必ずしもエビデンスに関わる撤回が多いとはいえないが、それでも207件のうち40件程度はエビデンスが弱く撤回せざるを得なかったようだ。
届出書類作成は、多くの事業者がアウトソーシングに頼る傾向がある。
しかし、最終的な窓口や届出書類の責任説明は販売者(届出事業者)にある。
そのため、アウトソーシングしたとしても丸投げせず、自社で確実に納得できた状態で自社主体となって届出や商品化、プロモーションをするべきである。
「改善」の文言、薬機法違法の恐れ
また、2018年の11月に厚生労働省の麻薬対策化が「歩行能力の改善」を謳う機能性表示食品について薬機法違法の恐れがあることを消費者庁に通達した。
これにより、「HMB(3-ヒドロキシ-3メチルブチレート)」を機能性関与成分とする届出商品が相次いで届出撤回したことがニュースとなった。
「歩行能力の維持」や「向上」であれば問題なかったことが明らかになり、その後の届け出では「維持」という文言が多用されるようになっている。
機能性表示食品制度は常にブラッシュアップされているため、検証事業が頻繁に行われるが、その後、必ず審査がより厳しくなる傾向があり、「届出を出して受理されたら終わり」ではない。
担当者はその都度変更となったガイドラインだけでなく、質疑応答集など公開されている資料は全て精読し分析し続けることが、届出撤回を避け、次回の早期受理につながる。
これまでも検証事業の後に臨床試験方法が厳しくなったり、買い上げ調査が強化されたり、安全性の分析方法への要求が厳しくなるなどしている。
消費者ニーズに合った商品開発を
機能性表示食品として受理されたからといって、必ず商品が「売れる」とは限らない。
やはりサイエンス(機能性やそのエビデンス)とマーケティング(ニーズ、プロモーション、広告宣伝、表示)、コンプライアンスの3つの柱が合致する範囲で、消費者ニーズにあった商品開発、プロモーションを行わなければヒットには繋がりにくい現状がある。
しかし、機能性表示食品は消費者にとってわかりやすく、特に対象者にとっては選びやすいものとなっている。
今後も業界全体で制度を発展させていけるよう、関連事業者はどんどん届出にチャレンジしてほしいと話した。
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