「安全・安心な食生活」目指し、
残留農薬など規制強化へ


9月4日、新宿文化センターで「安全・安心な食生活」をテーマに食品科学広報センター主任研究員の瀬古博子氏が講演を行った。輸入食品が年々増加する中、安全な食品の流通のための食品管理・監視体制についての行政の取り組みなど解説した。

食品衛生法の改正で、残留農薬の基準拡充など規制強化

ここ2,3年ほどの間に、国民の食への信頼を揺るがす事件が縦続けに起きている。主なものを挙げると、2000年6月に加工乳牛に黄色ブドウ球菌混入による大型食中毒、2000年10月に遺伝子組み換えトウモロコシ混入、2001年9月にBSE(狂牛病)感染問題、2002年に中国産冷凍ホウレン草の残留農薬の問題、その他、未指定添加物や無登録農薬の使用、などがある。

こうした不祥事に国も本格的に腰を上げ、平成15年5月30日に食品衛生法の改正を公布し、残留農薬基準の拡充や農薬などの残留規制の強化を明確にした。また、内閣府に食品安全委員会を設け、消費者と相互に食品のリスクコミュニケーションを図るとした。

講演の中で、瀬古氏は「輸入食品の届出件数の増え方をみると、これに私達の食生活が反映されているのかなと思う。旬がなくなり、身の回りにいつでも珍しい食材が常にあるような状況になってきている」と年々増加する輸入食品とポストハーベストなどの農薬使用の状況を述べた。

食品衛生法の改正では、残留農薬の基準拡充などの規制強化が謳われているが、「これさえたべれば安全だとか、これさえ避ければ安全だとかそういったものはないと考えていいと思う。食品のリスクというのは非常に広範囲に散らばっているもので、残留農薬とか食品添加物だけがリスクではない」と瀬古氏。

また、リスク回避の対策として「食品全体を見てバランス良く食べるということが大事。リスク分散ということがあり、いろんな産地のものをまんべんなくいろんな種類ものを食べるということで安全を確保できるのはないかと考える」と述べた。


Copyright(C)2004 JAFRA. All rights reserved.