たんぱく補給食品、市場拡大の背景
〜健康博覧会2022セミナー


2022年2月8日〜10日、東京ビッグサイトにて「第40回健康博覧会」が開催された。同展示会セミナーより、上田周作氏(兜x士経済フードビジネスソリューション事業部)の講演「たんぱく補給食品市場2022〜プロテインブームによる市場拡大と商品開発競争の最前線」のご紹介」を取り上げる。


ここ数年、たんぱく補給食品市場が活性

ここ数年の食のトピックに「たんぱく質ブーム」がある。「タンパク補給食品」の現状とこれからについて解説が行われた。

ここで取り上げる「タンパク補給食品」とは、富士経済が「タンパク質補給を目的としてタンパク質を添加した市販品」と独自定義しているもの。

ほとんどの食品には当然タンパク質が含まれているが、基本的にそれらは対象外で「あえてタンパク質補給を目的としてタンパク質を添加しているもの」を対象に絞っている。

このタンパク質補給食品を富士経済では独自に以下の12カテゴリーに分類。

  1. プロテインパウダー
  2. 食事代替ダイエット飲料(置き換えダイエット)
  3. MRP(ミールリプレイスメントパウダー、スポーツ用代替食品)
  4. サラダチキン(ちくわ、ソーセージ含む)
  5. その他加工食品(スープ、カレー、豆腐など)
  6. プロテインドリンク
  7. パウチプロテインゼリー
  8. その他飲料やデザート(ヨーグルトやアイス)
  9. プロテインバー
  10. その他菓子シリアル
  11. 経口栄養流動食(高齢者向け、メイバランスなど)
  12. 大人向け粉ミルク」
昨年2000億円を突破、前年比110%

上記の12カテゴリーのどの製品も市場規模が拡大している。これが「たんぱく補給食品市場」全体が活性している理由だという。

市場規模は昨年2000億円を突破し、前年比110%の拡大。ちなみに2011年の市場規模は550億円でこの10年で4倍に成長した。成長要因は大きく4つ。

1、消費者の認知度向上

一番大きいのは「ロカボ(低炭水化物)」の認知ではないか。普段の食事から糖質を控え、タンパク質を多めに摂取することが大事、それが健康維持やダイエットにも繋がるということがここ数年で知れ渡った。

さらに高齢化社会の問題でサルコペニア予防にタンパク質が不可欠であることや、シニアこそタンパク質を摂取すべきという啓蒙もあった。また日本人のたんぱく質摂取量が少ないこともよく知られるようになっている。

2、ユーザー層が拡大

そもそもたんぱく質市場はスポーツニュートリションとしてスタートしているが、スポーツ人口が増え、中でもアスリートやプロではなく、女性や高齢者などこれまで運動に注目していなかった人までもたんぱく質を意識的に摂取するようになった。



そうしたユーザー層の拡大、コロナの影響もあり、ライトスポーツやライトエクササイズを行う層がまだまだ増える見込みがある。

3、相次ぐ新規参入

例えばライザップなどのダイエットサービスや、タニタなどのスポーツ以外の業種がたんぱく質の重要性をあらゆる角度から訴求するようになっている。

これにより2015年ごろからプロテインブームが起こり、SNSでもプロテインを使ったダイエットやプロテインを使ったボデイメイクの情報が拡散、タレントの間でも筋トレブームが続いている。

これまでたんぱく質と関係のなかった業種が新規参入してきていることが、更なる新規ユーザーの獲得と新規市場の拡大に貢献している。

4、大型新商品による商品数急増など

明治、味の素、アサヒグループ食品、山崎パン、日清食品などが大手食品メーカーが発売と同時にベストセラーになるようなプロテイン商品を次々に発表。

プロテインといえば従来はプロテインパウダーばかりであったが、ここ数年スナックからドリンクまで商品のバリエーションが広がり消費者の手に届きやすくなっている。

プロテインブームは世界的に起こっていてまだまだ続くと見込まれるが、当然課題がある。一番の課題は、圧倒的に人気のある乳たんぱくのホエイが世界的原料不足で高騰していること。

そこで大豆由来たんぱく、エンドウ豆由来たんぱく、卵白、昆虫などにも注目し、新たな原料によるたんぱく補給食品を開発することが早急に求められている。

3000億円突破は目前

植物性と動物性のたんぱくをミックスしたものなどにも消費者は注目している。また、商品に含まれるたんぱく質の含有量やクオリティに競争が起こりはじめている。

1食で15g程度のたんぱく質が摂取できるものがスタンダードになりつつあり、しかもたんぱく質の構成にも消費者は目を向け始めている。

これから商品を開発するのであれば、麺類や豆腐、チーズ、菓子類などまだまだ商品数が少ないところで勝負すると良いのではないか。

欧米に比べても日本人のたんぱく質摂取量はまだ少ないため、市場はもっと伸びると予測される。3000億円突破は目前だと話した。


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