果物・野菜中心の「食」が理想〜自然治癒力を引き出す食養法

2009年10月25日(日)、きゅりあん(東京・大井町)で、自然健康・治癒学博士で日本ナチュラル・ハイジーン普及協会会長の松田麻美子氏が「ナチュラル・ハイジーン〜毎日の暮らしの中に取り入れるために」をテーマに講演した。


病気の根源は誤った食事にある

30代で子宮筋腫を煩い、若年性更年期障害になる。毎日、ほてりや疲れやだるさに襲われる。「食事と健康状態が密接に関わっている」ことは何となく感じていた。そんな折、ナチュラル・ハイジーンという食養哲学を説いた『フィット・フォー・ライフ』を友人からプレゼントされる。早速、実践すると、若年性更年期障害から完全に開放された。以来、松田氏は、米国や日本で、ナチュラル・ハイジーンの普及に努める。

ナチュラル・ハイジーンは、健康維持の科学あるいは病気予防の原則の意で、自然と調和する生き方を目指す。古代ギリシャ時代の医聖、ヒポクラテスも、「食すなわち薬である」とし、ナチュラル・ハイジーンの食養哲学を提唱したといわれる。

ナチュラル・ハイジーンでは、果物・野菜中心の「食」を理想とする。「消化に無駄なエネルギーを使わない」ことがその神髄だ。
ナチュラル・ハイジーンの歩みは、1830年代にさかのぼる。薬や手術を主流とする医学に対し、病気の根源は誤った食事にあるのではないかと疑問を持ったアメリカ人医師が、感染症の患者に水や生野菜、果物のみを与え、人間が本来持っている自然治癒力を引き出すことを実践した。結果、患者は続々と回復。この方法に共感・賛同した医師たちが健康理論としてナチュラル・ハイジーンを学問的に体系づけた。

近代医学・栄養学により、片隅に追いやられる

しかしながら1900年代、製薬会社や医薬品メーカーなどが薬や手術を施す医学こそ近代医学であると位置づけたため、ナチュラル・ハイジーンを学ぶ大学は消滅、いつしか理論そのものも片隅へと追いやられてしまった。
長らく影を潜めていたナチュラル・ハイジーンの理論だが、1985年『フィット・フォー・ライフ』という1冊の書が出る。瞬く間に、それはベストセラーとなり、ナチュラル・ハイジーンを実践した何百万人という人々が、減量に成功、体調を改善させる。

近年、心臓病と食生活の関係や動物性タンパク質が人体に与える弊害などが明らかになっている。1830年に体系づけられたナチュラル・ハイジーンの理論が科学的にも間違っていなかったという裏付けが次々登場し、今やアメリカでは、食習慣を変えることこそ疾患を遠ざける重要な要素、「ライフスタイル・メディスン」という考え方が浸透しつつある。

果物や野菜、熱で酵素やビタミン類が喪失

ナチュラル・ハイジーン的食養法は、何をどのように摂るか、そして調理法がポイントとなる。「食べ物を摂取してから実際にエネルギーになるまでは8-12時間もかかる。消化のためだけに相当なエネルギーを使うことになる。よく噛むことが大切。少量でも満腹感が得られる」と松田氏。

また、果物や野菜は火を通すと食物酵素やビタミン類が失われるため、ナチュラル・ハイジーンでは炒めることや揚げることをしないで、「蒸す」ことを薦める。

ナチュラル・ハイジーンを日々実践していると、下痢や軟便、頭痛などの好転反応が現れることもあるが、デトックス(排泄)ととらえ、乗り越えてほしいと松田氏はいう。

また、ナチュラル・ハイジーンではライフスタイルの改善も同時に勧めている。新鮮な空気や水、エクササイズ、そして、とくに日光浴はビタミンDの生成のために大切という。


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