にはならない。
市販された遺伝子検査キットで「あなたは洋梨型の肥満になりやすい」「あなたは○○がんになるリスクが○○%」といった診断をされたところで、消費者はどうしていいかわからず、せいぜいかかりつけの医師に相談するしかない。
しかし、医師も市販の安価な検査キットの結果を持参されても、どう対応していいかわからないというのが正直なところだ。
このような事態に、日本医師会では「洋梨、りんご、バナナ型に分類されるような市販の肥満3遺伝子については、科学的根拠が乏しい」「小売りの遺伝子検査には問題がある」といった見解を公式サイトで公表している。
米国では遺伝子検査キットの小売りが禁止
また、遺伝子ビジネスが進んでいるアメリカでは既に2008年の時点で、遺伝子情報差別禁止法が制定されている。これは遺伝子情報によって職業・保険加入などの選択肢を狭めてはいけない、というものである。
そして現在、米国では遺伝子検査キットの小売りが禁止されてしまったという。おそらく日本でも近い将来そうなるのではないか、と斎藤氏は予測する。
遺伝子情報はかなり身近になってきており、遺伝子解明も進んでいる。しかし遺伝子情報を誰がどのように活用するかが重要で、遺伝子をただ調べるだけでは意味がない。
例えば、オーダーメイドの医療などで活用されるのは理想的である。体質に合わせた治療や薬の処方、食事療法ができれば効果が上がることは十分期待できる。
遺伝子情報に基づいた食事・治療など当たり前の時代に
またスポーツの分野でもトレーナーが有効活用できれば、パフォーマンスだけでなく選手生命の向上にもつながる。
既に欧米のトップアスリートはそのようなトレーニングを行なっている。日本の遺伝子マーケットは遅れているため、まだまだブルーオーシャンである。
遺伝子(体質)を調べて、食事・治療・生活習慣・運動習慣・処方・睡眠などをパーソナライズすることはこれから日本でも当たり前の時代になるであろう、と斎藤氏。
それは専門家や企業などのプロが「情報提供」だけでなく「情報活用」するものであり、「パーソナライズなソリューションビジネス」が遺伝子ビジネスに求められる姿である。
そのため、さらに遺伝子情報を活用できる専門家の登場が望ましい、と斎藤氏はまとめた。
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