パラミロン、糖や脂質の代謝に影響
〜パラミロン研究会セミナー


2020年3月9日(火)、web配信にて「パラミロン研究会 第3回オンラインセミナー〜糖・脂質代謝とパラミロン」が開催された。この中から青江 誠一郎氏(パラミロン研究会副会 大妻女子大学教授)の講演「パラミロンの糖代謝及び脂質代謝に及ぼす影響」を取り上げる。


パラミロン、2018年頃から研究や論文が増加

パラミロンの機能性に関する研究や論文は2018年頃から急激に増えている。酵素分解や疲労、腎臓に対する疾病予防機能、免疫に関する論文も多い。

パラミロンはユーグレナ特有の成分であり、ユーグレナの細胞内貯蔵物質として生成される多糖類でβグルカンの分子が集まってパラミロンを形成している食物繊維の一種である。

このβグルカンも世界的に人気の高い機能性成分で、世界市場は400億円規模、特に免疫をテーマに流通の拡大が期待されている。

今回、パラミロンが糖代謝及び脂質代謝にどのような影響を与えるのか、という最新の研究成果が青江氏により発表された。

研究に用いられたパラミロンは従属栄養培養によって製造したユーグレナパラミロンで、独立栄養培養によって製造されたユーグレナパラミロンよりパラミロンの量が多く産生される。

耐糖能改善や脂質蓄積量の低下などが確認

すでにパラミロンの「耐糖能」に及ぼす影響に関する先行文献は存在しており、遺伝性2型糖尿病モデルラットにおいて、ユーグレナが耐糖能改善効果を示すことが明らかになっている。

また慢性腎不全モデルラットを用いた試験では、パラミロンの摂取に夜腎障害軽減作用が確認されている。さらに血清総コレステロール値や、悪玉コレステロール値はパラミロンの摂取量に依存して低下することも分かっている。

肝臓の脂質蓄積についても、群間で有意差はないももの、パラミロン量に依存した脂質蓄積量の低下が確認されている。

パラミロン顆粒はコレステロールなどの生体成分を吸着するほどの空隙を含まないことや、腸内細菌叢にはほとんど影響を与えないことも明らかになっている。

回腸の免疫系遺伝子発現を亢進

パラミロンによる「脂質代謝・糖質代謝改善作用」は、栄養素の消化吸収を抑制したメカニズムや、腸内細菌叢の変動によるものではなく、一般的な食物繊維のメカニズムとは全く異なる作用機序ではないか、との仮説が立てられている。

そこで、パラミロンを高脂肪食に5%添加し、高脂肪対照群との差を回腸及び肝臓の解析、低脂肪の標準群との比較試験、回腸と肝臓をつなぐ門脈血清のメタボロミクス解析を行った。

その結果、「パラミロン群には腹腔内脂肪蓄積の抑制、脂肪細胞の肥大化抑制、耐糖能改善、血清コレステロール濃度低下作用」が確認された。

また、「パラミロンは回腸の免疫系遺伝子発現を亢進し、脂肪吸着・輸送・再合成の遺伝子発現を抑制する作用が確認」、「肝臓では脂肪酸の輸送とβ酸化の亢進が確認」された。

これらの結果から、パラミロンは回腸に直接作用し、門脈を介して肝臓に作用しているのではないか、と推定される。

消化管に直接作用し、肝臓の脂質代謝を改善

現在、パラミロンの回腸への直接的な作用についても検証されている。つまり、パラミロンは、従来の食物繊維とは異なり、消化管に直接作用し、肝臓の脂質代謝を改善する可能性が示唆されているという。

また、パラミロンの免疫活性のメカニズムについては、パラミロンがマクロファージの膜上の受容体に認識された後に、核内の免疫関連遺伝子を活性しタンパク質を発現させ、免疫調整効果を発揮するものと考えられている。

このように、ユーグレナの中に含まれるパラミロンは糖代謝や脂質代謝に影響する有効成分であるが、他の食物繊維のように他の栄養素の消化吸収を抑制する。

また、腸内細菌叢に影響を与えて糖代謝や脂質代謝に影響を与えるのではなく、肝臓の中でも脂質代謝を調整する腫瘍調節遺伝子PPARαの発現を更新させたり、回腸に直接作用して肝臓と相互作用するというメカニズムがありそうだ。

これらについて更なる試験を重ね確認し、今後もエビデンスを蓄積していきたいとした。


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