同様に「フレイル傾向」と言われたら生活改善するのが当たり前になるよう、今後フレイルの更なる理解が進むことが期待される、と小川氏。
肉体的フレイルの主な原因に「高齢者の低栄養」問題がある。
高齢者が低栄養に陥る主な原因には「認知機機能障害」「独居」「嚥下障害」「買い物や家事が困難」「多種多剤薬物服用」「胃腸障害」「経済的問題」などがある。実際、在宅で介護を受けている人の70%が低栄養状態という報告もある。
特に高齢者の場合、たんぱく質の摂取量が低下すると筋肉量が著しく低下することが分かっている。これによりサルコペニアやフレイルが加速することも分かっている。
加齢によるホルモン変化、フレイルの要因に
またこれまでの研究で、加齢によるホルモンの変化もサルコペニアやフレイルの要因になっていることも明らかになっている。
疫学的調査では、男性の場合、男性ホルモンが加齢によっても著しく低下せず、一定レベルを保持している人が長生きの傾向があることが報告されている。
女性の場合、閉経により女性ホルモンが低下するが、女性ホルモンの前駆体であるDHEAの値が高齢になっても高い人ほど長生きであるという調査結果がある。
どのような取り組みをすれば、ホルモンの変動や低下をある程度抑制できるのか、これからの研究が待たれる。
ホルモン値によってもフレイルのチェックができるシステムが構築されたり、ホルモン維持のための食事や運動療法の指針が登場する可能性もある。
日本人の食事摂取基準2020年版の改訂でも、高齢者の低栄養予防やフレイル予防を視野に入れ進められている。
高齢者やサポートに関わる人、何より本人が意識的かつ理論的に、効果のある「栄養・運動によるフレイル対策」に取り組めるよう指針とサポート体制がより確実なものに構築されることが望ましい、と小川氏はまとめた。
・