「遺伝子組み換え食品」から「健康食品」まで、
食品安全委員会で「食品の安心・安全」評価
体制確立


平成18年2月14日(火)、千葉市文化センターで、シンポジウム「食品と健康」(主催:(社)日本食品衛生協会)が開催された。 同シンポは、厚労省の食品の安心・安全確保推進研究に基づくもので、日本食品衛生協会が毎年、食品に係る科学的な研究成果を公表している。当日、基調講演「健康被害と食品」の他、食肉の残存医薬品、天然添加物、残留農薬、健康食品などの現状や問題点について講演が行われた。



平成15年7月、食品安全基本法施行に伴い
内閣府に食品安全委員会設置


同シンポは、平成11年度より毎年実施、今回で7回目となる。平成13年以降、BSE(牛海綿状脳症)問題、食品の不正表示などが相次ぎ、国民の食品への信頼が揺らぎ、健康への影響に対する懸念が年々高まりを増している。
また、世界的な人口増に伴う食糧確保のための遺伝子組み換え食品の健康への評価など「食品の安心・安全」に係る問題が山積している。
そうした経緯から、平成15年7月に食品安全基本法が施行され、内閣府に食品安全委員会が設置された。

基調講演では、「健康被害と食品」と題して寺尾允男氏(内閣府食品安全委員会)が、食品安全委員会における食品の健康影響評価体制について説明した。
同委員会はさまざまな専門分野の7名の委員で構成。さらに、評価対象別に16の専門調査会が設置、科学的研究による安全性評価の最終判断を行うという。

現在も、世界的に安全性についての論議が続いている遺伝子組み換え食品については、同委員会の遺伝子組換え食品等専門調査会で安全性の評価が行われているという。 ちなみに栽培状況は、2005年で世界22カ国、約9000万haで商業栽培が行われ、そのうち米国が約60%を占めるという。

健康食品、過剰摂取に留意が必要

健康食品については、同委員会の新開発食品専門調査会で安全性の評価が行われている。


現在、コエンザイムQlOと大豆イソフラボンの高含有健康食品の安全性について評価中という。
日本人は日頃、味噌や納豆などの大豆製品から大豆イソフラボンを摂っている。また、コエンザイムQlOはもともと医薬品で使用されていた成分で、それぞれ過剰摂取した際の身体への影響の評価が必要という。

また、(独)国立健康・栄養研究所の梅垣氏は「「健康食品」の有用性と危険性」と題して講演。厚労省認可の特定保健用食品などの保健機能食品の解説や同研究所の取り組みについて紹介した。さらに、健康食品の評価について、「食物は、味や匂いで、たくさん食べようと思っても食べられない。摂取する量が限られ、過剰摂取がさけられる」が、健康食品は濃縮物のため容易に過剰摂取できることから、長期間大量に摂取した際に問題が生じる可能性があることを挙げた。

また、健康食品についてのマスメディアの不確かな情報の氾濫についても指摘。「動物実験や試験管内の報告だけでなく、ヒト試験によるデータが大切である」とした。
インターネットなどで海外製品を手軽に購入できるようになったが、国立健康・栄養研究所では、医薬品含有や有害物質混入などについて、積極的に海外製品の情報についてもデータベースの構築を行っているという。


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