【 2014/9 】

納豆に含まれるビタミンK2、骨の健康維持に有望

「和食」の健康効果が世界的に高く評価される中、Nutrition Journal誌2014.9月号が、ビタミンK2は骨の健康維持に有望と報じている。

研究は、協和発酵研究者チームによるもので、平均年齢25歳の健常男性15人を対象に非プラセボ対照用量漸増試験を行った。被験者には、ビタミンK2を、1週間ずつ、0、300、600、900、1500マイクログラムの用量で投与した。

被験者の血中のオステオカルシン濃度を測定したところ、900マイクログラム/日以上の用量で、オステオカルシンが有意に増加したことが分かったという。

オステオカルシンは骨にカルシウムが結合する際、カルシウムに対し糊のような役割をするたんぱく質で、オステオカルシンを作るためにビタミンK2が必須であることが最近判ってきている。

K2はとくに納豆に多く、100g中に約1,000マイクログラム含まれる。健康な人は消化管で大腸菌のような微生物が常にK2を作る。抗生物質を飲むと、消化管の微生物が弱りK2の量も減るが、そうした腸内細菌が弱った時など、納豆1パックの摂食でK2を十分補給できるとされている。

60歳以上の女性の約60%が骨粗しょう症にかかるといわれるが、実際に、疫学的調査でも、骨粗しょう症の人は元気な人に比べ、ビタミンK2の摂り方が少ないことが判っている。納豆の摂食でオステオカルシン濃度が増加すれば、骨粗しょう症のリスクも軽減する。

8月30日(土)、東京海洋大学品川キャンパスで、「日本脂質栄養学会第23回大会」が開催された。この中の市民講座で、NPO法人 日本綜合医学会会長の渡邉昌氏が「世界遺産『和食』と体・脳・心の健康」と題して講演した。

講演の中で、渡邉氏は、日本人が伝統的に摂ってきた大豆や味噌、海藻や玄米、根菜にはさまざまな栄養素、特に失われがちな微量栄養素が多く含まれているとした。

大豆関連製品は、貴重なタンパク源でもあり、上記のような骨の健康に役立つ食品として日本人の長寿体質を支えてきたが、他にも、和食の健康効果で注目されているものに、オメガ3脂肪酸といった魚の成分がある。最近の報告では、魚の摂食は65歳以上の認知低下の緩和に有用であると、Journal of Nutrition誌2014.8月号が報じている。

University of North Carolina研究者チームが、中国における55歳以上の成人1566人のデータを分析した研究で、24時間思い出し法による3日間の食事摂取の評価で、被験者は、5年追跡調査された。

魚摂取と認知機能との関連性を分析したところ、55-64歳群では関連性が認められなかったが、65歳以上の群では、強い関連性を認められ、魚を少なくとも週1回(100g相当)摂食した場合、週1回未満の場合と比べ、年間の認知低下速度が遅くなったことが分かったという。

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