【 2015/2 】

グルタチオン、運動時の疲労遅延に有望

近年、「時間生物学」「時間栄養学」という学問分野が注目を浴びている。17年前に体内時計を制御する時計遺伝子Clockが発見されたことから急速に研究が進んでいるが、栄養以外にも運動生理学、スポーツ科学といった分野でも体内時計をベースにした理論構築が進んでいる。

2015年2月14日(土)、早稲田大学先端生命医科学センターで、第1回時間栄養科学研究会が開催された。この中で、柴田 重信氏(早稲田大学先進理工学部教授)が「体内時計における食と運動の相互作用」と題して講演。柴田氏は、適切なタイミングで運動することにより、「筋肉の再合成」なども効率的に行われることが解明されつつあると解説、これを「時間運動学」と呼び、重要な研究として位置付けられているとした。

抗肥満や筋肉増大のために、「いつ運動するのがベストなのか」といったことが「時間生物学」の観点から近年明らかになりつつある。

例えば、運動を昼に固定し、高脂肪食を朝にする(ラットと)夕方にするラットを観察すると、高脂肪食を朝に、運動を昼にした群のほうが、運動をしたあと夕食に高脂肪食を食べた群より抗肥満作用や筋力増大作用が強くなることがわかったという。

また食事を昼食のみに固定し、運動を朝する群と夕にする群にわけて比較すると、昼食後、夕に運動をする群のほうが抗肥満作用や筋力増大作用が強くなることがわかったという。

このように、エネルギー代謝において時間栄養と時間運動は密接に関係していることが徐々に解明されてきている。運動の効果を最大限に上げるために、「いつ行えばいいか」と時間を意識して行うことが必要ということである。

栄養素による運動効果の改善については、最近の報告では、グルタチオンサプリメントが運動時の疲労遅延に有望と、Journal of the International Society of Sports Nutrition誌2015.2月で報じている。

京都府立大学などの研究者チームが、マウスにグルタチオンのサプリメントを投与、非投与する2群、運動プログラム下でサプリメント投与、非投与する2群に割り付けた。

期間は2週間。乳酸が蓄積すると生じる筋肉内のpHを測定したところ、運動プログラム下のグルタチオン非投与群に比べ投与群では、pH値が減少したことが分かったという。

また、健常男性8人を対象に行った二重盲検、交差試験を行った。運動試験下のグルタチオン投与(1g/日、2週間)、非投与群において、投与群では乳酸値が抑制され、疲労度が有意に低下したという。

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