【 2015/10 】

クランベリー、心血管機能と血圧の改善に有望

高血圧の原因が食塩の摂り過ぎにあることは、これまでのさまざまな疫学調査から明らかになっている。ただ、この食塩に対する血圧の反応には個人差がある。

この点について、2015年10月14日(水)、品川区立総合区民会館「きゅりあん」で開催された「ソルト・サイエンス・シンポジウム2015」の中で、藤田敏郎氏(東京大学名誉教授)が説いた。

食塩で血圧が上がりやすい人を「食塩感受性」、そうでもない人を「食塩非感受性」に分類できる。「食塩非感受性」の人は、食塩の摂取量が多くても高血圧症にならない。「食塩感受性」の人は、その原因に遺伝因子が関与していることが示唆されているという。

また、「食塩感受性」は生活習慣の歪みから亢進するという説もあり、実際、第二世界大戦下のオランダにおける飢餓は母体に多大な影響を与え、高血圧患者を増加させたという。

とはいえ、「食塩非感受性」の人も、加齢に伴い血流が悪くなることから自然と血圧も高くなる。今後高齢者の増加で高血圧症患者が増えることが予測されるが、一方で、近年、高血圧治療剤の血圧を下げ過ぎるリスクが指摘されている。

血圧が下がりすぎることにより、脳への血流が減り、めまいや脳の認識機能の低下がもたらされる危険性があることが欧米などの疫学調査で明らかになりつつある。

血圧改善に関する最新の研究報告では、クランベリージュースが心血管機能と血圧の改善に有望と、Cranberry Health Research Conference preceding the annual Berry Health Benefits Symposium 2015で示されている。

University Duesseldorf研究者チームが、18〜40歳の健常男性10人のデータを分析。クランベリージュースを480ml/日与えられた被験者は試験開始時に比べ、ジュース摂取6時間後に収縮期圧が10mmHg低下した。また、動脈硬化度や左室後負荷の指標として用いられる脈波増大係数が、一部の濃度で約10〜15%減少したという。

また、クランベリーのようにポリフェノールが豊富なジュースが血圧低下が有用と、British Journal of Nutrition誌2015.10月号が報じている。

University of Oslo、Norwegian Institute of Food, Fisheries and Aquaculture Research研究者チームが50〜7歳の健常者134人を、(1)プラセボ、(2)レッドグレープ/チョークベリー/チェリー/ビルベリーミックスジュース(MANAブルー)、(3)MANAブルー+ブラックベリージュースのどれかを与えた。試験期間は12週間。

被験者の血圧を測定したところ、MANAブルー投与群はプラセボ群に比べ、6週間で収縮期圧が平均6.9mmHg低くなった。ただ、12週間後では、プラセボ投与群との差は認められなかった。

被験者を正常血圧と高血圧群に分けて調べたところ、血圧低下は高血圧群でより認められたという。

Copyright(C)JAFRA. All rights reserved.|HOME >