【 2016/1 】

リコペン、メタボリック症候群の寿命延長に貢献

アメリカ人が健康的な食事の指針としているのが、毎年5年ごとに改訂・発行される「アメリカ人の栄養ガイドライン」。このガイドラインの第8版(〜2020年)が、1月初旬に公表された。

ガイドラインは、政府の栄養政策や食品表示にも影響を与えるもので、今回は、添加糖分、飽和脂肪、塩分の摂取制限などを打ち出している。

また、これまで、食事からのコレステロールの1日の摂取量を300mg以下と制限していたが、今回はこの制限が解除。また、飽和脂肪酸、トランス脂肪酸、塩分の摂取制限がさらに厳しくなっているのが特長だ。

具体的には、野菜や果物、穀物の摂食を重視。とくに、緑黄色、赤色、オレンジ色の野菜やでんぷん質の野菜、マメ科植物などバラエティーに富んだ野菜や果物を丸ごと摂ることを薦めている。また、穀物については摂取の半分を全穀物で摂ることを推奨している。

野菜・果物の摂食の重視は一貫してアメリカ政府が唱える栄養政策だが、とくにホールフード(丸ごと摂る)での摂り方が望ましいとの考え方が年々強まっている。

よく知られるのが、二度におよぶ心臓発作から回復したクリントン元米国大統領の例。ホールフード食を実践し、3カ月ほどで約11キロ減量、心臓発作のリスクが軽減した。そのことをCNNをはじめとする各メディアが大々的に報じたことから、ホールフード食が一躍知られることとなった。

また、こうしたホールフード食による疾患リスクの軽減について、2011年5月、『フォークス・オーバー・ナイブズ』というドキュメンタリー映画が米国とカナダで公開されたが、映画「タイタニック」や「アバター」で知られる、ジェームズ・キャメロン監督は映画を観て、「キッチンの動物性食品を片付け、以来菜食を続けている」と語ったという。

野菜・果物の疾患リスクの軽減について、最近の報告では、トマトなどに多く含まれる色素成分のリコペンがメタボリック症候群患者の寿命延長に役立つと、Nutrition Research誌2016.1月号で報じている。

University of Nebraska Medical Center研究チームが、National Health and Nutrition Examination Survey(NHANES)に参加したメタボリック症候群患者2,499人のデータを分析。

血清中のリコペン濃度により、低 、中、高の3群に分けたところ、高群は中群に比べ、生存期間が4カ月、低群に比べ13カ月長いことが分かったという。

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