【 2005/6 】

CoQ10やビタミンE、パーキンソン病予防に有用

パーキンソン病は、筋肉の動きを司る脳内物質、ドーパミンを分泌する脳 細胞に障害が生じ、顔や手などに震えや引き攣りを起こす病気で、米国では100万人(推定)が罹患し、さらに毎年5万人が発症しているといわれる。数年前、ハリウッドの大スターが40代という若さで発症したことを告白し、この病気が一躍注目されるところとなる。

以前、Lancet Neurology誌に掲載された記事によると、パーキンソン病予防にはビタミンEが有望であると報じられている。 カナダの研究者グループによるもので、1966〜2005年に発表された、ビタミンC、E、 ベータカロチンの脳関連の疾患に対する影響を調べた研究8件を分析したところ、 食事からビタミンEを豊富に摂ると、パーキンソン病の危険性を低下することが わかったという。ただし、ビタミンC、ベータカロチンでは、影響は見られなかった という。

また最近、日本でアンチエイジングや心疾患への有効性で知られつつあるCoQ10についてもパーキンソン病の進行を遅らせることが報告されている。Pharmacology & Therapeutics'05/7月号に掲載された記事によると、カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究者グループが、パーキンソンの病初期患者グループ(各20人)にそれぞれCoQ10を1日に、300mg、600mg、1200mg、またはプラセボを与え、さらに全員に、ビタミンEも1200IU/日与えた。被験者を、1、4、12、最大16ヶ月間みたところ、プラセボグループが+11.99、CoQ10の300mgグループが+8.81、600mgグループが+10.82、1200mgが+6.69だったことが分かったという。(+は症状の悪化)

葉酸やコーヒーもリスク低下に関与

パーキンソン病に関しては、これまでの研究で、血中のホモシステイン濃度とも関係していることが指摘されている。ホモシステイン値を下げるにはビタミンB群の葉酸やビタミンB6が有用といわれている。
以前、ボルティモアの研究グループが、マウスにビタミンB群の葉酸が含まれる 餌か、葉酸が不足している餌のどちらかを与え、さらに、パーキンソン病を誘発 するMPTPを与えて観察したところ、葉酸不足のグループはパーキンソン病の 重い症状を併発し、また血中のホモシステイン濃度も葉酸が含まれる餌グループ の8倍にもなったことが分かったという。

また、コーヒー(含まれるカフェインなど)の功罪については、さまざまな 指摘があるが、男性のパーキンソン病予防についていうと、1982年から1998年まで行 われたがん研究(参加被験者100万人以上)を分析したところ、コーヒーを毎日のよう に飲む男性は全く飲まない男性と比べ、パーキンソン病で死亡する危険性が3分の1 になっているという報告もある。

また、ホノルル復員軍人援護局の研究グループが、ハワイ日系人男性平均年齢 53歳、8,004人を対象に1965年から30年間、パーキンソン病と環境リスク要素 について調査したもので、年間罹患率はコーヒー摂取量が多くなるほど減少 していることが分かったという報告もある。

しかしながら、ホルモン治療を行っている女性には当てはまらないという研究 報告も出ている。American Journal of Epidemiolgy'04/11月15日号に掲載された記事によると、 ホルモン治療を受けたことがない女性がコーヒーを飲んだ場合、飲まないグループと 比べ、パーキンソン病の危険率は3分の1となっていたが、ホルモン治療を受けている 女性がコーヒーを飲んでも、危険性の低下は見られなかったという。


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