【 2013/11 】

プロバイオティクス、心臓の健康に役立つ

2011年度の国民医療費が公表された。総額38兆5850億円で、対前年3.1%増。1人当たりに換算すると30万円を超える。国民医療費は過去5年連続で増え続けているが、2011年度も更新した。国民医療費の内訳は、保険料が全体の5割弱、診療種別では一般の医療が7割以上となっている。

超高齢化時代を迎え、今後も医療費の高騰が予測される。予防医療の重要性は今後ますます高まるが、11月30日付け朝日新聞によると、東京大学系のベンチャー企業、ジーンクエストが、唾液に含まれる遺伝子を調べ、病気の発症リスクや体質などを調べる遺伝子検査ビジネスを2014年1月より始めるという。

検査にかかる費用は約5万円で、検査項目は糖尿病や肺ガンなど生活習慣病の改善で予防可能なものに限定する。検査では遺伝子配列の25万カ所のわずかな違いを解析し、ガンや高血圧といった発症リスクなど約200項目を判定するという。

遺伝子検査による疾患予防といえば、ハリウッド女優のアンジュリーナ・ジョディの乳房切除が話題となったが、11月下旬、米国食品医薬品局(FDA)は、米国最大手の遺伝子検査企業に、遺伝子検査の結果に誤りがあった場合、利用者が不要な治療を受けかねないと警告しているという。

米国で、個々人が遺伝子検査を受けるまでもなく、生活習慣の見直しで予防が可能な病気といえば、心臓病であろう。肥満・心臓病大国といわれるアメリカでは、その対策にやっきだが、11月に、FDAは菓子などに含まれるトランス脂肪酸の使用を全面禁止にする方針を固めている。トランス脂肪酸は菓子や揚げ物油で使用するショートニングに多く含まれ、摂り過ぎると動脈硬化を招き、心臓病を発症させる恐れがある。FDAではトランス脂肪酸の使用規制で年間2万人の心臓発作が防げるとしているという。

心臓予防に関する最近の報告では、プロバイオティクスチーズと低カロリー食が体重の改善や心臓の健康に有用であると、Nutrition Journal誌2013.11月号が報じている。Russian Academy of Medical Sciences、Bio-Competence Centre of Healthy Dairy Products LLC、University of Tartu研究者グループが、高血圧を伴う肥満被験者25人を対象に、3週間無作為化、二重盲検、プラセボ対照並行パイロット研究を行った。被験者には、乳酸菌(Lactobacillus plantarum Tensia)入りチーズ50g+1500カロリーの食事/日を3週間与えた。結果、チーズ+カロリー制限食群は、チーズ(プロバイオティクス以外)+カロリー制限食群に比べ、血圧、肥満指数が有意に改善したことが分かったという。


また、マグネシウムの摂取が心臓病の予防に有用であることも報じられている(American Journal of Clinical Nutrition誌2013.11月号)。Harvard School of Public Health研究者グループが、研究16件、被験者計313,041人の複合データから、ミネラルと心臓の健康との関連性を調べたところ、血中のマグネシウム濃度が増加すると心血管系疾患が低下することが分かったという。また、食事のマグネシウム摂取が最も多い群では、虚血性心疾患リスクが22%減少することが分かったという。

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