【 2014/8 】

大豆のホスファチジルセリン、ストレス対策に一役

この8月、「第61回日本栄養改善学会学術総会」と「日本脂質栄養学会第23回大会」が開催され、一般の参加者を対象にした市民講座では、それぞれ 大豆の持つ健康への有益性が説かれ、あらためてその効用がクローズアップされた。

8月22日(金)には、パシフィコ横浜で、「第61回日本栄養改善学会学術総会市民公開講座」が開催され、武庫川女子大学 国際健康開発研究所 所長の家森 幸男氏が、和食の持つ健康効果について講演した。

家森氏らはWHOの協力を得て世界の長寿地域と短命地域60ヵ所以上で、食生活にどのような違いがあるのか、長寿の日本人の食事とは、などを多角的に研究を行った。

講演の中で、家森氏は、日本で糖尿病が増えているが、中でも「痩せ型糖尿病」が急増しており、これに「倹約遺伝子」が関与している。大豆がこれを防ぐ力を秘めていることが明らかになりつつあるとした。

また、大豆に多く含まれるイソフラボンは更年期障害の緩和に有用であることがよく知られるが、閉経後の血圧上昇抑制や心臓病のリスク低下、美肌、長寿に大きく関わるとした。

8月30日(土)には、東京海洋大学品川キャンパスで、「日本脂質栄養学会第23回大会」が開催された。市民公開講座では「世界遺産『和食』と体・脳・心の健康」と題し、NPO法人 日本綜合医学会会長の渡邉昌氏が講演した。

講演の中で、渡辺氏は、玄米や根菜類が高い抗酸化力を持つこと、日本人が伝統的に摂ってきた大豆や味噌、海藻などの有用性をあらためて強調した。

また、8月31日(日)には、有楽町朝日ホールで、「オーソモレキュラー.jp」オープニング記念講演会が開催された。 オーソモレキュラーとは、ビタミンCの大量投与で知られるポーリング博士が1960年代に用いた造語で、「分子整合栄養医学」とも呼ばれるが、こうした栄養療法を医療サイドで取り入れ始めている。

この栄養療法の基本となるのが「低糖質、高タンパク」である。とかく、肉食によるタンパク質摂取については、問題視される点が多い。必須アミノ酸の配合率(プロテインスコア)でいえば、大豆は肉にひけをとらない。植物性タンパク質摂取という点で大豆の持つ役割は大きい。

大豆の有用性に関する最近の報告では、Lipids in Health and Disease誌14.8月号で、大豆のホスファチジルセリンはストレスを抱えた男性に有益と報じている。

ドイツ、スイス、イスラエルの研究者チームが、慢性ストレス下にある健常男性被験者75人を対象に、二重盲検、プラセボ対照試験を行った。被験者を、ホスファチジルセリン(PS)200mg/日およびホスファチジン酸複合体(PA)200mg、PS 400mgおよびPA 400mg、プラセボ投与に分けた。期間は6週間。

結果、プラセボ群に比べ400mg投与群では、高ストレス被験者のストレス度、唾液コルチゾルおよび血清コルチゾル応答が正常化することが分かった。ただし200mg群では、有意な差異は認められなかったという。

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