特に食品に含まれる微生物は腸内環境を高めることに非常に役立つ。納豆や味噌、醤油、みりん、日本酒、酒粕、焼酎、粕漬け、漬物、など日本食は発酵食品の宝庫で、こうした発酵食品を日々の食事にぜひ積極的に取り入れて欲しい、と辻氏。
自然免疫、腸管で活性化
免疫研究の中でも、自然免疫は獲得免疫を構築していく上で大切で、自然免疫がしっかり働いていないと、獲得免疫は働かないということもわかってきている。
そのため自然免疫をどのように高めていくかにも注目が集まっているが、自然免疫は腸管で活性することも解明されている。
これは2011年のノーベル賞で「自然免疫の活性化に関わる発見」が大きなきっかけとなりわかってきた。
発酵食品に含まれるさまざまな菌が腸内に存在する菌に有効であるが乳酸菌も腸内を活性する代表的な菌なのでぜひ取り入れて欲しい、と辻氏。
大腸にはさまざまな種類の菌が存在するが、口から免疫が最も活性される小腸までの常在菌で主要なものは乳酸菌である。
近い将来、「免疫の見える化」が進む
また乳酸菌は体内で生成される抗菌物質αデイフェンシンにも殺されず、生存するメカニズムを備えている。
乳酸菌はインターフェロンβの産生を高誘導するという特別なメカニズムも持つ。インターフェロンβは腸炎の炎症を抑えるなど、抗炎症作用を担っている。
一人ひとりがどんな発酵食品や乳酸菌をどれくらいの量を摂取すべきか、まだ未知の部分もあるが、近い将来「免疫の見える化」が進むことで、個別に提示できるようなるだろう、と辻氏。
漬物は「シンバイオティクス」
一人ひとりの腸内環境が見える化できるようになると、食品やサプリメント、ワクチンの個別の処方や効果予測も可能となる。
自然免疫を活性させるプロバイオティクス、腸内環境を整えるプレバイオティクス。この2つが合わさったものを「シンバイオティクス」と呼ぶが、これはまさに漬物である。
免疫は年齢や環境、食事によって腸内環境が影響されることによってダイナミックに変動するが、日々の食事で自らデザインできるものなので、ぜひ「何を食べるか」を意識し、上手に免疫を高めて欲しいと辻氏はまとめた。
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