糖化ストレスを抑制する機能性食品成分
〜ifia2020セミナー


ifia2020・企業プレゼンセミナー(4月22日〜24日)で発表予定のアークレイグループ からだサポート研究所の講演資料から「糖化は老化〜糖化ストレスから体を守るために」を取り上げる。(※同展示会は新型コロナ感染拡大防止のため中止となりました)


糖化が「老化」の原因に

アークレイ株式会社は「健康科学」事業を手がけ、糖尿病検査や血糖値の自己測定、遺伝子検査などの検査機器や試験薬の研究開発・販売・輸入などを手がけ、さらに機能性食品素材の研究開発や販売も行っている。

近年は体内で起こる「糖化」研究を積極的に行っており、抗糖化素材について紹介。

美容・健康業界でここ数年トピックになっているのが「糖化」。糖化とは食事から摂取する糖質が体を構成するタンパク質と結びつく反応のことである。

私たちは日々食事をするが、糖はヒトにとって重要な栄養素であるため摂取が欠かせない。つまり生きていく上で糖化を避けることができない。

しかし、この糖化が実は「老化」の原因になっていることが近年の研究で明らかになってきている。

具体的には皮膚老化、動脈効果、骨粗鬆症といった加齢によるさまざまな現象はすべて「糖化」が引き金となって起こっていることがわかってきている。

そのため「糖化は老化」といわれ、いかにして糖化を防ぐか、あるいは糖化を減らすかについて注目が集まっている。

これは「抗糖化」といい、この言葉もここ10年くらいで一般的に広く認知されるようになっている。また近年の機能性表示食品の人気により「抗糖化」を打ち出す商品にも注目が集まっている。

糖化とはタンパク質と糖が結びつく「メイラード反応」

私たちの体を老化させる現象に「酸化」がある。これは体を錆びさせるイメージであるが、同じく老化させる現象に「糖化」がある。これは体を焦げさせるイメージである。

糖化が起こると生体内で「メイラード反応」が起きる。例えば、ステーキ肉を加熱するとタンパク質が変性し、茶色く変色する。これはメイラード反応の一種である。

またホットケーキも糖質を多く入れた生地の方が同じ時間加熱しても焼き色は強くなる。これも糖質とタンパク質が結び付き変性した結果によるメイラード反応である。

糖化はタンパク質と糖が結びつくと起こり、メイラード反応が生じると茶色に変性し、質感は硬く・弾力性を失う。

そして、これはステーキ肉やホットケーキだけでなく、私たちの体内や皮膚でも起こる。例えば血管が硬くなる動脈硬化も、肌に起こるシミもメイラード反応によるものである。

メイラード反応により「糖化最終生成物(AGEs)」が発生

こうした糖化は糖の量が多いほど顕著に起こる。そのため、まず私たちは食事から摂取する糖質の量について気をつける必要がある。

糖化によるメイラード反応で発生する物質は「糖化最終生成物=Advanced Glycation Endproducts(AGEs)」と呼ばれる。

体内でタンパク質が糖化すると、タンパク質は本来の機能を発揮できなくなる。またAGEs受容体が活性されることで炎症や細胞死などが起こる。

ちなみにAGEsは喫煙や酸化によっても生成が促される。

AGEsは皮膚の老化(はり・弾力の低下、くすみの原因)、アルツハイマー病(アミロイドβの凝集)、動脈硬化、骨粗鬆症(骨の脆弱化)、糖尿病合併症(網膜症や腎症)などの原因になることもわかってきている。

糖化によりAGEsが過剰に発生すると、さまざまな疾患リスクが高まることが報告されている。特に肌に与える影響は大きく、老尿病の患者はそうでない人に比べ肌弾力が5〜10歳も老化しているといった報告もある。

ペントシジン、体内の糖化の評価の鍵に

AGEsの中でもペントシジンという物質は、体内の糖化について評価する鍵となり、現在は腎症の早期臨床マーカーや骨粗鬆症のマーカーとしても使用されている。

ベントジシンは皮膚コラーゲンの中に存在しており、糖化が進んでいる人の皮膚コラーゲンには特に高く見られるため皮膚の糖化の評価にも使える。

他にも、AGEsにはカルボキシメチルリジンや、3―デオキシグルコソンなどいくつかの種類があり、いずれも糖化測定の指標マーカーとして使用されている。

近年は「AGEsリーダー」という測定器も開発され、前腕や指先を機械に当てるだけで、皮膚中のAGEs蓄積度がわかるようになっている。そのため今後ますます糖化について意識が高まっていくのではないか、と予測されている。

糖化反応を抑制する機能性食品成分

近年は糖化を抑制することを助ける成分に注目が集まっている。

例えばドクダミ、セイヨウサンザシ、ブドウ葉、ローマカミツレなどのハーブから抽出したハーブエキスに糖化反応を抑制する作用があることがさまざまな研究から明らかとなっている。

アークレイグループではこの4つのハーブから抽出したハーブエキスをミックスしたAGハーブMIXを開発し、2型糖尿病患者7名に1日600mg 12週間摂取してもらった。

その結果、3―デオキシグルコソンやカルボキシメチルリジンの値が有意に低下することや、肌の弾力が改善すること、シミが改善する効果などが見られた。

これまで抗糖化成分については予防的観点で製品開発が行われてきたが、AGハーブMIXはAGEsの分解や切断作用が高いものを選んでいるという。

他にもハイビスカス、フェネル、フェルグリークから抽出したエキスによって作られている「サトナシール」もAGEsの切断作用が期待でき、AGEsの前駆体抑制作用も見られるという。

現在はヒト臨床試験も行っており、エビデンスの構築中であるという。糖化対策のために糖質をなるべく減らすというのは当然必要だが、糖化反応を抑制する機能性食品成分や、AGEsの分解を促すサトナシールなどの新しい素材にもぜひ注目して欲しいとした。


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