亜麻の種子由来の多糖類、アマシードガムの素材特性〜オルガノフードテックウェビナー

2022年3月16日(水)、web配信によりオルガノフードテックウェビナーが開催された。この中から「知らなきゃ損する!?亜麻の種子由来の多糖類"アマシードガム"」を取り上げる。


アマシードガム、亜麻の種子由来の増粘多糖類

複数の糖から成る水溶性の多糖類の一種である増粘性多糖類。加工食品に添加すると歯応え、舌ざわり、とろみ、喉ごしなど食感の調整や、食品の形状の安定性、弾力性の向上などに役立ち、さまざまに利用されている。

主な増粘多糖類にペクチン、キサンタンガム、グァーガム、カラギナンなどがあり、認知度も高い。

今回紹介する増粘多糖類は「アマシードガム」。使い勝手が非常に良く、これまでの増粘多糖類では実現できなかった食感改善などにも役立つため、ぜひこの素材の魅力を知って欲しいと紹介した。

アマシードガムとは亜麻の種子から得られた増粘多糖類で、知名度こそ低いが1995年時点で使用実績のあった既存添加物で、安全性は担保されている。

亜麻科の植物である亜麻の種の胚乳部分から抽出し得られるもので、主成分も多糖類である。

亜麻、スーパーフードとして注目

ここ数年「亜麻」はスーパーフードとして注目されている。茎の部分は乾燥後繊維・糸・リネンとして幅広い分野で活用、種の部分は圧搾後脱脂するとアマニ油として調理やドレッシングに利用されている。

特にアマニ油は食事でしか摂ることのできない必須脂肪酸の中でもオメガ3系が多く含まれるなど、数々の機能性が報告されている。

アマシードガムの優れた点は大きく4つ。

1、粘度特性
キサンタンガムやグァーガムと比較しても常温で溶解するので非常に使いやすいという特徴がある。また塩やpHの影響を受けにくい。

さらに高温で加熱すると粘度が低下するという特性がある。特にキサンタンガムは高温でも粘度が維持されるが、この高温で粘度が低下するという特徴は用途によっては非常にメリットになる。



2、乳化特性
キサンタンガムやグァーガムと比較して乳化しやすく、また乳化後1週間時間が経過しても滑らかさが安定している。

3、気泡安定性
卵白などのタンパク質に増粘多糖類を加えてミキサーで撹拌すると泡が生じホイップクリムのようなボリュームが生まれるが、キサンタンガムやグァーガムと比較しても最もクリーミーでしかも24時間経過してもその泡はほとんど潰れない。

ベタつきや食感向上、官能評価で確認

このような特性を持つアマシードガムを例えば米粉パン生地に添加するとキサンタンガムやグァーガムを添加した米粉パンと比較しても、より軽くベタつきが少なく弾力が小麦レベルのものに改良することが官能評価で確認できた。

またフライの衣をつけるのに使用するバッター液にアマシードガムを添加すると、キサンタンガムを添加してフライにしたもの(コロッケで比較)よりも噛み切りやすさが向上し、歯切れの良い食感が得られる。

ドレッシングに利用する場合は、振ると砕けるくらいのゆるいジュレ状ドレッシングを作ることができ、オイルと分離しない・オイルが底にたまらない・具材と絡まりやすい・食感も楽しめる「新しいジュレドレッシング」を作ることができるという。

食感の改善や形態の安定性向上に貢献

しかも乳化剤表示をする必要がないというメリットもある。アイスクリームに添加するとふわっとして濃厚感が長く持続するという評価が得られた。

また、冷凍たこ焼きに添加した場合は加熱しても保形性が保たれ、とろみも維持できたという。このように、どんな加工食品(アプリケーション)に使用するかによるが、食感の改善や形態の安定性向上に大きく貢献することが期待できる。

しかも他の増粘多糖類との相互作用も確認されている。アプリケーションによって、それぞれの添加量をどれくらいにすれば良いのかなどのアドバイスや受託も可能だと話した。


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