さらに食後血糖レベル別にみた病型別認知症の発症リスクについて、糖尿病を発症してなくても、食後血糖値が上がりやすい人ほど認知症になりやすいことが示唆された。
運動習慣がある人、アルツハイマー発症リスクが少ない
また、その他の危険因子としては、中高年期の高血圧、喫煙、睡眠障害、歯の喪失、筋力低下、脳内炎症、遺伝的因子も認知症発症の大きな危険因子であることが分かった。
さらに週に1回でも運動習慣がある人は、運動習慣がない人に比べアルツハイマー型認知症発症リスクが40%少ないことが明らかになった。
また、歯の本数が20本以上ある60歳の人は19本以下、9本以下の人と比べ、明らかに認知症になりにくいことが確認され、歯の本数が少ない人ほど認知症リスクが高まることも示唆された。
歯の喪失により、食事量・肺活量が低下し、服薬状況も不良となる。これが引き金となり運動不足・低栄養などが起こり、筋力低下に伴いサルコペニアが生じ、引きこもりや抑うつ状態といった社会的フレイルが起こる。
すると認知機能の低下が生じ「フレイルサイクル」から抜け出せなくなり、要介護状態に陥りやすくなる。歯の健康維持は最も手軽な認知症予防の一つではないかと二宮氏は指摘する。
大豆や野菜、認知症のリスクを低下
一方、大豆製品や野菜を中心とした食習慣や定期的な運動習慣を有する人は認知症発症のリスクが有意に低いことも分かった。
認知症の有病率は時代とともに急増しているが、早期から血圧・血糖をコントロールし、喫煙習慣や睡眠障害を改善し、適切な栄養管理と運動の維持、高齢になってからも筋力や活動量を維持することで、認知症は十分予防できることが疫学調査からも明らかになっている。
認知症の予防は、他のさまざまな疾患(生活習慣病、特に糖尿病、サルコペニアなど)の予防にもつながる。健康長寿の実現に直結することは、簡単なことも多く含まれるので、できることから取り組んでほしい、と二宮氏はまとめた。
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