MCTオイル、「体脂肪減らす」で機能性表示〜日本ヘルスケア協会セミナー

2021年10月27日(水)、web配信にて日本ヘルスケア協会主催の「フレイル予防に重要なセルフメディケーションについて考える」が開催された。この中から、新島英実氏(日清オイリオグループ梶jの講演「生き活き健康生活を支えるMCT」を取り上げる。


脂質に対するネガティブなイメージ

日清オイリオグループは1907年の創業以来、一貫して植物オイルの製造販売を手掛けている。

三大栄養素といえば糖質、脂質、タンパク質の3つ。これらの理想的な摂取比率は「PFCバランス」で考えられることが多い。

PFCバランスによると、50〜65%が糖質、20〜30%が脂質、13〜20%が脂質という構成の食事が理想的とされている。

脂質は私たちの健康を維持する上で欠かせないが、高カロリーのため、いかに控えるかネガティブなイメージを持つ人も多い。

アマニ油など「かけるオイル」市場が拡大

近年はそのイメージも大きく変わり、健康のために脂質は欠かせない、良質な脂質は健康維持に不可欠、とポジティブなイメージを持つ人が増えている。

そのため脂質の市場規模は2010年以降右肩上がりに拡大しており、特にごま油、米油、オリーブオイルなどの植物油の市場が人気だ。

中でもオリーブオイルは脂質全体で一番大きな市場になっている。

さらに2015年以降はアマニ油、エゴマ油など「かけるオイル」「サプリメントオイル」の市場が拡大し、「かけて美味しく」「かけてヘルシー」という新しいオイルの概念が確立されてきている。

この「かけてヘルシー」というサプリメント的オイルの中でも最も注目されているオイルがMCTオイルである。

食経験があり安全性が高い

日清オイリオから発売されている「日清MCTオイル100%」は日本初の機能性表示食品オイルとして受理、「体脂肪やウエストサイズを減らす!」と表示されたオイルが今秋より市場に流通している。

「体脂肪やウエストサイズを減らす!」という表示のため、一見MCTオイルにはダイエット効果を期待する人が多い。

その効果ももちろんエビデンスがあるが、MCTオイルには実はそれ以上の効果がある、と新島氏。

そもそもMCTオイルとは、ココナッツやパームフルーツなど椰子科の植物の種子格部分に含まれる天然成分で、母乳や牛乳にも含まれているため、ほとんどの人に食経験のある安全性の高いオイルであるという。

さらにオイルの中では珍しい中鎖脂肪酸という構造である。



一般的な植物油は長鎖脂肪酸といって炭素数が18個以上である。さらに飽和脂肪酸は二重結合がなく、不飽和脂肪酸は二重結合があるという特徴をしている。

しかしMCTオイルは中鎖脂肪酸で炭素数が8〜12個と少なく、二重結合のない飽和脂肪酸であるため、摂取した時の体内での吸収経路が全く異なる。

消化吸収と代謝が他の脂質に比べてスムーズ

長鎖脂肪酸の場合、リンパ管や静脈を通って、筋肉や肝臓に運ばれ貯蔵された後、必要に応じてエネルギーとして分解される。

中鎖脂肪酸のMCTは、摂取すると肝臓を通じ門脈を経て直接肝臓に運ばれすぐにエネルギーとして分解される。

消化吸収と代謝が他の脂質に比べてスムーズで効率が良いことから、元々MCTのような中鎖脂肪酸は医療現場で使用されていた。

例えば、低体重赤ちゃんの幼児用粉ミルク、腎臓病患者のカロリー補給食、その他疾病の術後の栄養剤としてMCTは非常に馴染みの高い栄養素である。

このように消化吸収、そして代謝がスムーズであることが、「体脂肪やウエストサイズを減らす」メカニズムの鍵となる。

筋肉量が効率的に増加

他にもMCTの新しい健康機能として、高齢者がMCTオイルを摂取した状態でリハビリすると、有意に筋肉量が増え筋力が拡大するという結果が得られた。

MCTオイルを摂取することで脂肪が効率よく燃焼し、筋肉量が効率的に増加すため、MCTオイルは高齢者のリハビリと非常に相性が良い。

また、アルツハイマーへの効果も期待されている。米国での研究で、MCT摂取グループには記憶力の低下が抑制されることが報告されている。

これはMCTを摂取すると体内でケトン体回路が活性することが関係しているのではないか、とさらなる研究が進められている。

MCTオイルは赤ちゃんから高齢者まですべてのライフステージに応じた健康機能を有している。

しかも無味無臭のためご飯に混ぜて炊いても、味噌汁に入れても料理の邪魔をすることもなく楽しめるのも最大のメリットである。

まさにスーパーエナジー、機能性オイルといえるが認知度の拡大はこれからなので、店頭などで見かけたらぜひ手に取って試してほしいと話した。


Copyright(C)JAFRA. All rights reserved.