秋田県における保健機能食品の開発
〜ifia JAPAN2022セミナー


2022年5月18日(水)〜20日(金)、東京ビッグサイトにて「ifia JAPAN 2022」が開催された。同展示会セミナーより、佐々木玲氏(秋田県総合食品研究センター 醸造試験場 食品生物機能グループ)の講演「秋田県における保健機能食品の開発と展望-爛漫ギャバ粉末を配合した機能性表示食品開発」を取り上げる。


機能性表示食品、東北6県で108品

機能性表示食品が年々市場拡大している。2020年度には特定保健用食品の市場規模を上回り、2022年5月時点ではすでに5000件を超える商品が登録されている。

しかしながら東北6県からは合計108件しか商品が提供できていない。東北地方にはまだまだ知られていない機能性素材が多くある。今後商品開発にますます力を入れ、機能性表示食品に参入したい、と佐々木氏。

特に秋田県には発酵食文化が根付いており、日本酒・味噌・醤油・納豆・しょっつる・漬物・麹・甘酒・漬物などが有名だ。

2003年に機能性成分の研究開発に着手

秋田県の食品製造出荷に占める発酵食品の割合は18.3%で全国4位。清酒の出荷量は全国6位となっている。

中でも秋田銘醸鰍ヘ1922年創業、秋田の清酒産業の中核を担う企業である。ブランド商標は「美酒爛漫」。

現在の生産数は県内生産量の10%である1.848kl、東北エリアでは当然上位だが全国にある1300の酒蔵の中でも30位となっている。

しかし秋田銘醸も、近年の飲酒スタイルの変化などにより清酒出荷量はこの25年減少しており、工場の稼働率減少や機械の休眠化を課題として抱えてきた。

そこでいち早く醸造副産物(米糠や酒粕)の有効利用や、発酵技術、醸造設備の有効活用の検討をはじめ、2003年に機能性成分の研究開発に着手した。

GABAを付与した機能性表示食品対応素材を開発

2004年には食品素材の商品化、2021年には機能性発酵素材工場を新設するなど、着々と事業拡大を図り、現在は美酒爛漫の食品素材が食品だけでなくサプリメント、化粧品、ペットフードなどにも応用されるようになっている。

現時点で5つの食品素材が開発されているが、一番人気の素材が「ギャバ素材(爛漫)」。

醸造工程で発生する醸造副産物の米糠を有効利用し、乳酸発酵によって機能性成分であるγアミノ酪酸(GABA)を付与した機能性表示食品対応素材を開発(液体及び粉末)した。



現時点でGABAは機能性関与成分の届出数でNo.1素材となっている。「睡眠の質の向上」「高めの血圧の低下」「ストレスや疲労の緩和」という3つのヘルスクレームが重複して訴求できる。

いずれも比較的少量(12.3〜100mg)で機能性が発揮できること、熱や酸に強く、さまざまな食品形態に使用できる。

米の風味向上などの相乗効果

秋田銘醸が手がけた機能性表示食品である「爛漫GABA(届出番号G830)」は、γアミノ酪酸(GABA)による3つのヘルスクレームによって届出受理・製品化されている。

現在は県内外の企業へSR(システマティック・レビュー)とともに提供することで、他社の機能性表示食品開発の支援まで手がけているという。

他にも粉末の爛漫ギャバはせんべいやレトルトカレー、ビネガー飲料、クッキーなどに利用されている。特にせんべいは爛漫ギャバの添加によって米の風味向上が見られるといった相乗効果も報告されているという。

あきた機能性食品素材研究会を設立

現在、秋田県では「あきた機能性食品素材研究会」を設立し、秋田銘醸を含む県内外の企業15社と1大学によって、秋田県発のヘルスケア事業の創出と地域活性を目的に活動している。

すでに爛漫ギャバでこの研究会をリードする秋田銘醸は新たに高濃度GABA含有米糠発酵粉末「爛漫GABA」も開発。

GABA濃度が4g/100gであった従来品を10g/100gの高配合に引き上げ、これによって加工食品への添加量が低量で済み製造工程の際にハンドリングしやすいといったメリットを生み出しているという。

秋田機能性食品素材研究会としては、秋田県産の農林水産物や低利用食品に含まれる機能性成分を活用した機能性素材の開発にこれからも力を入れていきたいと話した。


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