【 2013/1 】

アンチエイジング、抗酸化物質でガード

近年、高齢者人口の増加に伴い、健康志向が高まるとともに、アンチエイジング(抗加齢)に高い関心が集まっている。細胞の老化と活性酸素の発生が深く関わっていることから、食材の中でもとくに抗酸化成分を多く含む食品の摂取が勧められている。

2013年1月11日(金)、慶應義塾大学で、同薬学部大学院薬学研究科公開講座「抗酸化物質を巧みに利用するがんの生存戦略〜先端質量分析技術によるブレイクスルー〜」が開催され、末松誠氏(慶應義塾大学医学部長・教授)が抗酸化物質とがんの関係について解説した。

この中で、末松誠氏は抗酸化物質であるアミノ酸の一種、グルタチオンを挙げ、細胞の機能低下や変異をもたらす有害な物質を体内で解毒、肝機能を強化する作用があるとした。グルタチオンは過酸化脂質の生成抑制や生成された過酸化脂質から体を防御する働きが認められている。

グルタチオンはほとんどすべての動植物や微生物の組織内に含まれる。グルタチオンを多く含む食品には、アスパラガスやブロッコリー、ほうれん草やアボガド、牛レバーや赤貝などがある。

また、同大学で、2012年11月29 日(木)、「AMI研究会シンポジウム〜機能性食材の研究はここまで進んだ」が開催されたが、やはりここで取り上げられたのも、「ルテイン」「ケルセチン」「イソフラボン」といった抗酸化物質の有用性。ヒト試験の成果、衣食農で利用できる分析方法、農産物として安定供給する必要性などの発表が行われた。

この中で、坪田 一男氏(慶応大学医学部眼科学教室)が、「ルテインの網膜、ドライアイへの効果及び野菜果物中のルテイン測定結果について」と題して講演した。 坪田 一男氏は、「活性酸素は呼吸をするだけでも発生する。そのため、抗酸化作用の強い野菜やフルーツを積極的に摂ることが最も効果的な活性酸素対策」とし、とくに、ほとんどの植物に含まれるルテインを取り上げた。坪田氏は眼科医でもあるため、このルテインを着目している。

加齢とともに起こりやすい眼病のひとつが加齢黄斑変性だが、これは眼球の色素の薄い欧米人の間でとくに問題とされてきた眼病で、アメリカでは65歳以上の4人に1人が罹患し、失明率が高いと恐れられている。

ヒトの眼球(網膜の中心)にある黄斑部分には多量のルテインが含まれている。しかし、ルテインは体内合成できないため、食物から経口摂取したルテインが私たちの黄斑部分を形成していると考えられている。


抗酸化作用の強い食材としては、ベリー類がよく知られる。最近の報告では、ストロベリーおよびブルーベリー摂取は心臓発作リスク低下に有用であると、Circulation誌2013.1月号が報じている。 Harvard School of Public Health、University of East Anglia研究者グループは、25歳から42歳の女性93,600人が参加したNurses' Health Study IIのデータからブルーベリーおよびストロベリー摂取と心臓発作リスクとの関連を調べた。 結果、ブルーベリーとストロベリー摂取量が最も多い群では、他の果物や野菜を多く摂取してもブルーベリーおよびストロベリーを月に1度以下しか摂取しない群に比べ、心臓発作リスクが33%減少していることが分かったという。

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