トクホと機能性表示食品では審査の範囲や表現範囲など幾つか違いがあり、消費者目線で考えると、双方のすり合わせを行うことが必要となる。
というのも、一般的にトクホと機能性表示食品の制度の違いを理解して活用している消費者はいない。
関与成分が同じで訴求する保健用途や機能性が同じなら、適正広告のガイドラインも揃えなければ広告表現がバラバラになり、消費者には分かりにくいものになってしまう、と蒲生氏は指摘。
例えば、トクホでは「ヒト試験」という言葉を使うのに対し、機能性表示食品では「臨床試験」という言葉を使用している。
しかし言葉のインパクトは「臨床試験」の方が一般的には大きい。どちらがよりエビデンスが高いのか、誤解を招く原因になる、と蒲生氏。
広告ガイドラインのすり合わせが必要
またトクホでは15秒や30秒という短いTVCMでグラフを使用した表現は控えるようにガイドラインで示されている。
しかし、機能性表示食品ではそれがないため、短いTVCMでも実際はほぼ読むことができないのにグラフが使用されていたりする。
さらに機能性表示食品では審査の対象にWEBが含まれているが、トクホはTVCMまででWEBは含まれていない。この辺りは、特に同一成分の場合、広告のガイドラインをすり合わせていく必要があるのではないか、と蒲生氏。
消費者目線で考えると、機能性表示食品の広告に多い「○○が気になる方へ」という表現は病者も含まれ、適切とは言えないのではないか、という声も増えている。
消費者が正しく理解できる適正広告を
また、届け出内容は伝えるべきだが、情報伝達の観点から考えると「全文掲載」をする方が不親切・不適切になる場合が多い。届け出内容をどう「切り出す」かについても検討が必要となる。
機能性表示食品の広告はトクホに比べると緩い部分もあるが「どのような人が」「どのように使えば」「どの程度の機能が期待できるのか」がはっきりわかるような広告にしていくことが望ましい。届け出内容の全文掲載や曖昧表現の方に走っていくのは望ましくない。
いずれにせよ健康食品だからこそイメージで訴求するのではなく根拠に基づいた広告が必要である。
適正広告を通じて消費者が正しく商品を理解できるように消費者教育までできるような広告を消費者と事業者協同で作っていけるのが望ましい、とした。
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